2050年で3倍?視覚障害者の生活を豊かにするテクノロジー

孔雀の羽根

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 以前の記事で平等と公平の違いを書かせてもらったとき、障害者について仕事の面でもそうですが、娯楽や芸術などはどうなっているのだろうと疑問に思っていました。すると視覚障害者に向けた「触れるアート」というのがあるそうです。

 この多様な時代にいろいろな人に向けたサービスも少しずつ障害者にも広がっており、テクノロジーの進化に影響していると思いますが、高齢者社会の背景に視覚障害者は増え続けるともいわれています。

 今回は「視覚障害者」にフォーカスを当てて紹介していきます。関連記事もぜひ合わせてご覧ください。

あなたは点字ブロックの意味を知っていますか?

1.視覚障がい者は2050年まで3倍に

 2017年に分かったことですが、今後40年以内に世界中で視覚障害者が3倍に増えるかもしれないという研究が、英医学誌ランセット・グローバル・ヘルスで発表されました。

 英アングリア・ラスキン大学の研究チームは予算拡大で治療法を改善しない限り、目の見えない人の数は現在の3600万人から、2050年までに1億1500万人へ増加すると予測しています。

現在の目が見えない人の数

・南アジア1170万人

・東アジア620万人

・東南アジア350万人

・サハラ以南アフリカの一部で人口の4%以上

・西ヨーロッパで人口の0.5%以下

高齢社会の背景に増える視覚障害者

 一方で別の研究によると世界人口における視覚障害者はむしろ減っているが、人口の増加と相当な高齢まで生きる人も増えているため、今後数十年で急増すると予測している研究者も居ます。

 研究チームが188カ国のデータを分析したところ、中程度から重度の視覚障害者がある人は2億以上いると推測され、この人数が2050年までに5億5000万人以上に増加するという見通しです。

予算拡大を推す理由

 英アングリア・ラスキン大学教授のルーパート・ボーン氏は「中程度の視覚障害でさえ、生活に相当な影響を及ぼしかねない」と指摘しています。「中程度だと運転もできなくなりその人の自立性にも損なわれてしまうことがある」と教育面や経済面でのチャンスが限定されてしまう、という危険性もあるそうです。

 東アジアと南アジア、サハラ砂漠以南の一部アフリカでは最も視覚障害者の割合が大きいところで、白内障手術などの治療による多くの資金を投入することや、各自にあった視覚矯正メガネを誰もが手に入るよう、呼びかけています。

 「視力矯正による投資収益率は極めて高く、発展途上地域ほど実施しやすい対策はあまりありません。安価でインフラもあまり必要なく、視力矯正に国がかける費用は、国民が労働力として復帰すれば、回収できる」とボーン教授は言っています。

医療制度の改善を

 避けられる失明の撲滅を目指して、30カ国以上で活動する慈善団体「サイトセイバーズ」は、水晶体が濁る白内障などの症状が増加していると発表しています。「高齢化と慢性病の増加で、世界の最貧国において視覚障害の負担は増加する一方だと予測している」という問題点も話しています。

 発展途上国の医療制度は改善の必要があり、持続的な眼科医療を提供するには、より多くの外科医と看護師を研修しなければ改善されないと指摘しています。

 これから増え続けると予測された上でどう対策していくか、ということをまとめてみました。こういったことで芸術の面も少しずつ、変わっています。次は視覚障害者が芸術に文字通り「触れる」を紹介します。

2.視覚障害者の「楽しみ方」はテクノロジーで変わる 

 今まで視覚障害者の美術館での楽しみ方というと、鑑賞ツアーで組み込まれた補助の人に声でどんな作品かという説明を聞いて、イメージを作り上げるというのが基本でしたが、最近だと石鹸やキャンドルの「香り」でアートを楽しむという楽しみの多様化が進みつつあります。

 

 その最先端が3Dプリンターを使った名作絵画の「立体化」です。音声ガイドを聞きながら立体化されたアートに触れて、聴覚と触覚で楽しむという新しい美術館の形を提供しています。日本にはまだないのが残念ですが、いつか導入してほしいなと思います。

視覚障がい者の日常生活をサポートする「スマートグラス」とは

 最近のテクノロジーの発達を代表するものといえば、VRゴーグルやスマートグラスなどありますが、視覚障害者向けのイーサイトマイグラスがあるのをご存知でしょうか? 主に7つの眼科の疾患に対応していて、健常者のように見ることができるようになる可能性を秘めています。

 まずは対応している7つの眼科疾患を紹介します。

・加齢黄斑変性症

・若年黄斑変性症

・網膜色素変性症

・コーンロッドジストロフィー

・リーバー先天性黒内障

・視神経形成不全

・Leber遺伝性視神経症(LHON)

「見ることができるようになる」をどう可能にしているか 

イーサイトマイグラス

 イーサイトマイグラスはユーザーが見ている全てのものを、備わっている高速・高精細カメラでキャプチャしています。2つの有機LEDスクリーンに視覚の明快さとほとんど遅延がなく、明確にはっきりと見ることができます。

 インスタントサイトという、どんな距離でも自動で焦点を合わせてくれる機能があるので、ストレスフリーで近距離(メールを読むなど)、中距離(テレビを見るなど)、長距離(外の景色を見るなど)とさまざまな視力距離にも対応しています。

 またヘッドセット本体を上に向けることができるので、周辺視野を活用できるので、いわゆるVR酔いも防止できます。詳しい情報は公式サイトに書いているので、興味をお持ちの方はどうぞ。

文字を読み上げてくれるメガネ「OTON GLASS」

 OTON GLASS(オトングラス)とは視覚障害によって文字を読むことが、困難な方のためにクラウドファンディングで開発された、メガネ型の機器です。

オトングラス1

 その機能は簡単で、読みたい文字の方に顔を向けて、ボタンを押すだけでカメラが写真を撮影し読み上げてくれます。聞き取れなかった場合はリプレイボタンを押せば、もう一度読み直してくれます。

オトングラス2

 OTON GLASSは見ての通り普通のメガネと変わりがないので、日常から仕事と身の回りのちょっとしたことを「読む」のに最適です。この秋からモニターも募集するみたいなので、気になった方は公式サイトからご応募ください。

まとめ・視覚障がい者は増加するかもしれないが「テクノロジー」も進化中

 視覚障害者が増え続ける原因として、高齢者社会と医師の不足が懸念されていますがテクノロジーも同様に進化している、という印象を受けました。事前に対処するということも大事ですが、どの業界でも言える「人手不足」により、早期解決は残念ながらしません。

 しかし企業や個人が「協力したい」という気持ちとアイデアで、少しでも日常を楽にできる方法やガジェットを考えてそれを形にしたり、娯楽の方法を提供できるというのは、素晴らしいと感動しました。

 前に車いすアプリ「Whee Log!」を紹介したときに、私が住んでいる地域ではまだまだ情報が足りませんでした。単純に普及率の問題とその時は思いましたが、車いすの人がそのアプリを導入してもココにトイレやバリアフリーがあると、わざわざ探すでしょうか? そもそも根底の問題がそこなのに、健常者がマッピングしていかないと母数は増えません。

 ですから障害というのは当事者の問題だけではなく、健常者も考える必要と対処すべき課題だと思います。これからも「協力」というのを社会全体で導入できたら、みんなが暮らしやすい社会になるのではと考えさせられました。

参考元・BBC MAR TABI LABO イーサイトマイグラス OTON GLASS

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