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こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんは、国の重要文化財になっているものを観たことがありますか?
私は最初の2つは小学生の時、修学旅行で平和祈念像・平和の泉などを、沖縄旅行で首里城を、高校生の時、山口県萩市に行った時に松下村塾を観に行きました。
母は「旅行に行きたいね」とずっと言っていましたが、私が病気・障害の併発など家庭の事情で行くのが難しくなったりとか、私自身旅行に余り関心がないので、かなり長いこと、旅行というものには行っていません。
ちょっと家族で出かけるとなると、車の運転してが多かったのですが、両親の年齢を考えると、車での遠出は難しく、年齢による身体の衰えで、公共交通機関を使っても難しいのでは?と、思っています。
この記事では、神奈川県鎌倉市にある重要文化財を、視覚障害を抱えている人のために、その模型を作ったという話となります。
神奈川県鎌倉市にある国の重要文化財の『建長寺』の仏殿前に、50分の1のブロンズ模型(底面35cm四方)が設置されました。精巧に再現された仏殿は誰でも触ることが可能です。手を使って新しい発見に気付けるのがこの模型の狙いでした。
今回は、視覚障害を抱えている娘さんのために、お母さんがユニバーサル絵本ライブラリ―【UniLeaf(ユニリーフ)】を立ち上げて、2023年夏クラウドファディングをして成功し、『建長寺』の模型を作り、完成するまでのエピソードを取り上げます。
ユニバーサル絵本ライブラリ―【UniLeaf(ユニリーフ)】が、『建長寺』の模型を作るまでのエピソード
画像引用・参考:見えなくても旅の感動を一緒に|”さわる”模型を鎌倉建長寺から全国へ READYFOR(2023年)
歴史的建造物のミニチュア模型を視覚障害を抱えている人に触って頂き、その素晴らしさを実感して頂きたい―。そんなプロジェクトを、神奈川県葉山町に住む大下利栄子さんが進めてきました。制作した模型は鎌倉五山の一つ、『建長寺』の仏殿です。実物の前に設置し、最終的には視覚障害を抱えている人だけでなく誰でも触って思いを分かち合える様にしたかったからといいます。
2024年4月21日の除幕式には、『建長寺』の模型を発案した大下利栄子さんが全盲の次女の歩さんと出席しました。「ファーストタッチ」で歩さんが模型に触れると、大下さんの目から涙が溢れました。
大下さんは視覚障害を抱えている人も楽しめる透明の点字シートの付いた絵本を手作りする、神奈川県葉山町にある私設図書館【ユニリーフ】の代表を務めています。【ユニリーフ】は、透明点字シート付きユニバーサルデザイン絵本の製作、貸し出し・普及活動を行っている団体で、2008年から活動をしています。
大下さんが『建長寺』のブロンズ模型の構想をしたきっかけは2014年のことです。旅行先のポルトガルで、世界遺産「ベレンの塔」のブロンズ模型と出逢ったことです。「ベレンの塔」の前に設置された触れるブロンズ模型を目にし、「これなら歩と一緒に触れて思い出を共有できる」と確信しました。「日本にも同じ様なものを」という想いを強く抱きました。
時が経ち、コロナ禍で色々な活動が制約される中で、時間ができたことで「夢」の実現に動き出しました。「目が見えない人も、見える人も一緒に観光を楽しめる『触る模型』を制作したい」。10年間抱き続けた想いがカタチになりました。
小児がんで視力を失った歩さんと、旅行した時に、歩さんが景色や建物を感じられないことから、同じ感動を共有できないことに寂しさを感じていました。例を挙げると、知人と奈良県の東大寺を旅行した歩さんに、感想を聞いた時のことでした。
歩さんから、「東大寺は静かなひんやりした部屋以上のものにはならなかった」と言われました。目の前にある国宝の大仏殿、世界遺産に感動するどころか、「娘はシカにせんべいをあげた経験だけが残ったことに衝撃を受けました」と苦笑いで回顧しました。
京都府京都市の国宝・三十三間堂では、視覚障害を抱えている人のために模型が設置されています。ここで忘れられないエピソードがあります。本堂の模型を触った歩さんが、「三十三間堂なのに、(柱と柱の間が)35あるよ」と言い出しました。大下さんが僧侶に質問すると「両端に廊下があるので、その分だけ1つずつ余計にあるんです。なので、35で正解です」と答えました。目が見えていても、気が付かない。触って知ることの面白さや驚き、模型の可能性を強く感じた瞬間でした。
僧侶との会話が弾み、気が付くと周りには人だかりができ、模型路「触りたい」と子ども達が寄ってきました。歩さんは「建物は説明されても頭がボーッとしてしまうけど、模型だと自分から情報を取りに行けるし、楽しめる」と触る模型の意義を大下さんに説明しました。
「いつか日本のそれ以外のエリアにも『ベレンの塔』や、『三十三間堂』の様な、同様の物が欲しい」と、実現に向け動き、2021年11月から「観光のユニバーサル化」と、模型の設置を鎌倉市に相談し、大下さんの想いに鎌倉市の担当者が共感し、『建長寺』を紹介しました。
大下さんから「視覚障害を抱えている人は寺に参拝に来ても理解できるものがない」という話を聞いた『建長寺』の森裕行内務部長は、「これまで寺として、視覚障害を抱えている人たちに心を寄せられていませんでした」と実感したといいます。「模型の制作をきっかけにユニバーサルな境内にしていきたいです。視覚障害を抱えている人だけでなく、見える人にも触れて頂き、交流の場になれば」と期待を込めました。
大下さんは「沢山の方が共感して下さり、ご協力頂けたことを本当に嬉しく感じています」と感謝を口にします。
『建長寺』の協力を得て、国の重要文化財でもある仏殿の50分1スケールのブロンズ模型を制作し、『建長寺』境内へ設置しました。模型製作には多額の費用がかかることで、クラウドファンディングにも挑戦しました。クラウドファンディングの目標金額は500万円でした。
自然石の台座も付け、特徴ある造りは違う金属で加工しました。集まった資金はブロンズ模型の制作・設置費用、周辺費用の一部に充てられました。
2023年夏からクラウドファンディングを始め、およそ650万円を集めました。「みんな、一緒の世界が必要だと共感して下さったので、そのシンボルになると感じました」。だからこそ、模型は簡略化せず、より正確に作ることにこだわり抜いたといいます。
参考:鎌倉・建長寺の仏殿前に「触れる模型」 実現させた母娘の思い 毎日新聞(2024年)
『建長寺』の模型の除幕式を終えた後、出席した人などが模型の周りに集まりました。次から次へと模型に触れる光景を見て、大下さんは「視覚障害を抱えている人たちは社会で孤立することが日常生活で起こっています。健常者も視覚障害を抱えている人も一緒に楽しめる機会を作りたかったです」と達成感を滲ませました。
東京都板橋区から『建長寺』に来た中学2年生の男の子は、「視力が0.1と弱くて、『建長寺』の2階部分がほとんど見えませんでした。模型を触ってみて初めてどういう構造なのか分かって驚きました。模型の制作が日本全国に拡大して、他の有名な神社やお城も制作してくれたら視覚障害を抱えている人も、観光を楽しめると思います」と笑顔が弾けました。
私と旅行
巻末では修学旅行について話したいと思います。私は修学旅行で、京都や大阪などに行くことが昔から夢でした。「いつか行きたい」という想いを抱き、中学はスキーに行って、「いやいや、まだ高校があるから」と思っていました。
私の上の学年は、京都や大阪などで、「行ける」と思っていましたが、いざ修学旅行に行く学年になると、先生たちが、「何かスポーツに行きたいですね。スキーとかどうですか?」となって、私は中学、高校とスキーに行く羽目に。
2回体験しているから、周りから「⚪︎ちゃん、スキー、上手そうだね」と言われていましたが、誰よりもスキーが下手で、団体行動で一人、遅れを取りましたし、滑ると「ここはこれ以上危険」というところに行きそうになったり、人とぶつかったり、散々でした。
因みに1個下の学年は、沖縄と、一般的な修学旅行に戻ったみたいでした。
正直運動できない私にとって、修学旅行でもスポーツだなんて、本当に苦痛でした。
話はこの記事の本題に戻りますが、視覚障害を抱えていても、模型を通じて、それを感じることができる、本当に素敵な取り組みですね。
鎌倉市も、旅行欲が無くても、憧れる観光スポットです。
いつか私が『建長寺』に行く機会があったら、是非この【ユニリーフ】さんが携わった、模型を触りたいなと思いました。
noteでも書いています。よければ読んでください。
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