百日咳。はしかと同程度の感染力を持つ、しつこい咳が続く感染症。大人も注意が必要! 

百日咳

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

百日咳とは、咳を主とした急性気道感染症となり、百日咳菌という特殊な細菌が原因で発症します。一年を通して発症しますが、好発季節は春から秋、特に8、9月に多く発症します。一度百日咳にかかったことがある人でも終生免疫の感染症ではないことから、風邪みたいに何度でも百日咳を発症する恐れがあり、特に6ヵ月未満の小さな赤ちゃんが百日咳を発症すると呼吸器不全など命に関わるケースがあります。

百日咳はその名の通り咳などの症状が長引くのが大きな特徴です。典型的な発症期間は5-10日(最大3週間程度)程度の潜伏期の後、たんが絡まない軽い咳や鼻水、発熱があっても微熱程度の発熱、鼻閉、くしゃみ、涙目などが出現する、軽い風邪的な症状が徐々に強くなるカタル期(およそ2-3週間)があって、この時期が最も百日咳の感染力が強いといいます。

次に痙咳期(けいがいき)(およそ2-3週間)には、立て続けにスタッカートと呼ばれる断続的なコンコンと激しく咳き込み、最後にヒューッという笛を吹く様な音(吸気性笛声:ウープ)発作を繰り返す、フーピングという咳発作を伴います。このフーピングが、百日咳の咳の最大の特徴です。喘息発作では、息を吐く時にヒューという呼吸音が聞こえますが、百日咳では、息を吸い込みながら、ヒューという呼吸音が聞こえます。

スタッカートとフーピングの咳そう発作「発作性けいれん性咳そう」を繰り返す症状をレプリーゼと言います。

その中には酷い咳で顔が真っ赤になったり、嘔吐を伴い無呼吸発作を引き起こすことがあります。顔面の静脈圧が上昇し、顔面のむくみ、点状出血、鼻出血、眼球結膜出血、顔色などが見受けられ、血中の酸素が不足して唇や皮膚が青紫色になる状態のチアノーゼやけいれんを引き起こすこともあります。咳そう発作は夜間に多く見受けられます。痙咳期の最初の1週間位で咳そう発作の回数が徐々に増え、その後は1日平均15回程度になります。

それから、少しずつ咳そう発作は落ち着き、2~3週間位で咳が見られなくなる回復期に入りますが、数ヵ月に渡り、百日咳の症状が長引く場合もあります。完全に咳そう発作が出なくなるまでに数ヵ月(名前の通り100日以上)要する場合もあります。

ですが、大人や百日咳含有ワクチンを接種した人が百日咳を発症した時、症状が典型的ではなく、軽い咳が長引くだけで自然に回復することから、ウイルス性の風邪と見分けるのが困難です。

感染力ははしか(麻疹)と同じ程度にかなり強く、百日咳に対する免疫を持っていない集団の中に1人、感染している人がいた場合、16~21人が発症してしまうと言われています。免疫のない人が発症した場合、80%以上が罹患すると言われています。

インフルエンザは2~3人、水ぼうそうは8~10人、おたふく風邪は11~14人なので、百日咳の感染力の強さがうかがえます。

昔は、乳幼児の感染者がほとんどでしたが、最近では大人の感染者も増えています。2006年以降は大人の感染者が増加しています。

今回は百日咳の合併症、感染経路、治療法、予防策などを発信していきます。

▽合併症

小さいお子さん、特に赤ちゃんは中耳炎や百日咳脳症、肺炎、無気肺、脱肛、気胸、肺高血圧症、咳による硬膜下出血、鼠径ヘルニア、結膜出血を発症しやすいです。

咳が酷いと低酸素血症を生じ、けいれん、脳症、脳炎などの合併症と無呼吸発作を引き起こし、命に関わる場合もあります。

▽かかりやすい人

大人が百日咳を発症しても重症化することはありませんが、1歳未満の赤ちゃん、特に3-6ヵ月未満の赤ちゃんや新生児が百日咳を発症すると、無呼吸発作で、呼吸器不全に陥り呼吸停止など死に至る場合があり、大変危険です。また、百日咳は感染力がとても強いことから、百日咳を発症した感染者がワクチン未接種の同居家族に感染する可能性は80-90%と高いです。

さらに、予防接種を受けている家族間でも20%百日咳を発症します。

そのため、百日咳に感染した人は咳が出てから3週間は他の人々に接触しない様にしましょう。

肺炎は百日咳菌自体ではなく、他の菌の二次感染によって発症し、乳児百日咳で亡くなる原因の90%以上を占めています。中耳炎も肺炎球菌などの二次感染で発症します。中枢神経合併症(百日咳脳症)は2歳以下の痙咳期に発症する場合があります。

▽感染経路

飛沫感染という、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる細菌によって発症します。ヒトからヒトへと伝播します。気道粘膜に百日咳菌が直接付着して発症します。

百日咳菌は乾燥した粘液の中でも最大3日間は生き残ることができることで、それが手に付着して、そのまま鼻粘膜に接触しても接触感染という、感染者の咳などで汚染されたものに触れる感染でも発症します。

▽診断基準

従来確定診断には百日咳菌凝集素価のペア血清抗体検査といった抗FHA抗体、抗PT抗体などが活用されていましたが、2016年11月になると診断精度の高い遺伝子検査(LAMP法)が行える様になりました。それ以外にも、精度の高いPCR検査は特殊な機関でしか測定できませんが、LAMP法は病院でも数日で結果が判明することから、これからの百日咳の診断率向上に貢献することに期待が持たれています。

ペア血清抗体検査は採血を行い、血中内の抗体を解析する検査です。

LAMP法は、遺伝子検査となります。鼻や咽頭から検体を採取し、標的である百日咳の遺伝子だけを増殖させます。LAMP法は採血ではなく、咽頭スワブ(ぬぐい液)を検出しますので、採血で何回も痛い思いをしなくて済みます。LAMP法では、咳嗽出現から3週間、赤ちゃんやワクチン未接種者では4週間まで百日咳菌のDNAを検出することが可能です。そのため、偽陰性が出づらく短時間で結果を知ることができます。

ペア血清抗体検査よりも早く、簡単に、痛い思いをしないで、診断できます。

その他、イムノクロマト法は、検査キットに採取した検体を滴下させ、陽性だと免疫反応によって色をつける検査法となります。インフルエンザや新型コロナウイルスなどでも使用されています。

百日咳を発症させる細菌以外にも似た症状を示すものでは、感染後咳嗽やアトピー咳嗽、咳喘息、アデノウイルス、クラミジア、マイコプラズマなどの感染症でも似たような発作性の咳を表すケースもあります。鑑別上注意しなければならず、血液検査や抗原の検査などでどのウイルス・細菌を罹患したのかを解析し、治療を進めていくことが大事です。

▽治療法

マクロライド系の抗菌薬を百日咳の第一選択薬として治療します。アジスロマイシンやクラリスロマイシン、エリスロマイシンを症状の出始めのカタル期に投与すると、百日咳菌の排出が減少し感染性を減らせます。

それ以外では対症療法を行い、キツい症状を抑えます。

症状が出始めた頃のカタル期に抗菌薬を投与すれば、5~7日で感染力は消失し、百日咳菌を周りの人に移すことはなくなります。咳が軽快または消えても、医師が指示した期間は抗生剤の服用を止めず、抗生剤は飲み切ることが重要です。風邪みたいな症状、咳がある時は早めに病院を受診して下さい。

また、熱などは治療薬で落ち着きますが、咳が止まるまで時間がかかります。

6ヵ月未満の赤ちゃんでは、呼吸困難の症状が強い時や、嘔吐を繰り返すなどといった時には、入院・治療が必要です。

入院・治療では百日咳に対する抗体が含まれる治療薬、ガンマグロブリンを使う時もあります。

▽予防策

赤ちゃんのいるご家族やこれから出産を考えているご家族(両親、兄弟、同居の祖父母なども)は特に、自身が百日咳を罹患しない様に、また赤ちゃんに罹患させないよう、予防接種を含め家庭内で百日咳の感染をさせない為にも感染予防対策が重要となります。

咳は、タバコや煙、ホコリは、冷たい風や乾燥、低温などが刺激となって、出やすくなります。タバコなどの煙を避けて、室内では適温にして加湿しておきましょう。

部屋の温度を20度、湿度を60%前後に維持し、咳を誘発しない様に心がけましょう。また、脱水症予防やたんを出しやすくするため、水分補給を意識しましょう。

百日咳に限らず、咳症状がある人は、くしゃみや咳をする時は、鼻と口をマスクやティッシュで覆い、周りの人に直接飛沫がかからない様に、咳エチケットをし、くしゃみや咳をした後は石けんを使ってよく手を洗いましょう。

また最近では、予防接種を受けてから時間が経過し、百日咳の免疫が低下したことで発症した年長児や大人が、症状が軽症だったことから百日咳を罹患したと気付かずに、新生児や赤ちゃんへ移したとの報告も出ています。可能な限り赤ちゃんに近付かない様にして下さい。

百日咳はワクチン接種以外の予防方法では、手洗い、うがいを是正して下さい。

赤ちゃんが咳き込んで嘔吐することがあるので、母乳やミルクは少量ずつ回数を多くしながら、飲ませる様にしましょう。

▽ワクチン

画像・引用:知っておきたい!こどもの感染症百日咳 こども感染症ナビ

百日咳を予防する有効な手段は予防接種です。ジフテリア、破傷風、百日咳を混合した3種混合ワクチンまたは、ジフテリア、破傷風、百日咳にポリオを混合した4種混合ワクチンの接種で予防可能です。これらのワクチンは、定期予防接種となっていて、生後3~12ヵ月を目標(7歳6ヵ月未満まで可)に行う第1期初回3回と、その12~18ヵ月後に行う第1期追加接種、11~13歳未満でDT2種混合ワクチンを接種する第2期があります。

4〜6歳で百日咳の抗体価が低下し発症しやすくなることから、2018年8月に改定された日本小児科学会の予防接種スケジュールでは、5〜6歳で3種混合とポリオワクチンを任意で接種することが推奨されています。

これらのワクチンの有効性は高いといいますが、小学校高学年以降で百日咳の発生が急増しているは予防接種での免疫効果の持続は4~12年程度と見積もられていることで、 時間の経過と共に免疫効果が減弱していく恐れがあることで、ワクチンを接種した人も百日咳を発症する恐れもあります。

予防接種を受けた場合、百日咳を発症するリスクを80~85%程度にまで減らせます。

予防接種は、生後2ヵ月から接種できます。以前は生後3ヵ月からの接種でしたが、2023年4月より変更となりました。

▽登園・登校の目安

百日咳は、学校における予防すべき第二種の感染症に定義されていて、登校基準としては、百日咳の感染者は特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌療法が終えるまで、出席停止と定義されています。(ただし、病状により医師が百日咳の感染の可能性がないと認めた場合を除く。)

感染症法においては、2017年までは5類定点把握感染症として定点医療機関から1週間の感染者の報告数がまとめられていました。

2018年1月1日から、より正しく確実に発生状況を把握することを目的とし、5類全数把握疾患扱いとなりました。これに伴って、百日咳を診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に感染者の発生届けを提出しなくてはなりません。

▽再診の目安

  1. 咳が酷く出て、呼吸が止まりそうな時
  2. 発熱している時
  3. 咳が激しく繰り返し嘔吐し、元気がない時

参考サイト

百日せき 厚生労働省

百日咳について こどもとおとなのワクチンサイト(2023年)

百日咳 さいたま市(2023年)

長引く咳に注意!その咳は百日咳かも 島根県感染症情報センター

百日咳とは 三豊・観音寺市医師会

百日咳 ヒロクリニック

百日咳 健栄製薬

現在と過去。

WHOの発表によりますと、世界の百日咳患者数は毎年2,000〜4,000万人で、そのおよそ90%は発展途上国の小さな子ども達であり、亡くなる数はおよそ20〜40万人と推定されています。

日本でも百日咳の感染者の届け出数は、1950年の定期接種を導入する以前は毎年10万例以上あり、そのおよそ10%が亡くなっていました。現在では赤ちゃんの頃にワクチン(3種混合ワクチン)を接種することで百日咳の発生する数は激減しています。

ですが、ワクチンの副反応の発現が1970年代にあったことで、その間、ワクチンの接種率の激減がありましたが、現在は生産、精製技術の向上などもあってから副反応もほとんど出なくなり、接種率は上がっています。

母親からの百日咳の免疫(経胎盤移行抗体)が期待できないことから、赤ちゃんの早い時期から発症します。1歳以下の赤ちゃん、特に6ヵ月未満では死に至る危険性もあるので、百日咳患者は小さな子ども、特に小さな赤ちゃんへの感染源とならない様に注意を払って下さい。

長引く咳の感染者では、小さい子どもの30~40%、大人の20%は百日咳という報告もあります。

いまや百日咳の感染者の半数以上が大人だといわれています。 大人の場合は熱を伴わない咳が長く続きますが、「百日咳は子どもの病気」というのは昔の話であり、大人も百日咳に発症することがあります。

私が主に子どもの感染症について2022年から調べていた時から、百日咳はずっとカテゴリーがあって、なぜだろう?と思っていたら、ワクチンの効果切れで大人も発症することもあって、だから都道府県の感染症一覧の中にも、百日咳の名前があるんだなと思いました。

私もワクチンを打っていますが、効果が切れていることで、かかることもあると今回知って、気を付けなければいけないなと感じました。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。