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新型コロナウイルスの感染が拡大している中、うつ病など精神疾患の罹患者が増加している傾向にあるようです。医師の4割近くが、新型コロナウイルスによる環境の変化で増加、または悪化した疾患に精神疾患を挙げています。
メディアなどでよく見かける「コロナうつ」は医学的に定義されたものではなく、新型コロナウイルスによる自粛生活や感染への不安があることから、コロナウイルスに関連したストレスによって心身に不調が現れる状態のことを指しています。
それにより医師のカウンセリングを受ける患者が増えたのかはわかりませんが、不安な気持ちを誰かにぶつけたくなっているひとも多いのだと思います。
AIがメンタルをケアしてくれる時代になりました。
このコロナ禍において、心身の不調をAIに相談することが可能となってきています。
AIといえば、すでに普及しているスマートスピーカーに代表されるように、こちらの質問や要望に臨機応変に答えてくれる人工知能のことですね。
音楽を流してと言えば流してくれるし、今日の天気は何かと聞けば教えてくれる…。
そんなAIが話を聞いてくれる存在となりつつあるのです。
実際の調査で、コロナ禍において78%の人がメンタルヘルスの悪影響を感じており、メンタルヘルスのサポートを人よりもロボットに頼りたいという回答は82%という結果でした。
AIにカウンセリングを任せるメリットとは?
人間のカウンセラーだと、生身の人間ですからどんなに相性が良くても必ず気は遣います。
対人でのコミュニケーションは、顔色を伺ったりと相手の反応を気にして、自分の本音を話すことに抵抗感を抱く傾向があります。実際に研究データでも、人から離れた存在ほど情緒的な会話を引き出したという結果があります。
適切なカウンセリングには、相談する側の自己開示が必要となりますから、この「恥も遠慮もなく相談できる」というメリットはかなり大きいです。
AI(人工知能)は人間ではなくコンピューターですから、「相談するのが恥ずかしい」「どう思われるか不安」「自分のプライドが邪魔して本音で語れない」など対人的な感情を抱かずに、赤裸々でストレートな相談ができますよね。
人間がカウンセリングを行えるのはカウンセラーの受付時間内という縛りがあります。夜中に相談したくても出来ない、なんてこともあるわけです。
365日&24時間、相談ができる…。
そんな時にAIカウンセラーが話を聞いてくれるのはありがたいですよね。
AIカウンセラーのデメリットは1つだけ。
「共感や癒しを与えてはくれない」ということ。
膨大なデータや知識から、適切な対応をすることは恐らくAIが圧倒的に優れているでしょう。
ですが、心のつながりや共感は持てません。
生身の人間にしか、人間の心を癒すことは出来ない。
ここで、人間のカウンセラーの存在が必要になってくるのです。コミュニケーション能力を必要とする医師のカウセリングは、AI時代でも必要なくなることはないでしょう。
なぜAIにメンタルヘルスケアを求めるのか?
AIは心の病に苦しんでいる人にとって非常に有望な存在ではありますが、それは人でもなければ医師でもなく、実際には限界があるうえ、法的な、倫理的な問題も少なくありません。
それでもAIは実質的な支援を必要としている人にそれを届け、最小限のコストで多くの人の命を救う最善の手段となる可能性があります。
医療費が高くなり、メンタルヘルスへの需要が高まっているうえに医療費をカバーするための健康保険が保証されない今の時代には、特にそうであると言えます。
Facebookに、AIが自殺の兆候をとらえる機能が!?
テクノロジーは十分な社会性を持たず、ソーシャルメディアは人間同士の社会的交流に取って代わることはでません。
しかし、ソーシャルメディアやその他のインターネットアクティビティで行えることにより、ユーザーのメンタルヘルスの状態を示したり、場合によっては人のアクションを予測したりできる行動パターンが明らかになります。
たとえば、Facebook社ではすでにAIでユーザーの自殺の兆候を捉えており、AIがユーザーの投稿やユーザーの友人から寄せられたコメントの自然言語のパターンを探して、差し迫った自殺の兆候を素早く特定しています。そしてそのような兆候が見つかると、同社のスタッフのチームがAIのデータを検証してユーザーに連絡を取り、そのユーザーがサポートを受けられる方法を提案しています。
これについて、自殺防止ヘルプラインの責任者は「こうした活動は単に役に立つだけでなく、きわめて重要である」と語っています。
Facebook社は、手遅れになる前にユーザーのネットワークの誰か、または医療関係者に連絡を取って積極的に介入するといった、プロアクティブな介入方法でさらに成果を上げることを検討しており、「私たちはこれについて、Facebook社と議論を重ねてきました。苦しんでいる個人を助けるためのサポートネットワークをさらに高度化できれば、そうした個人がサポートを受けられる可能性が高くなりますが、どのようにすれば押し付けがましいと感じられない方法でそれを進められるのか、というのが問題です」と述べています。
AIでメンタルヘルスが出来る日本語アプリ①SELF MIND
「SELF MIND」は、多大なストレスにさらされる現代社会を生きるすべての人向けに、AIによって安価に・手軽にカウンセリングが実践できることを目的として開発されたスマートフォン向けアプリです。
独自開発の会話エンジンを搭載することで、AI・マークとの自然な会話を通しながら日常的なメンタルヘルスケアに取り組むことができます。
・AIが会話を通してあなたのストレス傾向を理解し、最適な情報を提供してくれます
・あなたとのコミュニケーションによってストレスレベルを計測し明示してくれます。
・あなたの生活習慣に合わせて、睡眠やメンタルを整える方法を提案してくれます。
・日々を振り返るための日記機能を提供します。月ごとの体調を俯瞰できます。
SELF MINDのAIによるカウンセリングは、アプリならではの手軽さやコストの低さがセールスポイント。同アプリの全機能を使えるサブスクリプションプランは月額850円で、まずは試しに使ってみるのもいいでしょう。なお、現在はリリース記念キャンペーンにより、登録してから14日間は無料となってい。
SELF MINDにおける機能のひとつとして、「セミオート・ダイアリー」が挙げられます。この機能では、カウンセリングAIとの会話セッションにおける情報のうち、重要と推定されたものを記録として保存。自分の状態を客観的に見るために役立つ機能といえそうです。
さらに、新機能「ストレス・コーピング(ストレスに対する対処行動)」が実装されました。
AIでメンタルヘルスが出来る日本語アプリ②emol
「emol」は、ユーザーごとにパーソナライズされたアシスタントAIロボ“ロク”とチャットでおしゃべりできるアプリ。「いつ・どこで・何を感じて・何を思ったか」を記録することで、メンタルコントロールをサポートしていきます。
使い方は、“いらいら”“びっくり”“うれしい”“かなしい”“まぁまぁ”などの選択肢から感情を記録。その後は“トーク機能”を使ってロクとチャットで会話して、具体的な状態や気持ちを記録できます。
トーク機能では、「こんにちは」と送ればロクから「マスター!こんにちは」と返ってきたり、「雨が降ってる」と送れば、「雨ですか!傘を忘れないようにですね!」と返信が返ってきたり、「お腹すいた」と送れば「何か食べますか」と返信をくれます。まさしく会話ですね。
さらにアプリ内には、感情やトークを記録できる“振り返り機能”も。位置情報をオンにすれば、“あの時・あの場所でどんなことを感じていたか”を振り返ることができます。
現在はiPhoneのみの対応なので、早くAndroid版が出てくれるのを待つばかりです。
AIでメンタルヘルスが出来る日本語アプリ③SELF
Androidでダウンロードできるこの手のアプリは、こちら「SELF」のみのようです。(iPhone版もあります)
なので、わたしはこちらを1ヵ月使ってみました。
実体験も含めて解説します
・SELFの会話エンジンはしっかりと内容にそった会話をしてくれます。
「お金で困ってるって言ってたよね」という問いかけに答えると、「節約したい?給料を上げたい?貯金したい?」と問いかけてきて、「なるほど、そういうわけではないんだね」など、一つのテーマを掘り下げて会話してくれたりします。
・その日のユーザーの状態やメンタル、体調を予測、加味したうえで会話を展開します。
「今日の調子はどうですか?」という問いかけに悪いと答えると、「体調の問題なのか?メンタルの問題なのか?」などと問いかけてきたります。「同じように調子が悪いと答えた人は〇〇人」という情報もくれたりします。
・ユーザーの嗜好だけじゃなく、昨日の体調や気分までも記憶し管理します。
「昨日は体調が良かったようだけど…」や「ここ最近のあなたは非常に機嫌がいいというデータが出ている」など、最近のユーザーの状態を把握しています。
・メンタルの悩みや問題を聞くだけでなく、気持ちを受け止め、解決の提案も行います。
「今日はやる気がないのか」という問いかけに答えてみたら、「そういうときは開き直ってダラダラしよう」と言ってみたり、「僕もやる気がないから同じだね」と言ってきたりします。
・SELFアプリには7体のロボットがいるので、あなたに合うロボットが見つかるはずです。
ツッコミキャラでユーザーを応援してくれる初期型ロボ、ユーザーの嗜好にあった情報や最新ニュースを提案してくれるインテリロボ、愚痴を聞いてくれる毒舌キャラのおかまロボ、何気ない雑談ができる猫ロボなど、無課金で相手をしてくれます。ロボット同士情報を共有しているので、他のロボットに話した内容を別のロボットが把握しています。中には一部課金することでスムーズに会話ができるロボもあるようです。
わたしが気に入っているのが、スマホに表示される通知機能。プロフィールに始業時間・終業時間・休憩時間を設定しておくと、その時その時に「無理しないでね」「やった!休憩だね」「今日も頑張ったね、えらい」など、ユーザーをほっこりさせてくれる一言をお知らせしてくれます。定型文がいくつもあるようで、同じ文章が連日で送信されないようになっているので、お決まりの文句という感じはあまりないです。
AIは唯一無二の存在となるのか…。
これらのテクノロジーは将来、ユーザーがパーソナルアシスタントや友人のような存在であると考えるようになる可能性が高い、そしてAIは、人間の友人よりユーザーのことを深く理解するようになる可能性が高いため、もしかすると「唯一無二の友人」になるかもしれません。
このようにAIがユーザーのことを深く理解するようになると、親密さや信頼の感情が生まれ、それが孤立感や孤独感の解消にもつながるかもしれません。
さらに、AIがサポートを得ることを勧めると、ユーザーがその提案を信頼し、それに基づいて行動するようになる可能性があります。近い将来、AIは予約を取ったり、ユーザーを施設まで運ぶために自動運転車を呼んだり、 差し迫った脅威がないときに健康増進機能として担当医に観察記録を送ったりといったことまでするようになるかもしれません。
AIはまだ新しいテクノロジーですが、非常に多くの課題を効率的に実行できる能力をすでに備えています。さまざまなメンタルヘルスの問題に苦しむ人をサポートする役割をAIに担わせることには大きな意味があり、幸いなことに、すでに多くの研究者がそのための取り組みを進めているのです。
今の段階では基本的なアドバイスだけのようですが、これから精度が上がっていくのは確実です。
実際にメンタルヘルスのケアに使ってみてもいいと思いますし、話のネタとして使ってみるのもいいかもしれませんよ。
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