2024年、東京都墨田区にある【賛育会】が『赤ちゃんポスト』を設置する予定!

赤ちゃんポスト

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事のテーマは『赤ちゃんポスト』なのですが、まず説明をしたいと思います。

『赤ちゃんポスト』は、2024年5月10日、日本で誕生して17年となりました。現在アメリカ、インド、スイス、韓国など世界各国に設置されていて、2000年代、世界に先駆け導入が進んでいた[ベビークラッペ]があって日本が参考にしたドイツでは、ピーク時に100ヵ所以上あったとされています。

ですが、2009年、「子どもの出自を知る権利を守る」等の理由を受けて、ドイツ政府の倫理審議会から『赤ちゃんポスト』は廃止を勧告されました。

一方、日本では法律上『赤ちゃんポスト』を運営することが可能ですが、熊本県以外普及していないのが現状です。

2007年5月10日に、熊本県熊本市西区にある慈恵病院の「こうのとりのゆりかご(『赤ちゃんポスト』)」を設置して以降、2023年3月末までに170人が預け入れられました。2019年には妊婦の孤立出産を予防するために「内密出産」制度の導入を表明しました。

預けられた赤ちゃんのほとんどは、半年から1年ほど乳児院に預けられます。厚生労働省は赤ちゃんが里親や施設などで養育を受ける「社会的養護」に関して、できる限り家庭的な環境で、安定した人間関係の下で育てることを推進しています。

今では「こうのとりのゆりかご」は全国的に広く浸透していますが初めこそ、前例のない事態に熊本市は対応に苦慮し、国側は、伝統的家族観に反すると言い、当時の首相を始め、政権幹部が相次いで不快感を表明しました。最終的には、厚生労働省と法務省は「違法性はない」と消極的に容認し、当時の市長が許可に踏み切ったという経緯があったといいます。

その後も、匿名性を譲らない慈恵病院と預け入れた親の身元を探すために社会調査を実施する熊本市の児童相談所との間で対立が続いてきた中で、慈恵病院では出自を知る権利を担保することと、母子の生命の安全のために、病院の担当者にのみ身元を明かす「内密出産」の受け入れを開始したといいます。

実は私は2022年に、『赤ちゃんポスト』の記事を書いたのですが、そことは違う、同じ東京都で、設置したいという病院があることをご存知ですか?

2023年9月28日、東京都墨田区にある社会福祉法人「賛育会」は、親が養育できない赤ちゃんを匿名で託せる『赤ちゃんポスト』を、墨田区で運営する【賛育会病院】(199床)に設置する準備を進めていると明らかにしました。

妊婦が病院の担当者だけに身元を明かして出産する「内密出産」制度と一緒に、2024年度の開始を掲げているとします。

今回は、【賛育会病院】が取り組もうとしている、『赤ちゃんポスト』について、発信します。

【賛育会病院】の『赤ちゃんポスト』は、どんな感じになる?

「賛育会」は、東京都内や長野県などで16の福祉施設、医療を運営していて、婦人科や産科、小児科などがあります。

思いがけない妊娠や、【賛育会病院】以外に誰にも身元を明かさない「内密出産」などに対応する相談事業の体制を拡充する《赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト》として2024年度からの運用を目標に、2023年度に入って、東京都や墨田区と調整を進めてきました。

【賛育会病院】の関係者によりますと、赤ちゃんポストは生後4ヵ月までの早期乳児を対象とし、専門の医療スタッフが24時間体制で対応可能な様にします。

また、病棟の外壁に差し入れ口となる『赤ちゃんポスト』を作り、内側に保育器を設置します。受け入れ後は警察や児童相談所と連携し、里親や乳児院などに結び付けます。

「内密出産」に関しては、親の氏名や生年月日、氏名などを病院が独自に保管します。将来大きくなった子供が、希望すれば親の身元情報を確認できる様にします。開示年齢は16歳とする案を主軸に検討しています。

妊娠や出産に関連する相談体制も拡充します。平日の日中に加え、22時まで対応する夜間窓口を週3日開設します。

病院側は既に『赤ちゃんポスト』や、「内密出産」の手続きの流れを示した図を作成中で、東京都や墨田区など関係機関への説明を始めているとします。

虐待や貧困・家庭崩壊、ジェンダーなども大きく影響を与える課題解決に向けた一助となるために、【賛育会病院】の機能を拡充・強化します」と説明しています。【賛育会病院】を運営する社会福祉法人賛育会本部が相談事業を担って、【賛育会病院】が『赤ちゃんポスト』と、「内密出産」を行う体制を整えます。

東京都内では、小児科医院などを運営する東京都江東区の医療法人社団[モルゲンロート]が2024年秋を目指し、『赤ちゃんポスト』を設置する計画を発表していましたが、現時点では設置場所が確保できなくて、用地取得の目処が立たず、江東区との具体的な協議も実現できていません。

病院以外では、2022年5月に北海道当別町にある市民団体が赤ちゃんを匿名で預かる[ベビーボックス]を設置しています。

慈恵病院が初めて『赤ちゃんポスト』を設置した後、複数の団体が設置を表明したり、検討したりしましたが、17年以上が経過しても病院による『赤ちゃんポスト』の新設は実現していません。

【賛育会病院】の取り組みが具体化できれば、病院では日本国内2ヵ所目の『赤ちゃんポスト』となります。

【賛育会病院】の計画に関して、慈恵病院の蓮田健院長は、「東京に『赤ちゃんポスト』の受け皿ができる意義は大きいです。孤立した女性がいつでも安心して相談できる体制を整えて頂きたいです」と語りました。

これから、養子縁組の支援を行う団体や児童相談所などとも具体的に協議します。

【賛育会病院】の担当者は、「早ければ2024年4月に妊娠相談事業を始め、『内密出産』、『赤ちゃんポスト』の順に設置を始めていきたいです。一人でも多くの赤ちゃんの命を救いたいという意識で取り組み、関係団体や行政と慎重に協議を進めたいです」と言い、

とし、

「乳児遺棄など痛ましい事件が起きていて、様々な社会課題の解決に向けた一助としたいです」と説明しました。

参考:墨田区の病院、国内2例目の「赤ちゃんポスト」設置へ…「内密出産」とともに来年度開始目指す 読売新聞(2023年)

家族法が専門の奈良大学の教授の男性Aさんは、

「東京に設置して、体力もある医療機関が取り組むことには大きな期待をかけています。『赤ちゃんポスト』には『育児放棄を助長する』などの批判が常につきまといますが、そうした厳しい日本国内の環境下でも前向きに取り組めるかが課題です」と語ります。

また、先述の教授の男性Aさんは、慈恵病院では年間数千件とされる妊娠相談に対応し、赤ちゃんを受け入れるための24時間体制で『赤ちゃんポスト』を整備するなど、病院での負担の重さを指摘しました。

「現状では行政からの支援は困難で、財政的に病院の負担となります。『赤ちゃんポスト』の開設に伴うリスクを負える病院がこれまで出て来れなかったというのが現実です」と説明しました。

 その上で、『赤ちゃんポスト』の開設に向けた課題に関して、

「病院は子どもを安全に受け入れる体制を整えると同時に、受け入れをした後には児童相談所などと連携して対応することが重要です。熊本市が弁護士や大学教授による『こうのとりのゆりかご』専門部会を構成した様に、受け入れ態勢を十分に検証する場の提供も必要でしょう」と述べました。

『赤ちゃんポスト』の開設の難しさを感じる資料

この記事の本題にも出てくる、東京都江東区の医療法人社団[モルゲンロート]ですが、2022年に記事を書きました。それが下記になります。↓

この記事を書いた後の時系列を少し触れると、

2022年11月16日、開かれた定例会見で、江東区の区長は、『赤ちゃんポスト』が自宅などでの危険な孤立出産を促すという懸念があるとの言及をし、「お母さんがとんでもない場所で1人で出産してしまいます」と指摘し、「非常に難しい問題で、赤ちゃんを預けたら誰かが育ててくれるだろうという考え方を浸透させてもいいでしょうか?」と『赤ちゃんポスト』を設置することに難色を示しています。

2022年11月22日、[モルゲンロート]の理事長の男性が、小池百合子都知事と面会し、『赤ちゃんポスト』の設置での協力を求めました。小池都知事は、「官民連携で課題を整理しながら、病院で体制を確保して頂きたいです。東京都だけでなく墨田区、警察とも連携し、色んなポイントを整理して検討していくのが必要です」と説明しました。

2023年2月9日、[モルゲンロート]の理事長の男性が、熊本市の慈恵病院が運営する『赤ちゃんポスト』の「こうのとりのゆりかご」を初めて視察しました。

理事長の男性は同日、「こうのとりのゆりかご」に預けられた男性Cさんとも熊本市内で初めて面会しました。男性Cさんは東京都での動きに関して、「『こうのとりのゆりかご』が日本では浸透しないんじゃないかと危機感がありました。前向きに捉えていますし、東京にも設置して頂きたいです」と述べました。

慈恵病院の蓮田院長は、「まずは『赤ちゃんポスト』を始めてみて足りない部分を改善し補完し合う。そういうやり方が良いのではないでしょうか?」と語りました。

理事長の男性は、「『赤ちゃんの命を助けたい』というのを理念としながら勉強を重ねています。しっかり『赤ちゃんポスト』を開設し、他の病院にも浸透する様に持続可能なシステムの構築を考えていきたいです」と説明しました。

母子の福祉が専門の目白大学の人間学部の准教授の女性によりますと、母子支援に積極的なドイツには、90ヵ所以上の『赤ちゃんポスト』に加え、産前・産後の母親の相談に対応する相談所も1500ヵ所以上あるといいます。

准教授の女性は「今回の『赤ちゃんポスト』の設置の動向を、妊娠期支援全体を問い直す機会にして頂きたいです。日本も妊娠期に特化した母子の生活支援施設を増設するなどといった、孤立を阻止する取り組みを急務なことです」と求めました。

私は、[モルゲンロート]に関しては、記事を書いてから続報も読んでいましたし、この記事を書く時に再度検索をかけてみましたが、続報は何もありませんでした。

【賛育会病院】の話を知ったのも、今から約1年前なので、「続報ないかも?」と思っていましたが、

2024年7月20日ごろから、予期しない妊娠などで悩んでいる女性を対象とした無料の匿名電話相談(妊娠SOS相談)をスタートしました。

「出産費用がない」「誰にも相談できない」といった不安を抱えている人に寄り添いながら最善のやり方を一緒に考えるのが目的で、看護師や助産師など経験豊富な女性相談員が対応しています。

無料の匿名電話相談(妊娠SOS相談)の月・水・金曜16~21時、特設電話番号=03-4400-4527=で受け付けています。

と書いてあって、その中に、《赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト》として、2024年7月から運用をスタートさせた電話相談、『赤ちゃんポスト』の設置、「内密出産」の3事業を2024年度から段階的に開始すると表明していました。

とも書いてあって、もしかしたら、江東区のと違い、『赤ちゃんポスト』を設置できるかもしれない、と思いました。

[モルゲンロート]が設置を表明したのが2022年で、2024年秋に設置予定と書きましたが、続報が何もないことを考えると、いかに『赤ちゃんポスト』を設置することの難しさを、2つ記事を書いたからこそ分かりました。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。