手軽になったインターネット -でも、なぜ選挙で「ネット投票」って導入されないのでしょうね?-

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新しく総理大臣になった、石破茂首相。
就任するやいなや、衆議院を解散してしまいました。
投票日まで1ヶ月ほどで、各自治体は大慌てで選挙の準備をしています。

学校などでは、10月27日は体育祭や文化祭の開催を予定していましたが、選挙の投票所になってしまうと言う事で、開催日を変更したりと学校も行事予定の変更で大慌てです。

スマートフォンが普及しパソコンの知識が無い人でもインターネットを楽しんでいる現代。
でもなぜ「ネット投票」と言う制度が導入されないのでしょう?

今回は、「選挙でのネット投票の可能性」について書いてみます

選挙の大原則

選挙の投票は、公職選挙法の第39条によって
投票所は、市役所、町村役場又は市町村の選挙管理委員会の指定した場所に設ける
とされており、
投票日に本人が投票所に出向くことが原則とされています。

その投票日に仕事や家庭の事情(冠婚葬祭や旅行・レジャーなど)で行けない人の為に「期日前投票」と言うのがあります。

期日前投票の期間は
・選挙期日の公示日または告示日の翌日から選挙期日の前日までの間です。

投票所は
各市区町村に1ヶ所以上設けられる「期日前投票所」です。
 (自治体によっては、駅やショッピングモールなどに投票所を設け利用しやすくしています)

必要な書類
・投票所に置いている「宣誓書」
・自宅に届いた「投票入場券」

※ 宣誓書の記入が必要なのは、投票日当日に投票するのが原則で、期日前投票は例外として
  認められており、公職選挙法施行令第49条の8にも宣誓書の提出が定められているためです。

参照:(総務省)投票制度

「ネット投票」の壁

 北欧のエストニアなど、既に「ネット投票」を導入している国もありますが、インターネットを使っての投票には、不正強要サイバー攻撃データの改ざんシステム障害など、様々な壁が有ります。
しかし、総務省も手をこまねいているわけでは無く、先ず第1段階として、立会人不在かつ郵便で行われる海外在住者の「在外投票」での「ネット投票」導入を目指し、システム構築に向け検証を続けています。
このネット投票に関して先進的な取り組みをしている、つくば市の取り組みを、今回はお伝えします。

茨城県つくば市の挑戦

 茨城県つくば市は、国家戦略の枠組みを活用し、2024年10月の市長選挙と市議会議員選挙で、全国初の「ネット投票」の実用化を目指しています。
背景には、2020年の市長選挙の投票率が過去最低の51.6%で、若い世代と高齢者の投票率が低かった事があります。

高齢者は体力的な問題や移動手段がないため投票に行けなかったというのが理由として出てきています。
また、つくば市が筑波大学の学生を対象に行った調査で
・自宅や外出先などからスマホやタブレットで投票できるようになったら、利用したいと思うか?
と質問したところ、9割の学生が「利用したい」と答えたそうです。

この様な投票に行かない理由の声に応えるためにも、つくば市は「ネット投票」の実現を目指しています。

各論②で書いた「ネット投票実現の壁」をどうするか?について以下の様な問題があります。

1:本人確認
2:買収や強要のチェック
3:「投票の秘密」守る
4:通信障害
5:データ改ざん

それらについては以下の方法を考えているそうです。

有権者の端末に専用のアプリをダウンロードしてもらう
・そのアプリで、あらかじめ個々に割り当てられ、市から郵送された投票用のQRコードを読み
 取る
・さらにマイナンバーカードを読み取ると、投票画面が表示される
「ネット投票」ができるのは期日前投票の期間中のみとし、期間中は何度でも投票をやり直せる
    ようにする。
・投票者の情報と投票した内容の情報は切り離した上で、投票者の情報は匿名化し、投票内容の
 情報は暗号化して管理するようにする。
データのバックアップを分散して管理する。

参考:(NHK)選挙のインターネット投票の最前線 実現できるか 山積する課題

つくば市が国家戦略特区として、色々な実証実験ができる実験都市に選ばれたのは、1985年(昭和60年)に開催された「国際科学技術博覧会(つくば科学万博85)」が開催された場所だからかな?なんて思っています。

参考:(新つくば)昭和に科学ブームを巻き起こした「つくば万博」の足あとを探して

「ネット投票」のメリットとデメリット

 これら開発中の「ネット投票」システムを使い、つくば市は2022年11月、市民にスマホから架空の候補者に投票してもらう「ネット模擬選挙」の実証実験を実施しました。

その結果、システムへのアクセス集中による遅延や不正アクセスによる侵入、改ざんはなく、不正な投票データも確認されなかったそうですが、「ネット投票」のメリットデメリットの声も寄せられました。

・メリットの声
 ・「時間や場所に縛られず、短時間で投票できる」
 ・「誤字脱字による無効票がなくなる」
 ・「子どもを連れて行くと動き回って集中できないが、ネット投票だと落ち着いて投票できる」

・デメリットの声
 ・「スマホに慣れた若い世代と違い、高齢者には難しいと思う」
 ・「マイナンバーカードの暗証番号を忘れていて本人確認に手間取った」
 ・「スマホを持っていないのでパソコンで投票できるようにしてほしい」

ネット模擬投票の実証実験の結果のメリットデメリットの声を受けて、つくば市はさらなる改善を進めると言います

終わりに

この記事を書きだしたのは、10月22日でしてきしくも27日は「衆議院議員選挙」の投票日です。
私の家でも、高齢の父は「投票所まで歩けない」と言う事で投票には行かないみたいです。
母は、スマートフォンをほぼ使いこなしていますから「ネット投票」もできるかも知れませんが、認知症になってしまった父には「ネット投票は無理っぽいかな?」と思っています。

私自身も、「裏金問題や統一教会問題、更に消費税を上げると言っている自民党にガツンと言わせたいと思っていますが、過去に社会党や民主党が政権を取ったけど結局ダメで元に戻った経緯があるから、どの候補者に投票しようか?」と迷っている状態です。

皆さんは、今回の選挙はどう決断されましたか?

 

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