急増している適応障害「循環気質」という性格が関係している?

適応障害

この記事は約 8 分で読むことができます。

 最近ニュースや周りでよく「適応障害」というのを見たり、聞いたりします。お笑い芸人の田村亮さんだったり、河井案里議員、アイドルが適応障害を告白して引退したりと有名人のニュース頻度が、増えてきたからでしょう。

 適応障害を発病して自ら死を選んでしまったという、ニュースまで続けて届いてくるようになりました。調べてみると最近とくに急増しているらしく、100万人以上が発病しているというデータまで出ているそうです。

 今回は適応障害とは何なのか、どういう対策があるかを紹介していこうと思います。

1.適応障害とはそもそもどういうの?

 誰しもが日常生活を送っているとストレスに直面して、落ち込んだりしますよね。これは正常な反応なのですが、度を越したものだったり、適応できなかったりすると発病してしまいます。

 身体的、精神的な症状が出てきますが、たいていの場合は一定範囲内にとどまって、短期間で収まりますが、時と場合によっては予想以上に大きくなり、病的なレベルに達してしまいます。すると仕事や学業、生活に悪影響がでてしまい、これを「適応障害」といいます。詳しくいうと「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」という定義がなされています。また健康な状態と病気の状態の境目に起きてしまいます

 これは誰でも起こりうることで、意外なことに特殊な疾患でもありません。これをしっかりと認識することが、重要です。しかし誰でも起こるからといって軽症というワケではなく、長期化に伴い悪化してしまうと、うつ病や神経症といった他の精神疾患に移行してしまいます。

 全国の統計を取ってみるといったんは適応障害と診断されても、5年後にはうつ病に診断名を変更されているケースがほとんどです。適応障害はその後の重篤な病気の前段階ともいえます。

2.適応障害のサインや症状とは

 適応障害は誰でも起こりうるゆえにその症状はさまざまで、ストレスで起こることはすべて起きます。例えば落ち込む人もいれば不安が強くなる人もいて、イライラする人はケンカが増えたり、タバコやお酒などが増えてしまったりと適応障害だから必ずこの症状が出る、という決まりはありません。

症状の例

心の不調【不眠、不安、気分の落ち込み、イライラなど】

体の不調【胸のドキドキ、吐き気、便秘、めまい、震えなど】

能力の低下【仕事や作業に集中できない、考えにまとまりがなくなる。ぼーっとしてしまう、もの忘れがひどくなる】

行動の障害【お酒が増える、タバコが多くなる、口論がふえるなど】

 症状の原因としてはそのストレスを受け、適応できない環境下にいるということです。その環境から離れると自然に症状は緩和していきますが、離れても症状が良くならない場合は異なる問題が隠れている可能性があるので、注意が必要です。

適応障害とうつ病の違い

 適応障害とはつまりストレスの無いところだと、良くなってくもので6ヵ月以上は続かないと定義されているのですが、それよりも長引けば先ほども出てきた「うつ病」となってしまいます。

 うつ病は「一定レベル以上の気分の落ち込みがあること」で診断を受けます。つまり適応障害かうつ病かというのは、原因や症状の経過から判断します。以下文にまとめてみました。

適応障害

・環境変化によるストレスと明らかな因果関係がある

・ストレスがなくなると症状が軽くなる

          ⇩

本人と環境のギャップが原因という、心理的な要因が大きな心因性の病気

 

うつ病

・ストレスが持続的にかかって、少しずつ悪化していく

・ストレスがなくなっても、すぐに良くならないことが多い

          ⇩

ストレスの蓄積の結果、脳の機能的な以上が大きな要因となっている内因性の病気

2.適応障害のなりやすい人とその予防方法

 適応障害の予防、悪化防止をするためにはまず自身の内面を正確によく知るということが大切です。適応障害を構成する大きな要素として「内部要因」というのが関わってきます。

内部要因とストレッサーとは

 内部要因とはストレスにどのように反応するか、という心のあり方です。また過重労働やパワハラなどの、外部にあるストレスの原因を「ストレッサー」といいます。このストレッサーに直面したとき、脳内で最初に行われることは【いつ、どこで、誰が、どうした】といった事実関係の認識です。このような認識は前頭葉が主に担っているので、個人差はそれほどありません。

認知の捉え方は人それぞれ

 認知というのはバラバラで個人により一定の傾向があり、客観型と主観型の2種類プラスそれぞれに外向型と内向型が加わり、4つの組み合わせができます。客観型とは事実関係を整理して、感情よりも理性を優先するので、解決への道を容易に立てることができます。

 しかし主観型はネガティブな感情たとえば「いやだ」「つらい」などを主体で受け止め、解決策を探そうとする前に、思考があたふたしてしまい堂々巡りになってしまいます。以下にその組み合わせを引用してまとめてみました。

認知における4タイプ

客観/外向型 ・視野が広いタイプでストレス対処の選択肢を複数持っている。

客観/内向型 ・物事を捉える視野が狭く、自己の理想や責任感に没入してしまいます。生真面目で完璧主義、実直に仕事をこなしますが自分のペースやスキル以上のことを任せられると、途端に対処がわからなくなる傾向が強いタイプです。(執着性格)

主観/外向型 ・ストレッサーを楽天的に受け止めるタイプで、そもそもが深く悩まずにストレスもためません。世渡り上手なタイプです。

主観/内向型 ・必要以上にストレッサーを受け止めて、ネガティブ思考に陥ってしまうタイプです。劣等感や低い自己評価に苦しみ、自分で自分の首を絞めてしまい、病状も悪化していきます。適応障害に最も多いタイプです。(循環性格、回避性性格)

3.日本人の20%を占める循環気質

 循環気質タイプは日本の人口20%を占めており、適応障害になりやすい性格だといわれています。基本的に快活、社交的で仕事も意欲的ですが、長続きしません。それは突然やる気を失ってしまい、仕事の効率がどんどん悪化してしまい、一定のパフォーマンスを維持することができません。

 循環気質の意欲の源は他者からの評価です。自信がありそうに見えますが、実は上司や同僚から認められたい気持ちが強く、その延長として過大な自己評価をします。本音では自分に自信がないため、他者からの評価によりアイデンティティを確認しようとつねに試みているのは、安心が欲しいためです。

 些細な言動ですぐに怒ったり、上司からの忠告を素直に聞けず落ち込んでしまい、仕事に支障が出てその結果、ネガティブな評価を出されて落ち込むという、負のループにはまってしまいます。

ガス欠になりやすい

 循環気質タイプは強度のストレス状況下において、一時的にためていたエネルギーを放出して仕事に集中しますが、すぐにガス欠してしまい動けなくなってしまいます。そこからはエネルギーがなくなってしまうと、まったく仕事をこなせなくなり、追い込まれた不安と恐怖、慢性的な緊張により心身をコントロールできなくなってしまうのです。

まとめ・適応障害の予防とは自分という存在を深く知ること

 現代に適応障害が増えたのはもともとある性格や環境下に置いて、発病してしまう疾患だということがわかりました。ストレスがたまりやすい社会をどう渡っていくのか、が最も難しいテーマゆえに、形成された性格を簡単に変えられるわけでもありません。

 ですが変えられないなら深く自分を知ってみるというのは、どうでしょうか? こういうことに弱く、これなら強みを活かせる、と自分を分析してみるのが最大の予防だと私は感じました。前回の記事ではストレス発散をテーマにしましたが、自分に合った方法を知るのもいいと思います。

 自分を深く知るのは最大の予防だと思いますが、1人で抱え込まないことも絶対です。心労とは時間が経てば抜けるものではなく、吐き出さないとモヤモヤは消えません。身内や友人に相談してみたり、病院を利用して誰かに助けを求めましょう。

 決して「甘えてる」なんて思わずに「休む」という、回避方法がとくに必要だと思います。「逃げる」と思うのではなく「距離を取る」ことで自分を壊さず、守りましょう。仕事も大事ですが、まずは自分を大切にしてあげてください。

参考・東洋経済ONLINE 厚生労働省メンタルヘルス 元住吉こころみクリニック 人形町メンタルクリニック 

社会問題や心理学について掘り下げるライターryoの人気記事をご紹介!

HOME

適応障害

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。