エスカレートしている「カスハラ」 -企業だけでなく国も動き出している-

ハラスメント

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こんにちは、金次郎です。

 店員に横柄な態度で無理難題を言って困らせる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」
最近では、その要求が常識を超えていたり暴力的な行動に出る人もいます。
今回は、その「カスハラ」の現状と対応策について書いてみます

「カスタマー・ハラスメント(カスハラ)」の定義と実情

 カスタマーハラスメント「カスハラ」は、以下の様に定義されています。

「お客様からのクレーム等の要求内容が、妥当性を考えると、その要求を実現するための手段や対応が社会通念上不適当なもので、労働者の就業環境が著しく害されるもの」

   サービス業が加盟する労働組合「UAゼンセン」が調査を行ったところ、全体の約半数の人が「直近2年以内で、カスハラ被害にあったことがある」と回答したそうです。

カスハラ対策を怠ると、どうなる?

 会社には「安全配慮義務」と言って

・従業員の生命や身体の安全を確保しつつ、労働する事ができるように配慮をする義務

が有ります。

 ですから、会社が「カスハラ対応」をキチンとできていないと、「安全配慮義務違反」として従業員から損害賠償請求を受ける可能性が有ります。
 また、カスハラに対して不適切な対応指示をした上司が、従業員から不法行為責任を追及されたりする事も考えられます。

 例えば、従業員の中には「カスハラ」対応に疲れた末に、メンタル面が不調になってしまい休職もしくは退職に追い込まれてしまう人も出て来ています。
 また、正義感の強い店員が、不当な要求と感じ突っぱねてしまった事が問題となり裁判沙汰になってしまう可能性も否定できません。 

「カスハラ」対策の難しさ

 「カスハラ」をするお客への対応の必要がある事は十分理解していても、カスハラへの対応はパワハラやセクハラの対応とは違う難しさが有ります。
 それは以下の理由からです。

1・「カスハラ」をする人は、お客さまでもある

 ある行為をカスハラと判断する。
 つまりそれをするお客さまを加害者と判断しても、もしその判断が誤っていたら問題になると
言う懸念を考えながら、対応を検討しなければなりません。

 また、お客さまの行為をカスハラと判断したとして、お客さまに対して

  ・「どこまでなら、言い返しても良いのか?」
  ・「どう言う対応までなら、しても大丈夫か?」

 と言う悩みが生じます。

2・従業員は、被害者であると言う認識

 カスハラ対応の場合、自社の従業員は被害者と言う認識を持つ事です。
 しかし、予防措置を講じるのには限界があります。
 例えばパワハラの様に「加害者にならないよう教育をする」と言う予防措置がとれませんので、
「個々のクレーム毎に判断して、対応しないといけない(ケースバイケース)」という難問に直面します

先ず、「コンビニ業界」が動き出す 

 ローソンでは、6月4日から悪質なクレーマー(カスタマーハラスメント)対策の一環として、店舗従業員が着用する名札の表記を見直したそうです。
 これまで名札は、実名(名字のみ)の記載を基本としていましたが、今後はアルファベットによるイニシャル表記にするとの事です。

 ファミリーマートも、5月下旬から従業員の名札の表記について、実名以外の別名を表記する(さとう ⇒ かとう)ことも可能にしています。

 セブンイレブンは、2022年(令和4年)7月から名札に顔写真が入っていないものに変更しました。
 更に現在は、名札の名前表記については漢字を使わず「ひらがなで名字のみ」としていますが、「今後の状況を見ながら、表記規定の再見直しも検討していきます」と言っています。

参考:(日テレNEWS)「木刀持って再来店された」 “カスハラ”の厳しい実態、調査で明らかに コンビニは名札の表記変更も…

国も動いている

 この様な、飲食店や販売店での店員に対する無茶な言動「カスタマーハラスメント」を行う客に対しては、厚生労働省も動いており、対策をまとめたマニュアルやポスター等を作っています。

マニュアル(pdf形式 50ページ)

リーフレット「マニュアルの概要版(pdf形式 6ページ)」

※マニュアルやリーフレットには、学識経験者による議論や顧客と接することが多い企業への
 ヒアリングを踏まえ、カスタマーハラスメントを想定した事前の準備、実際に起こった際
 の対応など、カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みを記載しています。

・ポスター(お客への周知・啓発用)

と、各種そろえています。

参考:(厚生労働省)「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!

終わりに 

 実はこの様なハラスメントは、コンビニなどの販売業だけでは無いのです。

 最近は、市役所など役場の窓口でも、女性職員の写真をスマホで撮ったり、対応した職員の言動が気に入らないとSNSやX(旧:Twitter)などに、職員の写真と実名を載せて悪口を書く人がおり、役場も苦慮しています。
 それで、役場でも名札をフルネーム表記から名字のみに変えるところが増えているそうです。

参考:(朝日新聞窓口で男性客に写真撮られ「気持ち悪い」 市職員の名札、名字のみに

参考:(読売新聞)SNSで自治体職員の「実名さらし」、偽アカウントで「バカすぎて滑稽」…フルネーム名札やめる動き

 私がテレビで見ていた報道番組では、ラーメン店で店主に難癖をつけている様子でしたが、そのお客が「50代 男性」と言うテロップを見て、情けない気持ちになりました。
「日本人は、ここまでわがままになってしまったのか」と。

 カスハラをするのは勝手ですが、した人は二度とそのお店には行けなくなりますよ。
 店主や従業員から覚えられてしまい、入店を断られるでしょう。
 自分で自分の行動範囲を狭めている事を、承知の上でやってくださいな。

 

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