遂に、国家公務員も週休3日制へ-公務員にも広がる働き方改革-

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こんにちは、金次郎です。

 こちらは、新型肺炎の流行に対処するために、1回目の緊急事態宣言後に、電機メーカーの富士通が週休2日制から週休3日制へ変えた事を気に、みずほ銀行でも選択式ですが週休4日も選べる様にした事を書いた記事です。

遂に週休4日制の会社現る!

 そして、1年後に週休3日制に変えた会社では、労働生産性が4割も上がり、社員のストレスレベルが減った事を書いた記事です。

週休3日制にした会社は、社内がどう変化した?

 更にその1年後、大手企業では、続々と週休3日制を取り入れる会社が増えており「メリットを強調していますが、デメリットは無いのかな?」と言う事も書きました。

続々と増える、週休3日制を取り入れる企業

 そして、遂に国家公務員も週休3日制を取り入れる事を岸田首相は内閣と国会に勧告しました。

国家公務員になるには

 国家公務員になる為の試験は、以下の3つが有ります。

・国家公務員1種(大学院&大学卒程度)
・国家公務員2種(短期大学卒程度)
・国家公務員3種(高校卒程度)

 昔は、上から上級・中級・初級と言っていましたが、差別的と言う意見が有り数字で表す様になりました。
 しかし、何種と数字で表すのも今年が最後でして、来年からは

・国家総合職(大学院&大学卒程度)
・国家一般職(大学卒程度)
・国家一般職(高校卒程度)

 と言う呼び方に変わり、短期大学は4年制大学と同じ扱いになります。
 大まかに分けると、この様な感じですが、財務や食品衛生などの専門職や自衛官など特別職を合わせると、14種類もの試験があります。

 1種試験合格者は、いわゆる「キャリア組(キャリア官僚)」と呼ばれる人達で、主に国の予算や政策、法律などを立案するのが仕事です。
 1種採用の「キャリア官僚」
 2種採用の「準キャリア」
 3種採用の「ノンキャリア」
 何種で採用されたかで、出世するスピードや就ける役職に違いがあります。

 入省1年〜2年目では、キャリアとノンキャリアでの仕事内容には差は有りませんが、入省3年目からキャリア官僚は政策立案や国会質問の準備など、国の政策に関わる仕事を任される様になります。
 そして、優秀な人は「本省の長」まで出世することができます。
 特に優秀な人は、「局長」や「次官」まで昇進する人もいます。
 かたや、ノンキャリアは、国政には直接関わる事はほとんど無く、出世も頑張っても課長あたりが限度です。
 ノンキャリアが課長以上の役職に就くには相当頑張らないといけないですし、昇進するスピードもキャリアに比べるとかなり遅いです。

参考:(工具男子官僚のキャリアとノンキャリアは何が違う?出身大学・年収・なり方について
解説!

志願者が減って、更に早期退職者も増えている

 頑張ってキャリアで採用されれば、出世が約束されている国家公務員ですが、試験の申込者が年々減少しています。
 要因の一つとしては、若者の人口が減っているのも有りますが、国家公務員を希望しない大学生が増えているのも有ります。

 2023年の申込者が、2022年度と比べどのくらい減ったかは、以下の通りです。

 ・一般職:申込者数は2万6319人で、1784人(6.3%)の減少 

 女性の受験者は申込者数の41.5%おり、前年より0.2ポイント増加していて、3年連続で4割を超えており今年も過去最高を更新しています。

 ・専門職(大卒程度):8種類合計の申込者数は2万4626人で、465人(1.9%)の減少

 専門職試験の方でも女性の受験者は過去最高となっています。

 女性の受験者は増えているけど、男性の受験者は減っている。
 国家公務員1種試験に一番合格者を出している、東京大学でインタビュー調査をしてみたところ、学生からこんな意見が聞かれました。

・国家公務員は、就職先の選択肢に入っていないです。それは、先輩から残業が多いとか、仕事が
 大変だって話を聞いていますから。

・国家公務員に対する漠然としたイメージですが、国会開催中や年度末は休みが取れ無い感じがす
 るので。

 と、国家公務員は忙しくて大変と言うイメージを持っている学生が多い様です。
 この様に、国家公務員を志望する学生が減っていますが、加えて採用されても直ぐに退職してしまう若手職員も近年増加傾向にあります。
 総合職で採用後10年未満で退職した職員の数が、3年連続で100人を超えているのです。

参考:(ReseMom一般・専門職とも志願者減、女性比率は過去最高…国家公務員試験2023

参考:(NHK)国家公務員の「週休3日」導入を勧告 “官僚離れ” 解消なるか

岸田首相の思惑と若手官僚の提言

 学生たちや入省した若手職員の早期退職などの状況を鑑みて人事院は、フレックスタイム制を活用して、「週休3日」の働き方が可能になるように内閣と国会に勧告しました。
 しかし、人事院の川本総裁は、記者会見でこう言っています。

「省庁の人材確保は、応募者の減少や若手職員の離職者増加などによりとても厳しく、危機的状況にあります。『国家公務員はブラック』と言うイメージがなかなか払拭されない状況を打開しないといけない事は、霞が関にある省庁共通の思いです。」

 若手官僚も、今の省庁の働き方を変えないといけないと言います。
 「20代キャリア官僚の3割が、過労死ラインの月80時間超の残業をしている」

 これを踏まえて、提言しているのが以下の項目です。

人事に関して
 ・年功序列による昇進をやめる
 ・省庁を超えてポストを選択できるようにする
 ・部下も上司を評価する「360度評価」の制度化

国会対応に関して
 ・質問通告の「2日前の正午まで」という申し合わせの実効性の確保
 ・国会対応や法案の作成を担当するポストを交代制勤務にすること
 ・閣僚の答弁作成などに関する政府内の連絡はファックスをやめデジタルツールに統一すること

参考:(NHK24時間働けません! 若手官僚8人が探った霞が関の実態

終わりに 

 最後の参考記事の「24時間働けません!」と言う文言。
 これは、1989年(昭和64年/平成元年)に流行った栄養ドリンクのCMのキャッチコピー「24時間戦えますか?」をもじったものですね。
 このキャッチコピーは、その年の「流行語大賞」で大賞にも選ばれました。
 当時、入社3年目の私も含め、日本企業の働かせ方は、まさにCM通りの長時間労働が当たり前でした。
 時代は「バブル景気」と言う、とんでもない好景気に入る直前でして、どの会社もイケイケで働かせていましたし、その分お給料もドンドン上がって行きました。
 今の時代にあんな働かせ方をしたら、直ぐに従業員に訴えられてしまうでしょう。
 と言うか、どの世代も普通にネットを見ている時代ですから、会社に対する悪い評価が沢山書き込まれてしまうでしょう。

 効率良く働かせれば、週5日も勤務させなくて良い。
 逆にネットを活用して「うちの会社は、休みが沢山有りますよ」とアピールして求人募集できる。
 しかし、一般企業どころか公務員まで「週休3日」と言う労働待遇で人集めをしないといけない。

 そういう時代なんでしょうね。

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