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こんにちは、金次郎です。
今年の春闘の事を、2月に書きました。
もうすぐ春闘-今年の企業の賃上げ姿勢は凄い!-
その後のニュースで、大企業はどちらの会社も労働組合の要求に対して満額回答をしています。
どの会社も「物価高なのに給料が上がらない」と不満を漏らしている社員に報いようと必死です。
しかし、それ以外の理由も有ります。
33年ぶりの賃上げ率
労働組合の「連合」が3月15日に
・今年の春闘での定期昇給を含む正社員の賃上げ率は、平均で5.28%でした
と言う集計結果を発表しました。
1991年(平成3年)の5.66%以来、33年ぶりに賃上げ率が5%を超えました。
集計は、15日午前10時までに回答のあった771組合分をまとめたものです。
物価高や人手不足に苦慮している組合員を助けようと、労使ともに賃上げを考えるなかで高水準の賃上げが実現しました。
基本給を底上げする「ベースアップ(ベア)」分については、654組合の平均で3.70%の上昇で、前年と比べて1.37ポイント伸びました。
ベースアップと定期昇給の、両方を含めた1人当たりの賃上げ額は、去年より4625円アップの1万6469円でした。
ただし、これは大企業での話でして、この様な賃上げが中小企業に波及するか?
が、今後の焦点です。
参考:(東洋経済ONLINE)33年ぶり5%超でも「賃上げ一色」はまだ遠い
参考:(朝日新聞)春闘の賃上げ率5.28%、33年ぶり高水準 中小に波及するか焦点
何故、こんなに賃金が上がる?
では、今年は何故こんなにも給料を上げてくれるのでしょうか?
それは、少子化による新卒の若者の減少に加えて、会社が頭を悩ませているのが、若い社員が入社しても、すぐ会社を辞めてしまう事です。
厚生労働省の調査によりますと、2020年3月に大学を卒業して就職した人のうち、32.3%が入社3年以内に会社を辞めてしまっているのです。
大卒3年以内の離職率は、ここ数年3割前後で推移しています。
退職理由として
・仕事内容に対する不満もあるけれど、若手の賃金が低く抑えられてきた事
と言われており、それ故に若手を中心に賃上げを行おうと言う事で初任給の大幅なアップをする会社が続々と現れて来ているのです。
以下は経団連の「2024年春闘の交渉方針」でして
・初任給の大幅な引き上げで、年次の近い若手の給与が追い抜かれないよう、全社的なベアを検討
と言う様に各会社に求めています。
参考:(読売新聞)初任給の引き上げ相次ぐ、企業悩ませる若手社員の離職…大卒就職者の3割が3年以内に離職
行き過ぎた会社まで現れた
総論で示した、私の過去記事では初任給について
・去年 ユニクロ(30万円)
・今年 第一生命(32万円)
と言うのを書きましたが、遂に「初任給40万円」などと言う会社も現れました。
この会社は、セレクトショップやファッションブランドを展開する「TOKYO BASE(東京都港区)」と言う会社ですが、求人票には「給与に80時間分の固定残業代が含まれる」と記載されています。
固定残業代が80時間分含まれた給与に問題は無いのでしょうか?
弁護士によりますと「公序良俗に反しており無効であると判断されるおそれが高い」と指摘しています。
TOKYO BASE社によりますと
「初任給一律40万円への引き上げは、学歴、年次に関わらず、24年3月入社以降の新入社員に適用します。これにより、2月分給与より全従業員を対象としたベースアップも行います。」
と言います。
ただし、学生向けの就職情報サイト「リクナビ2025」に掲載されているTOKYO BASE社の求人を見てみますと、40万円の月給のうち「17万2000円は80時間分の残業代」と記載されています。
その残業代ですが「固定残業代は残業がない場合も支給し、80時間を超える場合は別途支給」と明記されています。
でも「月平均の所定外労働時間」の部分は空欄ですので、実際に何時間くらいの残業が発生しているのかは分かりません。
参考:(J-CASTニュース)注目浴びるTOKYO BASEの「初任給40万円」、実は「公序良俗に反して無効」の可能性 弁護士が指摘する「固定残業代80時間分」の問題点
残業80時間は「過労死ライン」
多くの労働問題を扱う旬報法律事務所の深井剛志弁護士によりますと
・「固定残業代が有効かどうかの観点として、公序良俗に反するかどうか」
が問題になってくると言います。
更に
・「一般社会常識や社会秩序に反するものは無効であるという法律(公序良俗)があります。
現に、公序良俗に反して固定残業代の定めが無効となった裁判も過去にありますから。」
と説明します。
過去に固定残業代の定めが無効とされた判決事例では、TOKYO BASEと同じ月の残業80時間だったそうです。
この裁判で「公序良俗に反する」と判断された理由は「過労死基準に匹敵するため」との事です。
そう、長時間労働で過労死する人が増えたために、時間外労働に関しては使用者と労働者の間で取り決める「36協定」の締結・届出が必要になりました。
時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間です。
特段の事情がある場合は、労使間で合意をすれば上限を超える事はできますが、それでも年720時間が上限です(月ベースで60時間)。
大企業では2019年4月から、中小企業は2020年4月から適用されています。
終わりに
過去の記事で、もう嫌になるほど書いていますが、
「私が障害者になってしまったのは、長時間労働のすえです。」
障害者になるのは、まだましで、下手をしていたら私も過労死していたかも知れません。
そりゃ、お給料はたくさん貰えた方が嬉しいですが、身体を壊してまで貰うものではありません。
所定時間内に終われる量で仕事をして、会社の利益を出す。
これが健全な働き方では無いでしょうか?
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