この記事は約 8 分で読むことができます。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
りんご病は、正式な病名を「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と呼びます。発症すると頬が真っ赤になることから、日本では「りんご病」とも言われています。
潜伏期間は、およそ4日間から20日間です。1度発症すると終生免疫が獲得でき、2度発症することは通常ありません。仮に2度発症したとしても症状が出ることは極めて稀です。
年間を通してりんご病を発症しますが、年始から7月上旬にかけて増加傾向があります。おおよそ4〜5年の周期で流行っています。最近の流行は、2007年、2011年、2015年、2019年と丁度4年周期です。明確な流行時期はありません。
幼児期から小学生のお子さんに多くみられ、特に5~14歳に多く、ピークは5~9歳です。保育園・幼稚園や小学校で流行することがあります。
発症した人の75%には発疹が見られます。発症しても症状が出ない、不顕性感染なこともあります。
今回はりんご病の症状や合併症、原因、感染経路などや、私が子どもの頃かかった時の話についてお話しします。
▽症状
発症してから5~10日後に、軽度の発熱、咽頭痛、軽い咳、倦怠感、鼻水、筋肉痛、腹痛、吐き気、頭痛などの風邪に似た症状が見受けられます。感染しても最初の頃は症状が出ない場合もあれば、発症してから7日後に微熱や軽い風邪の様な症状が出ることもあります。ウイルスが身体の外に最も多く排出されるのはこの時期で、8割を超える感染力などと、最も人に移しやすい時期です。
発症してから10~20日に、両頬に境界明瞭な赤み(紅斑)が生じます。続いて腕、足にも網目状、レース状または大理石紋様の赤みが出現します。
熱がないケースが多いですが、20%は37.5度前後の軽度の発熱が出ます。ごく稀に39~40度の高熱が出る場合もあります。
また、体幹部(胸腹背部)にも同じ赤みが出現することもあります。赤みはおよそ1~2週間で色素沈着(シミ)や落屑を残さずに消失します。
ほてりやかゆみを感じる場合もありますが、合併症などが起きなければ1〜2週間で自然に治ります。また、赤い発疹が出た時は周りの人に移すことはありません。
ですが、発症しても赤い発疹の症状が出現するまでは、無症状なことが多いので、知らず知らずの間に周りの人に移してしまう場合があって、予防が困難です。
中には2~3週間も赤みが出たり引いたりする場合もあって、また日光に当たると赤みが強くなる傾向があります。
また、典型的な症状ではなく、大人では痛みとかゆみを伴う出血様発疹や丘疹が手袋や靴下を履く場所に出現する手袋靴下症候群が見受けられる場合もあります。
大人では、全身の赤みに関節痛や筋肉痛を伴いやすく、関節リウマチやエリテマトーデスなどの膠原病などに間違えられる時もあります。
▽合併症
脳炎・脳症、血小板減少性紫斑病、肝炎、血管性紫斑病、心筋炎など。
大人では、特に女性で左右対称的に、手指のこわばり、肘・手足・膝など関節痛・関節炎の症状や腫れ、貧血が出現します。関節症状は子どもより大人に、男性より女性で強い傾向です。
りんご病を発症するパルボウイルスは骨髄の中の赤血球を合成する細胞を破壊します。普通の人では問題はありませんが、妊娠している人が発症すると胎盤を通して胎児に感染するという、胎盤感染を起こします。胎児が心筋炎や重症の貧血を引き起こして、貧血に伴った子宮内発育遅滞や胎児水腫という状態に陥り、流産、死産に至る場合もあります。妊娠している人のパルボウイルスB19感染の発生率は、3.3~3.8%と言われています。
予防できるワクチンはないことから、感染した胎児も無症状の時に感染源になっています。妊娠前半期のりんご病を発症する方がより危険であり、胎児が亡くなってしまう場合もあります。妊娠後半期でも胎児感染は生じ得りますが、そのリスクは妊娠前半期よりも随分リスクは下がります。
妊婦さんがりんご病を発症しない様に予防するのはなかなか難しいこともあって、りんご病が流行っている時は、風邪気味の人には近付かない様に気を付けて貰いたいです。
妊娠している時にりんご病を発症したら、お腹の赤ちゃんを注意深く経過観察する必要もあります。これは先天性奇形ではなく、注意深いエコーなどでの定期検診で発見される場合もあることから、妊婦健診をきちんと受診し、りんご病の感染が疑わしい時は速やかに産科の医師に相談して下さい。
がんがある人や臓器移植を受けた人など免疫不全症の人や、遺伝性球状赤血球症という赤血球の形の異常を抱えた病気の人、慢性貧血症の人がりんご病に感染すると貧血発作や、無形成発作という重症な溶血性貧血を引き起こし、貧血の治療が必要になるケースもあります。
それ以外にも血小板減少症、顆粒球減少症、血球貪食症候群等の稀ですが命に関わる重篤な合併症が知られています。
▽原因
原因となるウイルスは、ヒトパルボウイルスB19型または、エリスロウイルスB19型とも呼ばれる1種類のウイルスです。
▽感染経路
くしゃみや咳などによる飛沫感染で身体内に取り込まれることで発症します。また、感染者が触れたスイッチやドアノブに触り、その手で鼻や口を触ったことで身体内にりんご病のウイルスを取り込んでしまう接触感染も原因の1つとして想定されています。
▽診断基準
小児の場合、症状で診断する場合が多いですが、採血で抗体検査を行い、診断をすることもあります。
成人の場合、採血でパルボウイルスB19IgM抗体が上昇しているかどうかを見ます。
このIgM抗体は、感染後7~10日で陽性となり、2~6か月続きます。そのため、抗体価が低値の場合は必ずしも急性感染の証拠とならない場合もあります。
▽治療法
りんご病を予防できるワクチンや特別な治療法はありません。症状を和らげるための対症療法を行います。
◉発熱、関節痛がキツい時
解熱鎮痛薬内服
◉かゆみを強く感じる時
抗ヒスタミン薬内服
▽予防策
食器などの接触や唾液などの飛沫により発症することから、外出後、食事の前、トイレの後などには、手洗い・うがいを徹底して行い、感染者と接触しないことが必要となります。
▽登園・登校の目安
りんご病は、五類感染症として定義され、学校保健安全法では、学校で予防すべき感染症第一~三種に指定されていません。りんご病の初期は通常の風邪と見分けることが難しいです。
また、赤い発疹以外の症状がなく元気になったら、普段通りの生活を送って貰い、発熱やその他の異常が無い場合は、幼稚園や保育園、学校も休む必要もありません。
ですが急性期には、症状の急変に注意を払って下さい。
▽注意点
入浴はしても良いですが、熱いお風呂に長い時間入浴すると赤い発疹が強くなってりんご病が長引く場合があることから、短時間で入浴を切り上げましょう。
運動をしたり、日光に長く当たると、長い入浴と同様に赤い発疹が長引くので注意が必要となります。
参考サイト
私がりんご病にかかった時の話。
母から聞きました。私はよく昼間眠る子で、夜になると熱を出していたといいます。ある日お昼寝をしていて、私が「ん?」と母の方を観ると、顔が赤い。
母は「こんなにいつもほおが赤かったっけ?」と思っていて、何日か赤く、私が感染した時りんご病が流行っていた時期だったらしく、病院に連れて行くと、りんご病と言われたそうです。
この記事で書いた「ほおが赤い時は、治っている証拠」と知り、母が気付いた時には、もう感染力はなかったんだな、と思います。
感染症も免疫がつくものと免疫が持続しないものもありますが、りんご病に関しては終生免疫と言われているそうで、私ももうかからないと思うと、ホッとしました。
感染症は重症化する場合もありかかりたくないですが、私は多分軽症で済んだので、その点は良かったと思っています。
noteでも書いています。よければ読んでください。
コメントを残す