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わたしは父の喫煙で長年悩まされています
わたしは今、というか以前から悩んでいることがあります。それは、父のたばこです。最近は喫煙する人も気を使って、喫煙所やベランダで吸ってくれるようになりましたが、わたしの父は平気でリビングで喫煙するのです。わたしが生まれる前からだと思います。赤ちゃんの時から同じ空間で吸っていたのでしょうか。胎児や幼児には、たばこの煙は本当に有害です。自分がいいなら周りのことなんてどうでもいいんでしょうかね、今でも家族の前で吸っていますが、わたしは風邪も引いていないのに、よく咳が出ます。「お前が咳をすると俺が悪いように言われるやないか。」と言われたことがありますが、いや、多分あなたのせいだよ、と思っています。
今では、父と同じ空間にいる時間を短くしています。夕食を共にして、食べ終わったら即部屋に閉じこもる感じです。なんだか凄く寂しいことですが、体のことを思うと仕方がないですよね。
ものすごくプライベートな話になってしまいました…。
受動喫煙とは?
タバコの煙には、タバコを吸う人が直接吸い込む「主流煙」と、火のついた先から立ち上る「副流煙」に分かれます。副流煙には主流煙と同じく体に有害な成分が含まれていて、ニコチン、タール、一酸化炭素などの成分量は主流煙よりも多いといわれています。
この副流煙を、自分の意思とは関係なく吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいます。受動喫煙にさらされると、がんや脳卒中、虚血性心疾患、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクが高くなり、さらには妊婦や赤ちゃんにも悪影響を及ぼすことがわかっています。
喫煙は本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こします
たばこを吸うと、本人だけでなく、吸わない人にも健康被害を引き起こします。
主流煙の中の化学物質は、たばこ製品の燃焼部分から出る副流煙や喫煙者が吐き出す煙の中にも存在しており、受動喫煙はたばこを吸わない人の肺がんの原因の1つになります。副流煙はフィルターを通しておらず、燃焼温度が低いことから、主流煙よりも多くの有害物質を含むのです。
受動喫煙と肺がんの因果関係は、科学的に明らかとなっています。がんの発生には複数のメカニズムがありますが、喫煙者本人がかかる肺がんと、受動喫煙でかかる肺がんの原因物質や発生プロセスは類似しています。
また、鼻腔・副鼻腔がんと乳がんについても、現在では十分ではないものの、受動喫煙と因果関係があると考えられています。
なお、受動喫煙によって、がん以外にも、虚血性心疾患、脳卒中などの影響があることが明らかになっています。
喫煙者が吸い込む煙と同じくらい、周囲のひとが吸い込む煙は有害です
たばこの煙には三大有害物質であるニコチン、タール、一酸化炭素の他にも70種類以上の発がん性物質が含まれています。普段たばこを吸わない人は、たばこの煙に対する感受性が高く、他人の煙を吸うと、少しの量でも大きな健康被害を受けるという報告があります。また、2016年8月には国立がん研究センターより、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約1.3倍になることが発表されるなど、受動喫煙のリスクは科学的にも証明されています。
飲食店などでは、分煙にするためガラスドアで仕切って密閉した喫煙室を設け、出入口にエアカーテンを設置している店がありますが、これでも煙を100%遮断することはできません。
人が出入りする際には必ず、体にたばこの煙がまとわりついて移動し、有害物質を拡散させるからです。大げさではなく、服や髪の毛、カーテン、家具、壁などからたばこ臭を感じた時には、有害物質を体内に吸い込み、受動喫煙の被害にあっているのです。
たばこが子供の健康と将来を奪っています
子どもが受動喫煙から受ける健康被害は、大人以上に深刻です。
受動喫煙による危険は、妊娠中からすでに始まっています。妊婦への影響としては、流産や早産のリスクが高まります。胎児の発育にも悪影響を及ぼします。妊娠中の胎児は、タバコの影響で体重増加が十分ではなく、出生時の体重は、喫煙しない母親から生まれた子どもよりも平均142g 低くなります。しかも、子宮内発育遅延になる確率は約2倍、低出生体重児が産まれる頻度は約1.6 倍高くなります。つまり、喫煙によって妊娠中から妊婦と胎児は危険にさらされ、発育の妨げになっている可能性があるのです。
子どもの受動喫煙による健康被害は、乳幼児突然死症候群(SIDS)、呼吸器症状(せき、たん、息切れなど)・気管支炎、肺炎、中耳炎などです。なかでもSIDSは、それまで元気だった赤ちゃんが突然死亡してしまう病気です。タバコはSIDSのリスク因子であり、父親と母親が喫煙者である場合は、リスクが5.77倍になるといわれています。妊娠中のタバコのリスクも考えると、やはりタバコをやめるのが最善でしょう。
子どもが成長して成人になってからも、胎児のときの受動喫煙の影響が続くと考えられています。成人になってからの肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームに関連があることがわかってきました。
受動喫煙が、こんなにも子どもの健康を奪っているのです。
受動喫煙防止法が成立
改正法により、受動喫煙を防ぐための取組が「ルール」へと変わりました。望まない受動喫煙をなくすため、様々な施設の屋内は原則禁煙に。学校や病院等では敷地内禁止になりました。
多くの人がいる施設や鉄道、飲食店などの施設は、原則屋内禁煙です。禁煙エリアで喫煙した個人に罰則が科されることもあります。なお、施設によっては基準を満たした専用の喫煙室がある場合もあります。
また、学校・病院・児童福祉施設、行政機関、バス・航空機などは、敷地内禁煙で、喫煙室を設けることもできません。ただし、屋外には受動喫煙を防止するために必要な措置が取られた場所に限り、喫煙場所(特定屋外喫煙場所)を設置することができます。
20歳未満の人は、喫煙を目的としない場合であっても、喫煙エリアへの立入りは一切禁止となります。そのため従業員であっても喫煙エリアに立ち入ることはできません。
受動喫煙対策は、望まない受動喫煙にさらされてしまうという問題を解決するための取組です。改正法によって、それがマナーからルールになり、守られない場合は罰則の規定も設けられました。従来のマナーと新たなルールによって、受動喫煙対策が進むことが期待されます。
屋外や家庭などで喫煙する際にも、望まない受動喫煙を防ぐために、周囲へ配慮しましょう。たばこを吸う人もたばこを吸わない人も、それぞれがお互いの立場を尊重し、気持ちよく過ごせる環境をつくっていきましょう。
受動喫煙対策だけでは不十分、三次喫煙とは?
最近ではタバコに火がついていなくても、周囲に付着した残留タバコ成分によって生じる健康被害が問題になっているのをご存知でしょうか。
その場に喫煙者がいないのに、喫煙が繰り返されたカラオケボックスに入ったときや、新幹線の喫煙車両、ヘビースモーカーが所有する車に乗ったときなどにタバコ臭を感じた経験がある方も多いと思います。それは、タバコに含まれている成分が壁紙や布、家具などにしみ込んでしまうからですが、そういった残留タバコ成分によって健康被害を受けることを「三次喫煙」と言います。
家具やソファ、カーテン、カーペットなど、周囲のものすべてにタバコの煙の残留物質は付着します。その残留物質はオゾンや亜硝酸といった空気中の化学物質と反応し、発がん性が指摘されている成分を含む有害物質となり、第三者を巻き込む汚染源となる可能性が研究によって明らかになりつつあるのです。
受動喫煙による死亡者数は?
タバコの煙には、約4000種類の化学物質、約200種類の有害物質、60種類以上の発がん物質が含まれています。喫煙者本人の肺にこれらの有害物質が入るのは当然ですが、実際にはフィルターを介しているため、少しは軽減されています。しかし、周囲にいる第三者は直接煙を吸い込むことになり、その分発がん性物質を多く吸い込む危険性があるのです。つまり、タバコを吸う本人よりも周囲の人達の方が有害だということになります。
2016年の報道によると、厚生労働省の研究班は「受動喫煙が原因での死亡者数は推計年間15000人」と発表。2010年の推計6800人(後に脳卒中による死亡約8千人が加算された)から大幅に増加しています。これは受動喫煙と因果関係があるとされる肺がん、虚血性心疾患(心筋梗塞など)、脳卒中、乳幼児突然死症候群に関する非喫煙者とのリスクの比較や職場・家庭における受動喫煙の割合などの調査から割り出した結果ですが、男女比では、男性が4,523人、女性が10,434人となっており、受動喫煙率が高い女性が男性の2倍以上になっています。
やはり禁煙してもらうのが一番です!
受動喫煙を避ける確実な方法は、やはり禁煙してもらうことでしょう。
家族のため、本人のため、やめてもらうよう説得することが重要ですが、なかなか上手くいかないことも多いのでは…。
ストレートに「タバコをやめて」と言ってみても、自分の行動を管理されることを嫌がったり、意固地になったりする人もいます。それに喫煙家は今、嫌煙家からかなり追い詰められている状況。そんななかで、家族にまで嫌煙家と同じようなことを言われたら、攻撃されている気持ちになってしまうはず。ですので、禁煙の勧め方としては、『やんわり伝えること』、『周りから固めること』がポイント。「やめて」ではなく「1週間やめられたら◯◯をあげる」など、ご褒美を出すといいでしょう。一生やめるのはムリだという人も、1週間なら「僕・わたしでもできそう…」と感じるはず。それを4回くらい続けることができれば、自分でも気づかないうちに自然と禁煙できて、成功する…なんてことも可能性としてはゼロではないと思います。
また、ストレス発散のためにタバコを吸う人も多いとか。そういう人が禁煙し始めると、仕事など日常生活のストレスと禁煙のストレスでいっぱいいっぱいになってしまうので、禁煙中は、いつも以上に優しく接して、心のサポートをしてあげましょう。
禁煙をするのは本人の意思ですが、大切な家族から勧めた禁煙なら、なおさら精神的なサポートは必要です。嫌煙家のごとく、ただ「タバコやめてよ!」と言い放つのではなく、「サポートするから、みんなで頑張ろう!」と支えてあげれば禁煙成功率も上がるかも…。家族の禁煙を切に願っている皆さん、試してみる価値アリですよ!
家族を守るためにも、受動喫煙には配慮しましょう。
わたしは、たばこを吸いたい人は吸ってもいいと思います。たばこの健康被害は明らかですが、それでも吸いたいという人は、いいんじゃないかと思っています。でも、大切なパートナーや子供を巻き添えにするのは如何なものでしょうか。
「たばこ、やめてよ」って素直に言えればいいんでしょうが、その一言で関係がこじれてしまうかもしれないと思うとなかなか言い出せず我慢してしまうのは、わたしだけではないと思います。
この記事を読んでくださった喫煙者の方が、少しでも配慮してくれるようになりますように。
そして受動喫煙の被害にあう方が少しでも減りますように。
日本医師会が禁煙や受動喫煙について解説しています→https://www.med.or.jp/forest/kinen/#
受動喫煙の影響について→https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-02-005.html
全国の禁煙外来がある病院はこちら→http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic/
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