地域包括ケアシステム:在宅医療の勉強会に参加して感じた介護保険制度の問題点と改善案

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こんにちは、改めましてM. Jです。

この記事をご覧の皆さんは、年齢を重ねても、自分の住んでいる地域で充実した生活を送りたいと願ってやまないのではないかと思います。

そんな願いを叶えるために必要な「地域包括ケアシステム」というものがこれから創られようとしているのことを皆さんはご存じでしょうか?

「地域包括ケアシステム」を簡単にいいますと、障がい者・高齢者などが「病気」や「転倒」のために介護が必要な状態になっても「住み慣れた家・地域」で居住し続けることができるために創られる「システム」のことです。

現在は知らない方のほうが多いと思いますが、これから1人1人が充実した地域や在宅で生活を送るためにものすごく大事な「システム」です。障がいのあるなしに関わらず、皆さんの日常生活にも深い関係がありますので、ご覧いただけるとありがたいです。

そこで、今回は、在宅医療の勉強会に参加して得られたことについての記事を以下の項目に沿って、記事にしていこうと思います。

  • 地域包括ケアシステムの概要
  • 地域包括ケアシステムのメリット
  • 介護保険制度の課題 ➡️    地域包括ケアシステムへ
  • 地域での支援について:自助・互助・共助・公助
  • 最近の病気の傾向と現在の医療について
  • 在宅医療について
  • 介護保険の内容
  • 補足:現在の公的機関の考え方
  • 住み慣れた家・地域で居住し続ける方法

地域包括ケアシステムの概要

「地域包括ケアシステム」は冒頭でもお伝えしたように障がい者・高齢者などが介護が必要な状態になっても「住み慣れた家・地域」で居住し続けることができるために創られる「システム」のことです。

厚生労働省は、2025年をメドに自立生活支援の目的のもとで「自分らしい暮らし」を人生の最期まで続けることができるように「地域包括ケアシステム」を構築していきたいと考えています。

そのためには「地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築をしていくこと」が重要です。

全体として、地域生活での「生きづらさ」を解消していくために創られており、「住み慣れた家・地域で生活する」ための「システム」です。

システムの中身について

地域包括ケアシステムの中身については、下記の様なイメージが厚生労働省から示されています。

地域包括ケアシステム

画像引用:厚生労働省:地域包括ケアシステム(PDF) 

これまでの過度な病院頼みから抜け出し、病院・病床や施設の持っている機能を、地域の生活の中で確保することや、医療サービスや介護サービスだけなく、住まいや移動、食事、見守りなど生活全般にわたる支援を併せて考え、住まいや移動等のハード面の整備や、サービスの有機的な連携といったソフト面の整備を含めた、医療・介護のサービス提供体制を考えていくのがねらいです。

病気になったら医療、介護が必要になったら介護の専門職、生活に関わることや、介護の予防を地域のボランティアなどがそれぞれ支援を行い、公的機関である、地域包括支援センターの職員が中心となって連携していくことを目指しています。

このことにより、地域に高齢者や障がい者の方が積極的に出てきて、いきいきと暮らすことや、周囲の方が本人の生活の状況を把握しやすくなるなどのメリットもあります。

地域包括ケアシステムのメリット

地域包括ケアシステムにはどのような「メリット」があるのでしょうか?

【メリット:本人・家族にとってのメリット

自宅や地域で過ごすことによって「自由な生活」が可能となる。

「自分らしく過ごせる時間」が多くなる!

本人にとって自宅での生活は「和室や段差など」が多いので「身体機能の維持」につながる。

自宅や地域は「良い刺激になるものが多い」ので精神状態の改善になる!

本人の「精神状態の改善」を促進する大きな原動力となる!

地域でさまざまな人と会話をすることで、自信づけとなり「認知機能が維持・改善」される。

本人の「健康寿命(日常生活を自立して送れる期間)」が長くなる。

訪問診療などが進めば介護の必要な障がい者・高齢者の「通院負担の軽減」を図ることができる!

本人と本人の家族の「きずな」「情のある関係」が深まる。

家庭環境・生活・価値観を考慮した「個別化した医療・ケア」が可能となる。

【メリット:社会にとってのメリット

日本の医療費を大きく減らすことができる。

施設を増設する必要性が少なくなる。

障がい者・高齢者の生活の状況を把握しやすくなる。

結果として、日本社会を「活きたもの」にする原動力となる。

上記のように、地域包括ケアシステムは「メリット」がものすごく多いです。

次の項では、現在の介護保険制度の課題について書いていきます。

介護保険制度の課題 ➡️    地域包括ケアシステムへ

介護保険制度は、2000年に「介護を社会全体で支えることを目的に創設された」制度です。

現在、この制度によって少しずつ「家族の負担」は、減ってきています。

しかし、まだ「介護保険制度本来の目的」を達成できていません。

特に、以下に挙げる部分の「課題」は残ったままです。

介護保険制度の課題】  

  • 介護予防への対応や、障がい者や高齢者が地域で生活するためのフォローが不十分。
  • 1年以上経過すると自立していた人が「要支援・要介護」になることが多くなる。
  • 介護が必要になってくると「病院・施設」に入院・入所しなければならなくなるケースが増える。

 

そこで、障がい者・高齢者が「住み慣れた家・地域」で居住し続けることができるような「システム」が必要となり、上記のことを推進するのが「地域包括ケアシステム」です!

「地域包括ケアシステム」をしっかり機能させていくためには、今後「地域包括支援センター」の役割がものすごく重要になります。その理由は次の項で示します。

次の項では、地域包括システムの柱である「4つの助」について書いていきます。

地域での支援について:自助・互助・共助・公助

地域包括ケアシステムが機能していくうえで必要不可欠なことは「自助・互助・共助・公助」が機能して、十分に連携されていくことです。ここではまずそれぞれの意味をおさえていきます。

自助・互助・共助・公助の意味

《自助》自分で自分を助けること

  • 「介護予防」に取り組み「自身のケア」を行うこと。
  • 医療保険や介護保険の自己負担部分、自身や家族による対応。
  • 健康維持のための「検診」や積極的に「他者と交流する」こと。

《互助》地域やコミュニティといった周囲の人たちが協力して助け合うこと

  • 友人や地域住民たちとの支え合い。  
  • 費用負担が制度的に保障されていないボランティアなどの支援、地域住民の取り組み。
  • ボランティア活動、地域の活動、住民同士の助け合い。

《共助》介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)同士の社会保険制度及びサービス

  • 介護保険制度や医療保険制度などの制度化されている総合扶助。
  • 医療保険・年金・社会保険・介護保険などのサービス。

→医療保険などの税金で保障されている部分が「7割以上」と言われている。  

《公助》生活困窮者を救済するための行政サービス。

  • 生活保障。
  • 公費(税金)の部分。自治体が提供するサービス。
  • 公助は税金で賄われている。生活保護、人権擁護、虐待対策など。

今後の自助・互助・共助・公助について

どうしても「自助」だけでは限界がある。

→人間は1人では生活することができない。

「自助」による「自発的な課題解決能力」が大きく求められる。

→「自助」は地域包括ケアシステムの「基盤」である!

積極的に「介護予防」に取り組むことがものすごく重要!

→これが「医療負担・介護負担の軽減」につながる。

少子高齢化の影響で「被保険者の減少」は避けられない。

→このため「共助」と「公助」については、規模の拡大が難しい。

今後は「互助」でのサポートがものすごく重要となってくる。

→ただし、都市部以外では「互助」によるサポートが難しい部分はある。

難しい言葉も出てきましたが、総合すると今後は「医療保険・介護保険に依存し過ぎない姿勢」が求められそうです!

簡単には「病院」や「施設」に入れない感じになるかもしれません。

要介護度が重くなったとしても「自宅で生活するイメージ」を持つ必要が出てきます。

そのためには「訪問診療」「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「訪問介護」などの「在宅医療」が必要不可欠となり、「在宅医療」の柱となるのが「地域包括支援センター」です!

「地域包括支援センター」の業務がますます重要となってくると思います!

地域包括支援センターとは

地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを目的として、包括的支援事業等を地域において一体的に実施する役割を担う中核的機関として設置されたものです。市町村はこの地域包括支援センターの責任主体となります。
 地域包括支援センターの業務の内容は、包括的支援事業と介護予防支援事業とに分かれ、包括的支援事業としては、①介護予防ケアマネジメント、②総合相談・支援、③権利擁護、④包括的・継続的ケアマネジメント支援を行うものとされ、介護予防支援事業としては、指定介護予防支援事業所として要支援者のケアマネジメントを実施するものとされています。

引用:全日本病院協会:地域包括ケアシステム

次の項では、主に現在の医療について書いていきます。

最近の病気の傾向と現在の医療について

最近の病気の傾向

  • 平均寿命が伸びてきている。
  • 死亡原因:ガンが1位で、老衰が増えている。
  • 高齢者が増加:かかる病気の数が増えることで、通院する医療機関も増えている。

時代の変化と医療の役割の変化

  • 「病と共に暮らす医療の必要性」が出てきている。
  • 「高齢者の世帯構成の変化」:1人暮らしまたは2人暮らしが多くなっている。
  • 高齢者の場合「通院が難しい」という問題も生じる。

通院が難しい原因

  • 通院する病院が多い:複数の病気があると通院の時間が多くかかる。
  • 通院する病院までの距離が遠い。

上記のような傾向にあるので、今後「在宅医療」の必要性が高くなります。

今後、高齢者は増加して「かかる病気の数が増える」「通院が難しいケースが増える」ので、在宅医療に移行する場面も出てくるかもしれません。

次の項では、地域包括ケアシステムの中でかなり重要な「在宅医療」について触れていきます。

在宅医療の内容

医師が行うもの

  • 往診:患者の体調不良時に医師が訪問する
  • 訪問診察:定期的に通院困難な患者を医師が管理する 

看護師が行うもの

  • 体調の観察
  • 医療器具使用の交換:在宅酸素・人工呼吸器などの交換

介護職(介護福祉士など)が行うもの

  • オムツ交換
  • 料理・買物・掃除などの支援

在宅医療は、今後「地域包括ケアシステム」において重要になりそうです。

病院での医療が難しい場合」もあるので知っておきたいところです。

今後は一層、介護の必要な障がい者・高齢者には必要不可欠な制度となります。

高齢者の場合、介護保険との関係もありそうです。

次の項では、介護保険について書いていきます。

介護保険と「要介護の認定」

要介護の認定

①身体能力の程度

②もの忘れの程度

③主治医の意見書:これは絶対に必要!

主治医は、基本的にはかかりつけの医師。本人または家族が決める。

→「一般内科」「循環器内科」「整形外科」など・・・

上記の①〜③を考慮したうえで、要介護度を決めます。

要介護の認定は、●要支援1~2●要介護1~5の間で決定されます。

「要支援1」→「要介護5」になると「介護の量」が多くなります。

介護の量が多くなればなるほど「受けられるサービス」が増えてきます。

要支援の場合「地域包括支援センター」のケアマネージャーが計画し、サービスが決められます

要介護の場合「居宅介護支援事業者」のケアマネージャーが計画し、サービスが決められます。

要介護認定に不満のある場合「市町村」または「介護保険審査会(都道府県に設置)」に申し立てをすることができます。

介護保険によるサービス

人が直接関わるサービス

 ●通所介護 

 ●通所リハビリテーション 

 ●訪問介護 ●訪問看護 

 ●訪問リハビリテーション 

 ●訪問入浴 など 

道具を用いたもの

 ●福祉用具貸与 

 ●特定福祉用具販売 

 ●家屋改修費支給 など

介護保険によるサービスの計画から実行

①「ケアマネージャー」が「サービス計画」を立案します。

②利用者本人を中心に「サービス担当者会議」が行われます。

③その後、具体的な「サービス」の「内容」や「頻度」が決められます。

今後は、更に「介護予防の取り組み」や「介護の量を多くしない取り組み」が重要となってきます。

「地域包括ケアシステム」によってこの部分が重視されると考えられます。

なお、往診や訪問診療は「介護保険対象外」なので、回数を制限されることはありません。

現在の「介護保険制度」は、以上の通りです。

今後、在宅(地域)で生活する障がい者・高齢者が多くなってくるものと思われます。

「病院」や「施設」で生活することから「在宅(地域)」での生活への「移行」が更に進みそうな気がします。

そうなると現在の「介護保険のサービス」も「地域包括ケアシステム」によって、「通所系」や「訪問系」のサービスが少しずつ変わってくるのではないでしょうか?

次の項では、現在の公的機関の考え方について書いていきます。

補足:現在の公的機関の考え方

実際に「地域包括ケアシステム」のことについて、公的機関ではどのような考えで備えているのでしょうか?

M.Jは、久留米保健所(以下、保健所)に行き「地域包括システム」のことについてお話をききました。

保健所の職員さんの説明

地域包括ケアシステム自体は、まだ「制定されていない制度」である。

現状は、1人の障がい者や高齢者に対してのサービスが「専門職や公的機関の職員などの連携によって」一体化して行われている状況ではない。

③地域包括ケアシステムが導入されていけば「医療・介護の専門職、公的機関の職員、地域の活動を行なうボランティアなど」の連携が進んでいく。

④今後、保健所も試行錯誤しながら「連携できるところとは連携し、情報交換していく」ようにする。

⑤地域包括ケアシステム自体が、障がい者や高齢者に「浸透していく」のはまだまだ先のこと。

→まず「医療・介護・地域・公的機関の連携ができるかどうか」が重要となってくる。

このように、保健所でさえも、まだまだ「試行錯誤」の状態です。

2025年に向けてシステム化することができるかどうか疑問に思ってしまいました。

ただ、1人1人のことについては「ケアプラン」によってある程度「把握されている」状態です。

そこがポイントとなって、地域包括ケアシステム自体が運用されていくのかもしれません。

次の項では、住み慣れた家・地域で居住し続ける方法について書いていきます。

住み慣れた家・地域で居住し続ける方法

以上、地域包括ケアシステムについての第1弾でした。

記事の内容は、少し難しい部分があったかと思います。

ただ、伝えていきたいことは「住み慣れた家・地域で居住し続けるため」には、どのような「方法」をすべきかということです。よって、障がい者・齢者にとってはかなり「身近なシステム」です。

今回は「介護保険の部分」を中心に示していきました。

現在、介護保険は「制度本来の目的」である「介護予防」の部分が不十分です。

今後「地域包括ケアシステム」による「介護予防の充実」と「介護の量を増やしていかない対策」がものすごく重要になってくるのです。

「地域包括ケアシステム」が機能するためには、以下のような「改革」が必要不可欠です。

都道府県や市町村の「意識改革」「行動変容」はものすごく必要です!

地域包括支援センターの「業務の幅を広げること」がものすごく重要です!

障がい者・高齢者が「気軽に外出できる社会づくり」は必要不可欠です!

70歳以上になっても「現役」で働くことができるような「システム」「雰囲気づくり」が望ましいです!

それらに加えて「心のバリアフリー」はものすごく重要です!

「システム」の部分だけではなく、1人1人の「きずな」が大事なのではないでしょうか?

記事をご覧いただきありがとうございました。

なお、今回の記事は以下の文献を参考にしました。

参考:厚生労働省:地域包括ケアシステム(PDF)   

   全日本病院協会:地域包括ケアシステム

   福岡市:地域包括ケアシステムの推進

   介護ワーカー:地域包括ケアシステムとはどんな制度?

   みんなの介護求人:地域包括ケアシステムとは?

   学研ココファン:地域包括ケアシステムとは?

   厚生労働省:要介護認定はどのようにして行われるのか?

   ライフル介護:介護保険サービスにはどのようなものがある?

今後について

興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、《精神》地域包括ケアシステムの勉強会に参加して感じた問題点と改善案、デパートにいる時の災害時の対応、エスカレーターの誘惑に負けないで運動しよう!があります。

皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!

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