この記事は約 8 分で読むことができます。
どうも、ゆたです。
前の記事で、私の恩師、M先生についてお話ししました。
【体験談】入院中は外泊禁止?! 修学旅行にどうしても行きたいとワガママを言う私に先生がとった行動とは?
私は3回ほど精神科に入院をし、その間の生活については、ある程度、理解しているつもりです。
病院によっては、対応に差があるのかも知れませんが、一例としてご紹介したいと思っています。
精神科病院での入院生活は?
私の入院した病院では大きく分けて3階までが病棟になっていました。
北病棟と南病棟があって、それぞれに10人から15人ほどの人数で生活しています。
性別も年齢もバラバラで、色んな病気の人と共同で生活を行います。
私は大部屋でしたが、個室の部屋もあるので、それぞれの症状に合った入院生活を送ることができます。
携帯などのインターネットを利用できる電子機器は禁止でしたが、ネットが繋がっていないゲームやPCは持ち込みが可能でした。
勿論長時間はダメですが、時間があれば他の病棟の友達とモンスターを狩りにいったり、ぷにぷにした色とりどりのスライム状の生物を繋げて消したりしていました笑
ここだけ聞くと楽しそうですが、目的は治療であり、それ相応のことはしなくてはなりません。
1日のスケジュールを簡単にまとめましたので、一読のほど、お願いします。
7:00 起床
7:30 朝食
8:00 問診
8:30 朝の集まり
9:00〜11:30 勉強会(学生のみ)
12:00 昼食
13:00 授業
15:00 自由時間
16:00 運動
18:00 夜食 その後風呂などを済ます
19:00 自由時間
22:00 消灯
大体の1日の流れはこんな感じです。
それでは詳細について話そうと思います。
まず、朝は絶対に起床しなくてはなりません。
なので、体調が悪くても、先生が来る問診までに起きていなくてはなりません。
朝食は後で取り置きしてもらえることもあるのですが、問診の5分前には叩き起こされます。
問診を終えれば、軽い朝の集まりがあります。
点呼の後、今日はどう過ごすかを軽く発表します。これは本当にみんな、自由に発言していて、今日は眠いとか、誰々と散歩したいです、とか各々の予定を発表したりしていました。
それが終われば、少し時間を空け、勉強が始まります。
小学生も中学生も高校生も関係なくごっちゃ混ぜで勉強をするので、正直てんやわんやでした。
じっとしておくのが苦手な子なんてたくさんいましたし、勉強を好きな人なんてごく僅かです。
私は年齢で言えば、ちょうど中間の人間だったので、下の子と一緒に掛け算の勉強をしたり、先輩からは高校生の勉強を教えてもらったりと、それなりに楽しい時間を過ごしてました。
昼食を食べ、授業の時間です。
これは強制ではないですが、病気について看護師、または時間がある医師だったりが患者さんたちに向けて講義のようなものを行なっています。
一概に病気と言っても、本当に多種多様なものがあり、私は統合失調症以外の講義も友達に連れられていかれたり、先生から強制参加があったりしました。
今思えばありがたいですが、当時は遊びてぇー、と思ってましたね笑
午前中勉強したのに、午後もかよ、なんて生意気にも悪態をついていました。
そして、それを乗り越えれば、自由時間です。
ここでは基本的にゲームか、お喋りでしたね。
ゲーム機片手に、友人とローカル通信して遊んでいました。
中にはゲームを持ってない子どもいるので、本当は貸し借りは禁止なんですが、こっそり貸してあげたりしてましたね、ここだけの秘密ですよ?笑
そのあとは、外の少し開けた場所で運動をします。
体育館のような場所でやることもありますが、晴れた日は大概、外で遊んでいました。
ドッチボール、バレーボール、サッカー、大縄。
内容は様々ですし、結構勝つために本気でやっていました。
本気でやるので、運動が苦手な子は別でやったりもしますが、キャッチボールや準備運動はほぼ強制参加でしたね、女の子とかは特に嫌そうにしてましたね。
私を含めたちょっとおバカな男子たちははしゃいで遊んでいましたね、なんだかんだ、遊ぶのは楽しいもんです。
そして、少し休んだ後、夕食とお風呂の時間です。
私がいた病室では2人でお風呂に入ります。
私はいつも、遊んでいた男の子と一緒に入って、はしゃぎすぎて怒られていましたね笑
人数の都合上、仕方ないんですけど、風呂の時間は決まっていて、それが本当に短いんですよ。
そのせいで、私たちがなかなか出ないと、看護師さんが覗きにきて、すぐ出るように、と言われます。
お風呂から出てたら、ここからが長い夜の自由時間。
大人はテレビを見ますが、子どもたちはトランプをしたり、漫画を読んだり、各々自由に楽しく過ごします。
なんだかんだで、この時間が1番、楽しかったように思います。
ベランダに集まり、小学生から上は大学生まで、恋バナだったり、ちょっと大人の話とか、知らない世界についての話に衝撃を受けました。
そして22時になれば消灯、それぞれの部屋に戻り、睡眠をします。
私は睡眠障害はそれほどないのと、仮に眠れなくても睡眠道入薬を飲むと、30分もすれば眠りについてしまうのであまり知りませんでしたが、大人の方々は夜会をやっています。
というのも、薬をもらうため、看護師のところ行くのですが、それが共有スペースを通るらしくそこで、眠れない方々が顔を合わせ、眠たくなるまで、一緒にいるんです。
でも喋っていると怒られるので、ただ無言で温かいお茶を飲んでいるだけらしいですけど、子どもの私にとっては、ずるい! なんて思っていましたね。
そして、朝になれば起きる、といった具合で1日を過ごしていました。
入院をすると自然と家が恋しくなる。親と距離を置くことでわかること。
私の担当医であるM先生は、病院について「日常と切り離し、本来の自分を取り戻す場所だ」と言っていました。
日常と切り離す、というのは、精神疾患、特にうつ病などを抱える人で多いのですが、根が真面目すぎて、あれもこれも頑張らないといけない、と追い込みすぎてしまう方がいます。
そういった方々から日常を強制的に忘れさせる場所が精神科病院での入院だと言います。
どれだけ薬を処方しても、ストレスがかかり続けていると、人間は壊れてしまいます。
病気は完全に壊れてしまう前のサインなのです。体が限界だよー、って悲鳴をあげている状態です。
そういった方々のために一度入院することがこれからの人生において大切だったりします。
後は、私の周りには複数人いましたが、親と関係があまり良くない子ども達と親を引き離すためにも入院という手段をとっていました。
子どもの中には虐待を受けていた子や逆に過保護過ぎて気が滅入っている子もいました。
私が言えたことではないですが、親だって親になるのは初めてのことです。
子どもとの接し方なんてどこでも習わないし、難しいのかも知れないと思います。
しかし、だからといって子どもが辛い思いをしていいとは、とてもではないですが言えません。
そういった子どもたちとひと時ではありますが、距離を置くことで、見えてくるものがあります。
私の知る限り、親との関係が悪い子どもでも、1ヶ月ほど入院していると「帰りたい」と言っていました。
感覚では半数以上の子どもたちがそう思うようです。
ただ、虐待を受けていた子どもたちの多くは、両親にもう2度と会いたくない、と思う傾向が強いと思います。
症状によっても変わってくるので一概には言えませんが、子どもにとって両親というのは、本来かけがえのない存在なんだと思います。
そして、距離を取ることで、子どもは親の存在意義を感覚的に見直すきっかけになっていたのだろうと思います。
私もその1人でした。
特別、親との関係は悪くなかったですが、やはり中学生だと思春期なので、悪態つくことも多くなります。
ただ入院中、親の温もりがないので、自然と母の口煩い声ですら、恋しく感じるのです。
そして、子どもの入院で変わるのは何も、子どもだけではありません。
親も自分と家族の関係を見直すきっかけになります。
家に帰っても自分の子どものただいまが聞こえない、家の中が静かで寂しい、親はそのようなことを感じてしまうようなのです。
『子ども』という時間は思ったより短く、あっという間。
たまにはイライラすることもあるだろうけど、どんな親でも子どもを大切に思っていることがほとんどです。
ただ、その感情をいっ時だけ忘れてしまうことがあるだけです。
子どもと距離を置くことで、親も自分と向き合うことができます。
子どもにとって親は唯一無二の存在であるように親にとっても子どもは特別なのだと、入院を通し、様々な家庭を見る中で、私が辿り着いた答えです。
最後に。
この経験談をここまで読んで頂いた方の中には、自分がこれから精神科入院する方、もしくは家族の誰かが入院するという方もいらっしゃるかと思います。
今は不安でいっぱいかも知れません。しかし入院とは、一度社会との関係をリセットするきっかけになります。
今までは自分以外の何かにばかり気を取られてしまい、自分に時間を使えなかった方も、ここでは冷静に自分を見つめ直す時間が取れます。
退院した後、自分の人生をこれからどうして行きたいのか、ゆっくり流れる時間の中、見つめ直してみても良いのではないでしょうか?
焦らずとも、時間はまだ、あります。
以上、お相手はゆたでした。
→HOME
コメントを残す