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こんにちは、翼祈(たすき)です。
もし自分が誰にも相談や支援を求めることが出来ないまま一人で出産や育児をしないといけないとなれば、どう考えますか?
実は今、貧困や病気、DV、予期せぬ妊娠、若年妊娠などで育児に困難をきたす恐れがあり、出産前から支援が必要とされる「特定妊婦」に行政から認定される女性が増えています。
クローズアップ現代によれば、現在コロナ禍もあり、ここ10年間で8倍の8200人に増加しているそうで、それも氷山の一角だと言います。
そんな実態に対し、「特定妊婦」に自治体や病院が連携して行う産後母子支援だけではなく、産前・産後母子支援施設も数を増やしています。今回は「特定妊婦」の実情に迫ります。
特定妊婦とは?
虐待を防ぐ観点から2009年施行の改正児童福祉法で明記。主に自治体が、若年妊娠や支援者不在など問題を抱える妊婦の情報を得て、児童虐待を防ぐ為に各自治体が設置する「要保護児童対策地域協議会」に妊婦を登録します。
その上で孤立や貧困、病気などで支援の必要性を判断し、妊娠期から保健師らによる家庭訪問などの支援を行います。支援が必要なハイリスク妊婦を把握した後は、保健師らが面談や電話相談、家庭訪問などで全面協力しており、悩みへの助言、家事支援サービスの紹介なども行い、全ての出産前の妊婦への面談や妊婦健診へのサポートなどの取り組みを行う自治体もあります。2020年度には、7人に1人の割合に上ります。
参考:要支援妊婦10年で7倍に 18年、全国で7233人認定 佐賀新聞(2021年)
特定妊婦の想定数
貧困や病気、DV、予期せぬ妊娠、若年妊娠などで育児に困難をきたす恐れがあり、出産前から支援が必要と行政に認定されたハイリスクな「特定妊婦」が、制度がスタートした2009年から10年目の2018年には約7倍の7233人に増加したことが2021年3月13日、厚生労働省の調査で判明しました。新型コロナウイルス感染拡大の中で母親の困窮や孤立はより深刻化し、生後間もない赤ちゃんの虐待死事件も相次いでいます。専門家は「行政の支援に結び付かない妊婦は多数おり、この結果は氷山の一角だ」と指摘します。
厚労省の調査によれば、2009年6月時点で全国の1663市区町村が協議会を設置し、登録された「特定妊婦」は994人でした。その後は横ばい傾向が続きましたが、2016年4月時点は4785人、2017年4月は5976人と登録数が近年倍増しています。2018年4月は前年のほぼ100%に当たる1736市区町村で協議会の整備が加速し、7233人にまで上りました。
各自治体ごとの内訳は非公表のため、47都道府県や政令市、県庁所在地、中核市、東京23区に直接、「特定妊婦」の把握数を質問。回答を寄せた自治体は全国計109自治体に当たる98自治体(90%)で、2020年度の妊娠届出数は計36万6918人。各自治体が支援が必要だと判断した妊婦の割合は少なく見積もっても計5万6725人(15・5%)に上りました。
このうち「特定妊婦」は計5754人。「特定妊婦」ではなくても自治体がハイリスク妊婦などに当たり独自に支援すべきだと考える妊婦の数は計5万971人でした。支援が早急に必要な「特定妊婦」の割合は2018年度は13・9%、2019年度は15・2%と増加傾向でした。厚労省の担当者によれば、近年倍増した理由を「特定妊婦への認識が拡まったことが要因としてあり得る」と話します。
参考:孤立や貧困・若年妊娠…要支援の妊婦5・6万人 読売新聞(2022年)
自治体は妊娠届の提出時や医療機関からの情報提供で把握に努めていますが、妊娠を誰にも言えず受診しない妊婦もおり、「把握することが困難」(仙台市)との意見も寄せられました。
特定妊婦判断の課題と支援の難しさ
独自支援の判断理由(複数回答)は、精神的な問題を抱えていることが最も多く、「援助者や相談者がいない」「望まない妊娠」「経済的困窮」「未婚」「若年妊娠」などと続いた。
課題には「妊婦と連絡がとれなくなる」「支援が必要な妊婦を把握できない」のほか、「専門職員の人手不足」もあった。
ただし、自治体が支援対象とした妊婦の割合は73%~1%未満と差があった。支援の基準が自治体ごとに異なり、その判断も自治体に委ねられているためだ。
東京情報大の教授(母性看護学)は「家族や地域の機能が弱い現代社会では、支援が必要な妊婦の割合は高まっている。妊産婦期に社会的な支援が不可欠な時代という認識のもと、国や自治体は予算確保や体制の強化に力を注いでほしい」と指摘しています。
2023年度、福岡市に新たな産前・産後母子支援施設開設
福岡県福岡市は2021年11月11日、産前から支援が重要な「特定妊婦」らを対象に、妊娠初期から出産から自立に至るまで途切れなく支援する全国初の施設を開所すると公表。母子で生活しながら就労訓練も受講可能で、2023年度の運用開始が目安としています。対象は「特定妊婦」をメインとし、「特定妊婦」以外でも支援が必然だと判断すれば柔軟に施設へ入居させます。
施設には保育士らが常駐し、妊婦健診への同行や沐浴、授乳方法などを一から教えてくれます。母子の居住用の部屋に合わせ、通所者が使用可能な保育機能も備えます。母子の受け入れ期間は、最長子どもが4~5歳になるまでを想定しています。
妊婦への公的支援は「産前」「産後」「自立」といった段階ごとに分けられているのが通例。福岡市の新施設では産前から自立まで一貫した支援が出来るほか、施設に入所だけでなく通所や訪問といった形態を導入し、母子の幅広い要望に応える意向です。
施設建設には日本財団の助成制度を活用して開所されます。他の子育て支援事業を併せ、助成金は今後5年間で約5億円に上る見込みです。福岡市は2021年11月11日、福岡市役所で日本財団と締結しました。福岡市などによれば、新施設は、「特定妊婦」などの妊娠相談や住居支援をする産前・産後母子支援センター「こももティエ」(福岡市早良区)内に完備し、同じNPOが経営します。
参考:妊娠から自立まで一貫支援 福岡市に全国初施設開設へ 日本経済新聞(2021年)
たまたまテレビで観ていて知りました。
この間観ていたテレビでたまたま「特定妊婦」の特集の放送がありました。「特定妊婦」の多くは家族と疎遠だったり、周りに相談できない事情を抱えたりしていて、病院に行かないまま1人で出産し、子供を遺棄してしまう痛ましい事件も起きています。
テレビで観た1人の女性の方は破水するまで病院には行かず、破水した時「もうこの子と一緒に死んでしまおう」と思い、ビルの屋上まで走って飛び降りようしたけれど、9ヵ月とお腹が大きかった為に柵を乗り越えきれず、そのまま救急車を呼んで、母子共に命が助かったという話でした。
そのお母さんも今は全国的に増えつつある産前・産後母子支援施設に入所し、「子どもの成長が凄く可愛い」と言っていたり、女性の支援者がここを退所した後でも社会と繋がって生きていける様に、就労支援や他の場所に女性の居場所を作ってあげていました。
支援を受けている方以外にもまだまだ潜在的な数がかなり多いと言われている、「特定妊婦」。母子共に早期の支援の改善が今求められています。
参考サイト
孤立する母子を救えるか 増加する“特定妊婦” クローズアップ現代 全記録
番組内で紹介された相談窓口
クローズアップ現代の番組内で紹介されていた相談窓口の一覧です。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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