パリ五輪女子ボクシング問題、性分化疾患は男性?女性?

ボクシングをしている女性

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今年のパリオリンピック、皆さんご覧になりましたか?
応援している競技で日本選手はメダルを獲れるのか、連日徹夜したひとも多いのでは?

そんな今回のオリンピック、様々な物議を醸している様子・・・
開会式や誤審など、これらは切って離せない問題になっていますよね。

そんな中、世界中の人々の間で議論になっているひとつが、女子ボクシングではないでしょうか。
わたしはボクシングは全く見ていなかったので、なんのこっちゃと思っていたのですが、世間で言われていたのは「男が女子競技に出場している」ということでした。

どういうことなんだろう?なぜそんなことが許されているのか?
不思議に思って調べてみたのですが、その背景には「性別」という複雑な問題がありました。

どんな出来事が起こったの?

なにが起こったのか簡単に説明しますと・・・

パリオリンピック 女子ボクシング部門 66kg級
8/1 二回戦
アルジェリア代表イマネ・ケリフ選手 vs イタリア代表アンジェラ・カリニ選手
この試合、カリニ選手が開始46秒で棄権するという驚きの結果になりました。
相手がよっぽど強かったのか、試合後カリニ選手は「身の危険を感じた」と語ったそうです。

実は、対戦相手のアルジェリア代表のケリフ選手は”男性”でした。
つまり、染色体がXY、身体的に男性だったのです。
ケリフ選手の参加に対して世間は、「トランスジェンダーに配慮しすぎ」「行き過ぎた多様性」と猛抗議。

しかし、ケリフ選手はただのトランスジェンダーではなく、性分化疾患だったのです。

性分化疾患とは?

性分化疾患とは
「DSDs:体の性の様々な発達:Differences of sex  development」(性分化疾患)とは、「X・Y染色体の構成や,卵巣・精巣などの性腺、外性器の発達、膣・子宮などの内性器、性ホルモンの産生などが、男性ならば普通こういう体の構造のはず、女性ならば普通こういう体の構造のはずとされる固定観念とは、生まれつき一部異なる発達を遂げた女性(female)・男性(male)の体の状態」を表します。
引用:DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)とは? | ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会 (nexdsd.com)

性分化疾患は様々なタイプの症状があります。
受精卵が成長していく過程で、ホルモンやシグナルなどに異常が生じることによって引き起こされると言われています。
今回のケリフ選手の場合、染色体は男性のもの、XYでした。
通常女性の染色体はXXです。
しかし、出産直後のケリフ選手には男性器が付いておらず、女性器に近かったといいます。
なので、ケリフ選手の両親も本人も、女性だと思って成長してきました。
パスポートも女性として登録されています。

IOCとIBAの認識の違い

世間が疑問に思っていることがひとつ。
それは、オリンピックと世界選手権で、ケリフ選手に参加資格があったかどうかについて。

今回のオリンピックボクシング部門は、IOCのパリ2024ボクシングユニットの管轄で運営されていました。
この団体では、ケリフ選手は出場規格、参加規程、通用可能な全ての医学規定を順守しているとして、出場を認めています。

一方、去年の世界選手権は国際ボクシング協会IBAが主催し、DNA検査を実施し、ケリフ選手の参加を認めませんでした。

両団体、審査方法に問題があったのではと言われているのですが、何より、なぜ片方はOKで、もう片方はではNGなのかと疑問の声が上がっています。
いろんなトラブルがあり運営が違っていたのも、今回の問題では疑問視されています。

性分化疾患はトランスジェンダーとは違う?

身体は男性のケリフ選手は体つきはがっちりしており、おそらくパンチ力も強いでしょう。
相手選手が命の危険を感じたくらいです。
そのような選手を、なぜ女子と同じ部門で戦わせるのかと非難があがりました。
ボクシング競技で、男性の力で女性の身体を殴るのは非常に危険だからです。

イタリアのメローニ首相も、この件に言及しています。

メローニ首相
いくつかの説は、女性の権利に悪影響を及ぼす可能性があると、わたしは長年警告してきました。
男性の遺伝子的特徴を持つ選手が、女子競技に参加するべきではないと考えています。
これは誰かを差別したいわけではなく、女性選手が平等に競技する権利を守るためです。

性分化疾患のケリフ選手の場合、体は男性だと認識しているけれど、心は女性だというトランスジェンダーとは厳密には違います
オリンピックが閉会した現在、そのことに言及している記事や意見もありますが、当初各著名人からトランスジェンダーだとの発言などがあり、これが今回の問題を複雑にしている大きな要因でもあると思います。

多様性を重視し過ぎとの声は、この憤りは、トランスジェンダーの人々へ、IOC運営団体へ向けられました。
トランスジェンダーを出場させるのは許せない、といったところでしょうか。
このような声は、世のトランスジェンダーの人々に嫌な思いをさせます。
そこで、また差別だと反発が起きてしまうのです。

一方今回の件について、ケリフ選手を女子競技に出場させるべきではなかったという意見が、トランスジェンダーの方々にも多いといいます。

運営の判断は正しかったのか?

性分化疾患の選手が女子部門に出場するという稀なケース。
疾患を持っている人自体が少ないからです。
研究が進まず、医師ですら診断が難しいとされています。

では、今回のボクシング競技はどうするべきだったのか、なかなかデリケートな問題ですね。
ケリフ選手は圧倒的に有利でしょう。
生まれた時から女性として生きてきたから・・・だから女子部門に参加するのが正解だったのか?
ケリフ選手が不公平だからと参加させたら、他の女子選手が不公平になるのでは?
全体の女子競技が成り立たなくなるのでは?
しかも、ボクシングのような危険な競技なら、尚更議論が必要です。

 

今回の件で、世界中が「性別」という問題について深く考えさせられることになりそうですね。


ps. 先ほど、ケリフ選手が金メダルを獲得したようで、議論がさらに深まっているようです。

ぜひ、皆さんの感想を聞かせてください!


今回の記事作成にあたって、高須先生の動画を参考にさせていただきました!

引用元:【パリ五輪】XY染色体の性分化疾患の選手がボクシング女子に出場している件について。

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