障がい児をもつケニアの母親たちへ「フェルト作り」の仕事を

フェルト作り

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皆さんこんにちは。Pinkです。ganas-途上国・国際協力に特化したNPOメディアの記事に、とても気になる記事があったので、今回はそのことについて書きたいと思います。

家庭の貧しさにより、「障がい」のある子供が学校に通えない実情を変えようとケニアで奮闘する、JICA海外協力隊員として同じ国で活動した経験をもつ女性の話です。

彼女は、4月に「障がい」のある子供をもつケニア人の母親が手作りする、「フェルト雑貨」を日本で売る会社を立ち上げる予定で、「障がい」をもつ子供の学費を、母親たちが払えるようになることを目標としているとのことです。

ケニアの「障がい児」の現実                

ケニアの「障がい児」のために働くと彼女が決めた始まりは、JICA海外協力隊員としてケニアに派遣され、児童相談所で活動していた時に感じた悔しさだと言います。          

虐待」の通報を受けて現場に向かうと、家の中から「わーっ」という声が聞こえたのですが、叫んでいたのは「知的障がい」のある6歳の男の子で、母親が畑仕事に出ている間、鍵のかかった部屋に閉じ込められていたそうです。

一緒に暮らしているおばあちゃんは、他の孫は可愛がるのに「知的障がい」のある彼には目を向けず、すごく悲しい気持ちになったと言います。しかし、外国人のボランティアである自分が過度にむやみに介入できなかったと振り返ります。

彼女は、その出来事があってから、数カ月かけて近くの特別支援学校に彼を入学させる段取りを整えたのですが、入学できる段階になって、定員オーバーを理由に学校側が受け入れを拒んできたとのことです。

2〜3年経ってわかったのは、入学にはわいろが必要だということでした。彼の家庭にそのようなお金はなく、結局いつまで待っても無駄だったと話しています。 

義務教育で当たり前のように学校に通っていた私にとって、この話はとても衝撃的なことでした。と同時に、学校に通わせてくれた両親に感謝したいと思います。

フェンス越しに並んでいるアフリカの子ども達

年内に60人を雇用                 

スワヒリ語で「アフリカと一緒に」という意味をもつ会社は、ケニアの公用語とのことです。「障がいのある子どもやその家族がコミュニティから孤立しないよう、手を引っ張るようなイメージで命名した」と話しています。

商品作りの拠点となるのは、ケニアの首都ナイロビの東南にある村で、女性や若者に教育機会を提供する地元のNGO「ライト・オブ・ホープ・ユース・イニシアチブ・インターナショナル」が運営する学校の一角を工房として借りているそうです。

ここで作られるものは、天然の羊毛フェルトを原料とする「かばん」「ピアス」「ルームシューズ」「スマホケース」などで、今は試作を重ねている段階ですが、オンラインショップサイトの「ベイス」などで販売する予定となています。

また、商品の作り手として雇用するのは、「障がい児」をもつ母親で、現段階で26人ですが、年内に60人を目指すために、運営スタッフを増やさなければならないそうです。

商品を作るのに必要な技術は、2023年12月より、自ら母親たちに教えていて、まずは3カ月かけて、刈り取ったばかりの羊毛をきれいに清浄化できるようになることを目指しているとのことです。

研修前の説明会で、「これは援助ではなくビジネス。だからまじめに働く人を求める」と伝えたところ、それでもみんな来てくれたことで、働きたくても働けなかった現実がよくわかったと話しています。 

研修中も400ケニアシリング(約420円)の日当も支払われます。無給では続かない上に、研修に来ている間、お母さんたちは日雇いの仕事もできないため、1日400ケニアシリングあれば、家族にご飯を買って帰れるとのことです。

工芸品を売る女性達

フェルト作りの大変さ                  

羊毛からフェルト生地を作るのは、とても大変な大仕事だとのことです。フェルト生地を作る過程は下記の通りです。

フェルト生地を作る
① 絡み合った毛先をすべて切り離す 

② 毛についた油を落とすため、沸かしたお湯に羊毛を漬け、人間が使うシャンプーを大量に入れる
③ 油の落ちた羊毛を陰干しする

④ ハンドカーダと呼ばれるくしでほぐしていく

⑤ ひとつひとつ手作業でごみを取り除く(作業に5日ほどかかる)

⑥  カーダ機と呼ばれる紡ぎ車で毛並みをきれいに整える

以上となります。②の作業では、皆が驚いたことがあったそうです。なぜかというと、ケニア人は、髪の毛をこまめに洗う習慣がなく、シャンプーは高級品だからです。

そのようなこともありつつ、「ハンドカーダ」の使い方に時間がかかっていたお母さんたちも、最近は慣れた様子で、何も言わなくても、カーダ機にかける前の状態まで準備できるようになったそうです。次の目標は、商品を1人で作れるようになってもらうことだと言います。

縫製をしている女性達       

 

 

 

 

最後に  

彼女は現在、起業のためのクラウドファンディングを3月7日まで実施しています。主な使い道は、「障がい児」の母親60人の3カ月分の給料や、羊毛からフェルトを作るのに不可欠なカーダ機9台などです。

当初の目標だった100万円はすでに突破し、200万円のネクストゴールを掲げているとのことです。

最終目標は、「障がい」をもつ子供と、その家族が安心して暮らせる社会を作ることで、いつかはケニアで幼稚園を開き、「障がい」をもつ子供が幼いうちから特性にあった支援を受けられるようにすることだと言います。ぜひ、その目標が叶うことを願っています。

参考サイト:障がい児をもつケニアの母親に「フェルト作りの仕事」を! 協力隊 … 

noteでも記事を書いているので、よかったら読んでみてください!

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