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前回から、『エニワンプロジェクト』の代表理事の狐崎さん(※ここではこんちゃん)、理事の田積さんにインタビューを行う機会をいただきました。
前半のインタビューでは、『エニワンプロジェクト』が掲げている「お互いさま」と「恩送り」など、すてきなお話を聞くことができました。
後編では、『エニワンプロジェクト』で行っているヨガ教室や、笑顔の力などについてお話を聞いていきたいとおもいます!
~お二人の経歴はこちらから~
https://eniwanproject.org/member/
インタビューの参加メンバーは、翼祈、ゆた、salad、mako、島川 です。
こんちゃんと田積さんの言葉は全て太字で表示されています。
交流会以外について

ゆた:エニワンヨガでは障害がある人もない人も参加しやすいと聞きましたが、どのような点が参加しやすいですか?
また、私の体はがっちがちなのですが、ヨガをすると柔軟になったりしますか?
こんちゃん:なります(笑)!よく聞かれるんですけど、硬い人こそやりましょう!毎日ちょっとずつでもやっていたら、必ずやわらかくなります!体が柔らかいと何がいいのかというと、ケガをしにくくなったり、代謝がよくなって痩せやすくなったり、疲れにくくなったりするなど、ちゃんとメリットがあるので、そのためにも、毎日少し頑張る!をチャレンジしてみてください。
例えば、体が硬かったら、何かに当たったら、衝撃をそのまま受けてからだを痛めてしまう。
でも、柔軟性があると衝撃を吸収できたり、分散できたりする。
あと私も転びそうになることがたくさんあるんですけど、体幹ができてからは、つまずいても転ばないで戻れるんですよね。
耐える力があったりとかするので、ヨガをやっていて良かったなってすごく思っています。
皆さんに実際に歩き方とかをお伝えしたり、杖を使われている方には、杖を持っている方に重心を乗せてしまうと、からだがどんどんそちらに傾いていって、からだが歪み、あちこちに痛みが出る。こういう意識をして歩くと、杖をついていても良い姿勢が保てますよ、というアドバイスなども行っています。
これは私が杖をついていたから出来ることだと思っています。
また、普通のヨガ教室でははない”エニワンヨガ”ならではだと思うのですが、「こういうところが病気で動けないんですけど、どうしたらいいですか?」と質問を受けることも多々あります。
それに対して「〇〇さんは、△△を使って補助してあげてください」とか「ムリに手をあげなくて大丈夫なので、足だけ動かしてみましょう」など、一人一人にあったアドバイスをしています。
自分が経験をしてるから、普段そういう方達と接しているからこそ、気付けることがあるし、寄り添うことができる。これは私の強みだと思っています。
あとは、病気のある方もたくさん参加されていて、病気をオープンにしている方が多いので、”そっか、私も頑張ろう!”って思ったりとか、あと病気がない人も、病気がある人がいることをわかった上で参加してるから、それを否定することはないし、病気がなくても「私もこれできないですけど」と言ってくださったり、出来ないことを恥ずかしがらなくていい、隠さなくていい、そういうのが”エニワンヨガ”の良さかなって思っています。
ゆた:やると決めたらやる、という性格はとてもかっこいいな、私にはできないかもな、なんて思うのですが、その性格でよかったことと、ちょっと失敗しちゃったなと思うことを教えて下さい。
こんちゃん:失敗したことは、私がとにかく休まずに働いてしまうので、それで再発したことです。
疲労とかストレスが再発の引き金になるのですが、多分自分自身では夢中でやってるから、あまり気づかず体を酷使して再発して、「あ。やっぱり私無理し過ぎていたよな。」ということがありました。
今は、パートナーが同じ病気を抱えているんですけど、彼は私と対照的で、家にいるのが好きだったりするんです。
だから、”あなたに休みってないんですか?”とか、”いつ休むんですか?”とか、言ってくれるんですよね。
私が夢中で、仕事をやっていると”また無視だよ!”という風にふざけて言ってくるので、「あ、休む時間作らなきゃ!」と意識させてくたり、お互いがいいバランスでいて、もし彼がいなかったら、睡眠時間を削ってずっと、休みなしで仕事をしていたんじゃないかなと思っています(笑)
でも、私はこの性格で良かったなと思っています。
やりたいと決めた事をやり通すっていうのは、良かったかなと思います。
ゆた:こんちゃんの大切にしている考え、3Kの話とか、ありがとうやごめんなさい、大好きという言葉はその時々でいう、人と比べない、過去の自分と比べないなど、前向きな考え方に私も共感します。
そのほかでも大切にしている思いや考えはありますか?
こんちゃん:”諦めないこと”と、”行動すること”。 ”考えるより行動”ですね。
両方とも大事なんですけど、考えて考えて何も行動をしなかったら、考えたことって全く意味がなくて、だからとにかく行動する。
すると、行動して失敗してもそれが経験になります。
どんなにいい考えを持って、目標を決めたとしても動かなかったら、意味がないので、目標設定をすることよりも、動くことが大事かな、って私は思っています。
あとは、”人はそれぞれ考えが違う”っていうのをいつも思っています。
相手を否定しないとか、別に考えが違っても、いいんじゃないかって。
相手は違う考えを持っていても、それはそうなんだ、って受け入れること。
あの人は悪い人だ、この人はいい人だとか、あのやり方は良くて、このやり方は悪いとか、決めつけないし思い込まない、というのがすごく大事だと思っています。
あとは、自分のことを否定する人がいても当たり前だし、エニワンプロジェクトの考えに共感してくれる人もいれば、反発する人ももちろんいると思うし、考え方が違うのもあって当たり前だと思うので、それが悪いとは思わないです。
ゆた:笑顔の大切さ、笑顔のパワーについて、何かあればお話をお聞かせ下さい。
こんちゃん:私の尊敬する人が、Facebookに載せていた言葉で、”世界の共通語は英語じゃなくて笑顔だ!”って書いてあって、すごく素敵だなって思いました。
例えばどんなに英語が出来ても、無表情で怒ったような顔をしていたら、気持ちって伝わらなかったりすると思うんです。
あと、笑顔は伝染すると思っているので、私はどこへ行っても自分からまずは笑顔で接するようにしています。
昔、職人さんが集まるような職場で働いていて、ご年配の職人さんたちが忙しく仕事をする中でも、私は必ず、”おはようございます!”とか”お先に失礼します!”と笑顔で、大きい声で言っていたんですが、最初はだれも返事しない。みんな黙ったままだったんです。
でも、ずっと毎日、何ヶ月も続けていったら、”お疲れさまです”と返してくれる人がだんだん、1人2人増えてきて、やっぱり笑顔は伝染するんだなって思っていました。
やっぱり笑顔を見せるって、すごく大事だなと思っているんですが、中には病気になって顔の筋肉が動かなくって笑顔が作れないという方もいらっしゃったりするんです。
私の知ってるALSの方で、本当に目しか動かせない方がいるけど、それでも目でも笑顔って伝わるんですよね。
交流会のときにも、「僕、笑顔が作れなくて、」っていう方がいたんですけど、参加している周りのみんなが「その人は笑顔でいる」と感じていて、笑顔は気持ちの面でも作ることができて、それが相手にも伝わると実感しました。
気持ちの面で笑顔って作れるんだ、それが相手に伝わるんだって思ってから、より”笑顔”ってすごく大事だなって思ってます。
翼祈:『エニワンプロジェクト』を必要としていても、まだ届いていない人もいらっしゃると思います。どうすれば、その人たちに声が届く様になると考えていますか?
こんちゃん:本当に、悔しい気持ちになりますよね。
だからこそ、諦めずに続けることが大事なんだと思います。
繋がりを作ることもすごく重要ですよね。
いろんな団体と関わりを持ったり、エニワンプロジェクトのような活動をしている人たちが集まるTeamsに参加したり、そこに投稿して情報を集めたり。単にSNSやホームページで発信するだけじゃなくて、様々な方法で広げていくことができると思います。
今、田積がプレスリリースでも頑張ってくれていますし、そういう形で少しずつでも前に進んでいくのが大事かなって。何より、諦めない気持ちがすごく大切だと思います。
田積さん:こんちゃんは患者会の代表として10年間活動を続けてきたんですよね。
やっぱり、活動を続けていくことが一番大切で、そこに存在し続けることが何より重要なんじゃないかなって思います。
私も栃木に住んでいるので、栃木の難病支援センターの交流会に参加したり、別の難病や障害のある方々が集まる場に行ったりしています。そうやって1人1人と繋がっていくことで、さらに人と人との繋がりが広がっていくんですよね。
だから、エニワンプロジェクトを勧められた時に、何も発信されていなかったら、不信に思われてしまうかもしれません。そうならないためにも、活動を続けていくことが大切なんじゃないかなと思っています。
こんちゃん:患者会は、最初は20人からスタートしたんですけど、10年かけて全国で667名まで増えました。でも最近は、新しい会員が増えないっていう話も聞くことがあるんですよね。
そんな中で、M-N Smileという患者会は今年も、どんどん会員が増えていて、何十人も新しく参加してくれています。
だからこそ、当事者として活動を続けていくことがすごく大切だなって思っています。
製薬会社さんとの関わりや、新聞やWebメディアへの掲載を通じて知ってくれる方が多いので、そういう発信を続けることが大事ですよね。
最後に

翼祈:先日の交流会で、テレビ東京の「生きるを伝える」という番組について、こんちゃんが「参加したいなら、繋ぎますよ」と触れられていましたが、その番組の詳細と、どういう人、何歳までが申し込みできるのかを、教えて頂きたいです。
こんちゃん:「生きるを伝える」は、がんや難病を経験した方にご出演いただき、
逆境を乗り越え今を生きる姿を伝えるミニ番組(3分程度)です。
https://www.tv-tokyo.co.jp/ikiru/backnumber.html
年齢は、40歳以下の方にご出演いただいているようです。
翼祈:今後増やしていきたい交流会などがあったり、『エニワンプロジェクト』でしていきたい活動の展望など、教えられる範囲で、教えて頂きたいです。
こんちゃん:エニワンプロジェクトでは、定期的に交流会やイベントの開催や、企業と協働して当事者や患者家族の声を取り入れた福祉用具などの開発を行っていますが、現在は特に、難病や障がいへの偏見や無理解をなくす活動に力を入れています。
小中学生を対象に、難病や障がいを抱える方々への理解を深めるため、当事者の声を反映させたボードゲーム形式の教材を制作し、当事者の講演をセットにした教育プログラムの実現を目指しています。
そのプログラムを全国へ展開し、学校だけでなく、障がい者雇用を実施する企業や地域のイベントにも取り入れてもらい、最終的には、誰もが当たり前に生きられる社会を作り上げていきたいと思っています。
翼祈:弊社が活動しているAKARIの読者の方も、様々な背景をお持ちの方もいらっしゃいます。その読者の方に、この記事を通して伝えたいことを教えて下さい。
こんちゃん:大変なのは、病気だけではありません。
私自身、十数年にわたり摂食障害に苦しみ、難病の当事者としても11年が経ちました。その経験を通して感じるのは、「大変さ」は人によって異なり、比べられるものではないということです。世の中には、戦争や災害、事件、さまざまな困難があります。そして、誰もが何かしらを抱えながら生きている。その現実を知っているからこそ、私はそう思います。
また、「病気がある=かわいそう」では決してありません。
たとえば、生まれつき指が1本しか動かなくても「社長になる」と決めて会社を立ち上げた方、大人になってから病気を発症し、数年で目しか動かなくなっても命の大切さを伝える活動を続けている方。私は、そんな方々と出会ってきました。
その姿を見て、「かわいそう」なんて言葉はまったく浮かびませんでした。
幸せは、与えられるものではなく、自分の心が感じるもの。他人が決めることではありません。
「今ある幸せを大切にする」「今できることを精一杯やる」。
それが、私自身の生き方の指針です。
(※ここでの“精一杯”は、無理をすることや大きなことを成し遂げることではありません。)
この記事を読んでエニワンプロジェクトの理念に少しでも共感していただけたら、LINE登録やYouTubeチャンネルのフォロー、交流会へのご参加など、できる範囲でつながっていただけたら嬉しいです。
田積さん:ぜひ交流会に参加してください!
難病じゃないからとか、障がいや後遺症はそこまで残ってないから、と色々考えて「自分なんかが参加しても、、」と思ってしまう方もいると思いますが、一歩踏み出すと世界が広がります。私自身がそうでしたが、エニワンプロジェクトの交流会に参加することで学びと勇気をいただいてます。
自分の経験を話すことで、共感してもらえたり、参加者の話を聞いて自分の感じたことを話すことで、自分も誰かの役に立てる存在だと思えます。
意見を否定する人はだれもいませんので、ぜひ多くの方に参加してもらいたいです!
インタビューを終えての感想
salad
私の母も多発性硬化症で、寝たきりの生活をしていました。当時は、病気に関する情報もなく、家族で手探りで治療法を見つけていたのを覚えています。
もし、当時にこのような交流会があればどれだけ助かっただろうと思います。
これからも、活動を応援しております。貴重なお時間ありがとうございました。
ゆた
『エニワンプロジェクト』のイベントや交流会の雰囲気は参加せずとも二人の人柄からどんな様子か凄く伝わって来ました!
障害を抱えている人にとって、障害がある前提でお話ができる場所はとても貴重だと思うし、今後も発展していって欲しいなと思います。
この記事を通して多くの方に『エニワンプロジェクト』の存在をしってもらえたら私としても本望ですし、こんちゃんという魅力的な人を皆さんに紹介できることを誇りに思います。
貴重なお話、そして、楽しいインタビューをありがとうございます!
mako
『エニワンプロジェクト』が掲げる、”お互いさま”と”恩送り”についてのお話を伺って、とても素敵な取り組みに感激しています。狐崎さん、田積さん、お二人の笑顔に引き込まれながら、お話を伺いました。これから益々のご活躍を楽しみにしております。ありがとうございました!
翼祈
症状に関してですが、こんちゃんの言われていた足のしびれ、私も最近2日連続ありました。
私は糖尿病という基礎疾患があって、合併症として神経障害もあると言われていて、この2日は、「今日は仕事を頑張ったから、少し甘いものを」と思って、食べると許容量を超えていた様でした。
足がピリピリとしびれ、測定器で測っても、高血糖という数字ではなく、ご飯を食べて、糖尿病の薬が効いてくるまで、しびれにひたすら耐えていました。
2日連続もそうなったので、長い目で観ると、私が甘いものを食べられる量はかなり少なくないと、またしびれが出るなと思いました。
そういうこともあって、こんちゃんが足の悩んだしびれの話、凄く分かりました。
田積さんの、「脳に多発性硬化症の症状が来ると、頭痛が出る」という話は、初めて聞いた話でしたし、傷病手当も、1つの疾患で、1回までしか使えないという話も初耳で、大変驚きました。
交流会に参加した人は、「一人じゃない」「偏見が無くなった」「自分を考え直した」という話も、凄く印象的でした。
声に賛同して、世界が広がるなんて、素敵ですね!
こんちゃんが大事にしている、
『世界の共通語は英語じゃなくて、笑顔』という考え方にも、共感しました。
実際に過去の交流会に参加したからこそ、感じる想いも多くありました。
こんちゃん、田積さん、この度は、本当にありがとうございました。
島川
この度は、貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
ご自分も症状と向き合いながら、10年間、当事者や支援者、ご家族の方が交流できる会や、ヨガを通じて生活を向上してもらうなどの取り組みをなさっていて、なかなか真似ができることではないですし、皆さんの強さや絆を感じました。
また、イベントに参加された方の笑顔が印象的でした。
つい病気や障害などを、周囲の方に隠してしまうことが多いと思いますが、きっと交流会を通じて想いを共有できたり、分かり合えたことがそうした表情を引き出しているのだと感じました。いつまでもこのコミュニティが続いていくことを願ってやみません。

関連するSNS
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以前受けられたインタビュー
QLIFE 企業と難病患者のかけ橋を目指す(2023年7月12日公開)
メディカルドッグ ~実録体験記~ 難病「多発性硬化症」と闘いながら、500名の患者会を立ち上げた女性(2025年6月16日公開)
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素敵なお話ありがとうございました!
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