溶けにくいアイス、デコペタシール、オールフロントTシャツ、mahoraノート。〜障害者向けの商品開発〜

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

世の中には障害を持っていない人が色んな逆転の発想で、障害者向けの商品が開発がどんどん進んでいる事をご存知ですか?

接触嚥下障害の方のための溶けにくいアイスクリームや視覚障害者の方のためにデコペタシール、発達障害のある方が前後ろ関係なく着れるオールフロントTシャツや、mahora ノートなどが開発されています。

今回は障害者の目線や立場に立ち、開発された商品についてお知らせします。

溶けにくいアイス

画像・引用:株式会社 中庄本店

京都府福知山市荒河東町の総合食材商社、中庄本店では、『溶けにくいアイスクリーム』を開発しました。摂食嚥下障害者への温かい思いやりから誕生したこの『溶けにくいアイスクリーム』。『溶けにくいアイスクリーム』の開発者は、中庄本店で介護・治療食品の営業を担う管理栄養士の2人。京都府福知山市の《NEXT産業創造プログラム)に参加し、新商品を考えるなかで生まれました。

要介護高齢者で傾向にある摂食嚥下障害は、食事をミキサーにかけて小さくしたり、ゼリー状にして液状にするなど調整が必要で、食事量を多く食べられず、栄養失調になることが多いです。このため、少ない量でも高カロリーの食材が、栄養補助食品としてよく採用されています。

彼女たちが営業回りで病院や老人ホームを訪れた時に、病院や老人ホームの職員から「口溶けが滑らかなアイスがあれば、きっと皆から喜ばれるけれど、市販のアイスは溶けると液体になってしまい、摂食嚥下障害者には提供出来ない。溶けないアイスがあれば」という声をよく聞いていたといいます。

「ならばそのアイスクリームを形にしよう」と彼女たちが立ち上がり、『溶けにくいアイスクリーム』を開発を始めました。京丹後市の「ミルク工房そら」の協賛を貰いながら進め、半年の試行錯誤を経て『溶けないアイスクリーム』を完成させました。

苺から抽出されるポリフェノールと海藻成分を調合し、水分と油分の分離を妨げることで、アイスクリームを溶けにくくしています。ジャージー牛乳を採用するなど、口溶けや後味にもこだわって造り上げました。

この『溶けにくいアイスクリーム』の商品名は【ZuT(ずっと)】ミルクの「白」とホールフルーツチョコレートの「黒」、福知山産のイチゴを用いた「赤」の3種類があり、価格は各2個の6個セットが5000円(税込み)、各4個の12個セットが8000円など。

「介護現場で新しい食べ物が起用されるのは、利用者への安全性などの問題から、とてもハードルが高いのが現状です。このため、まずは一般家庭に『溶けにくいアイスクリーム』を浸透させ、安心感が評価されたうえで、最終的には摂食嚥下障害者にも食べて頂けるようになれば」と話しています。

参考:嚥下障害者にと「溶けにくいアイス」開発 病院や介護の現場の声受け、食品商社の管理栄養士2人 両丹日日新聞(2022年)

動画・引用:Makuake

公式Instagram

https://www.instagram.com/zuttokenaiicecream/?r=nametag

ニコニコイン

画像・引用:ニコニコインが完成しました!お買い求め頂けます! NPO法人 ユメソダテ(2022年)

知的障害者の多くが、自力で買い物できない―。そんな状況を変えるコインケースを、NPO法人「ユメソダテ」(東京都世田谷区)が開発した。普及に向けたクラウドファンディングも始まり、関係者は「おっくうになりがちな買い物に前向きになれるのでは」と期待している。

クラウドファンディングは2021年11月22日に開始し、4日目で当初の目標額の100万円を達成した。目標額を350万円に変えて現在も継続中で、12月9日時点で約180人から約150万円の支援が寄せられている。

多くは周囲の人が補充した電子マネーやプリペイドカードで買い物をしているが、家族の高齢化などから支援にも限界がある。中には計算の必要がない千円札だけを使い、釣銭をため込む人もいるという。

コインケースは、500円から1円までの硬貨がそれぞれの単位に合わせて入るようになっている。5円の場合は10円に桁が変わる2枚まで、10円の場合は200円になる10枚まで入る作り。硬貨の数が容易に分かり、計算もしやすい。通常のコインケースと比べて縦約8センチ、横約3センチと小さく、ポケットに容易に入る持ち運びやすさも特徴だ。

引用:「買い物を喜びに」知的障害者向けコインケースを開発 産経新聞(2021年)

デコペタシール

大阪府に本社を置く株式会社明成孝橋美術は、実際に商品化を目指し、販売を目標としている大学ゼミ対抗のインターカレッジを転機に、法政大学経営学部のゼミの学生たちと共同開発企画の一環で『デコペタシール』(https://www.amazon.co.jp/dp/B09MHHVZBG?ref=myi_title_dp )を製品化されました。

『デコペタシール』とは、実際に商品化を目指し、販売を目標としている大学ゼミ対抗のインターカレッジ・Sカレで初の公式発表となりました。ゼミの学生メンバーは2020年度プラン優勝を勝ち取った後、これまでの商品化に至る功績が評価され、同大学ゼミ対抗のインターカレッジ・Sカレの総合準優勝を獲得。商品を発案した法政大学生が「多くの人が視覚に障害を抱える人をもっと近く感じられる様に、私たちが視覚に障害を抱える人たちとの架け橋になりたいです」という願いから、視覚に障害を抱える人のライフスタイルを支援するシール製品『デコペタシール』が販売される運びとなりました。

商品化発表前のテスト販売に関しては、点字図書・録音図書の製作・貸出、視覚に障害を抱える人が使用する用具・点字図書の販売などを実践し、東京都新宿区にある日本点字図書館に直交渉に持ち込み、実証テストを経て、館内及び公式通販サイトで販売をスタートさせました。

画像引用・参考:視覚障がい者の生活をサポート!似た形のものを触り分ける『デコペタシール』 PR  TIMES(2022年)

オールフロントTシャツ

画像引用・参考:発達障害があっても一人で着られる「4wayオールフロントTシャツ」も PR  TIMES(2022年)

裏表や前後をこだわることなく着用が可能で、肌触りも滑らかなオールフロントTシャツ』を、和歌山県和歌山市の女性が発案し、同和歌山市にある婦人服製造販売会社「マキカンパニー」が商品化に辿り着きました。女性の長男には発達障害を抱えていて、既製の服の質感や、前後裏表を正しく着用するのがとても苦手だと言います。「同じく生きづらさを持つ人が着心地の良い服を、届けたい」と優しい想いを込めたオススメアイテムです。

Tシャツは、縫い代を隠す様な「折伏縫い」でデザインされ、裏表がどちらになっても、パッと見や肌触りに違和感は感じません。そして、前後で相違がないデザインに取り入れました。

生地に関しては実際に女性が触ってみて、優しい肌触りの素材をセレクトしました。簡単に着脱が可能で身幅と袖は大きめのデザインです。洗濯表示のタグを収納可能な小さなポケットも縫い合わせました。

この様な幅広いこだわりのきっかけは長男が始まりでした。発達障害を抱えた子ども達は肌への感覚に過敏で、強い見た目のこだわりもあるので、既製の洋服が苦手な事例が多く見受けられます。「息子も子どもの頃からチクチクとした質感、ボタンや襟、タグも大嫌い。何軒も店まで探し回り、一着も購入せずに帰宅したこともありました」とあの当時を思い起こします。前後裏表をきちんと着用するのも苦手でした。

こうした実体験をベースに2016年から、長男のために洋服作りをスタートさせました。その洋服を作る過程を踏んでいくと、同じ様な悩みを抱えている発達障害児の親御さんが沢山いることを気付きました。

発達障害を抱えているお子さんに寄り添った服を提供したい」。そんな強い想いで2019年、衣服の企画販売会社「fukufuku312」を立ち上げました。クラウドファンディングで寄付を募り、大阪府内の障害者作業所に縫製をお願いし、2020年から寄付を寄せた人向けへ『オールフロントTシャツ』の提供もスタートさせました。その後、知り合いの紹介でマキカンパニーの副社長の男性も協力し、商品化に辿り着きました。

参考:前後裏表ないTシャツ 読売新聞(2022年)

子ども用は3980円(税込み)、大人用は4980円(税込)。きっかけは発達障害を抱える子ども達向けでしたが、購入した人からは「目の不自由な人や寝たきりの人も使用しやすい」「お着替えを練習中の小さい子どもにジャストサイズ」といったレビューも寄せられています。

mahoraノート

発達障害のある人々の意見を基にノートを開発した、大阪府大阪市にある大栗紙工は、商品の種類を増やし、2021年2月27日から販売を始めました。2021年1月中旬から2月中旬にかけて実施したクラウドファンディングでは、目標に設定した金額10万円を大幅に上回る約金額84万円の支援を受け、発達障害者の方の為の新商品の生産に役立てました。

大栗紙工の『mahora(まほら)ノート』は、発達障害の当事者を支援する府内の団体の協賛を得て、「白い紙が反射してまぶしい」「いつの間にか書いている行が変わってしまう」など約100人の発達障害者の当事者の声を生かしました。2020年2月から、太いケイ線と細いケイ線を交互に引いた「レモン」と、1行ごとに線に色を付けた「ラベンダー」の2種類(いずれもセミB5サイズ)を提供していました。

販売が拡充する中で発達障害者の当事者から寄せられた要望に応じようと、『mahora (まほら)ノート』に既存のレモンとラベンダー、新色のミントに加え、B6・A6・B7サイズの小さいノートやA4サイズのシートを製品化し、ラインアップを36種類に増やしました

『mahora(まほら)ノート』の税込価格は、小さいノートサイズのセミB5で1冊280円、B6で1冊385円、A6で1冊330円、B7で1冊242円。

『mahora(まほらノート)』のA4シートは1袋30枚入り1つ396円で販売しています。

こちらのノートは、グッドデザイン2021でグッドデザイン・ベスト100に選ばれたり、日本文具大賞で優秀賞を獲得するなど、受賞歴もあるそうです。

参考:発達障害者の声から生まれたノート、新商品の販売開始 日本教育新聞(2021年)

note

動画・画像・引用:OGUNO notebook

皆同じ世界で生きている。

今は昔みたいに、障害者と健常者が完全に住む世界が違う、そこからは少しずつ隔たりが無くなって来ていると思います。健常者の方が障害者の目線に立って、画期的なアイテムを開発して下さっている。それで障害のある人も生活しやすくなっています。

私が開発して頂いたのは、運動遅延がある私でも、人並みに運動が出来るアイテムが欲しいですね。私も本当は「運動って楽しいんだね」とか言ってみたいですよ。

色んなアイテムが開発されていますし、いつか私のこの些細な夢も叶えばいいなと思います。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。