『コミュニティフリッジ』(公共冷蔵庫)。個人・企業の寄付で助かる家庭があるー。

コミュニティフリッジ

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事の本題は、『コミュニティフリッジ』(公共冷蔵庫)です。

まず、『コミュニティフリッジ』の説明をします。

『コミュニティフリッジ』とは、人目や時間を気にせず・都合が良い時に助け合いの精神で提供をした個人、企業・商店などから預かった日用品・食料品を、各地域に設置された冷凍庫や冷蔵庫で受け取れる仕組みとなっています。

色んな事情によって、生活が困窮する人が増えてきています。経済の影響による仕事の事情、介護や離婚などの家庭の事情、それぞれに理由がありますが、それは誰しもに、ある日、急に訪れることになるかもしれません。

『コミュニティフリッジ』を利用したい方は、利用登録をすることでその場所の電子ロックを提供し、都合が良い時に取りに受け取ることが可能です。

岡山県岡山市にある一般社団法人「北長瀬エリアマネジメント」は、ヨーロッパのケースにならい、2020年11月から公共冷蔵庫『コミュニティフリッジ』の運用をスタートしました。岡山市内の複合商業施設の倉庫に棚や冷蔵庫を設置し、企業や個人から寄付された日用品や食料品を陳列しています。

就学援助や児童扶養手当を受けているご家庭が専用のアプリで鍵を開けて入り、必要な物を受け取ることが可能です。24時間利用可能で、毎日70〜80世帯が利用する場所もあります。

このノウハウの提供を受けた商工会議所やNPO法人などが、佐賀県佐賀市や埼玉県草加市、大阪府堺市など7ヵ所で同様の取り組みを進めています。東京都板橋区も2023年7月に『コミュニティフリッジ』を設置する計画です。

「北長瀬エリアマネジメント」の新宅宝専務理事は、「『支援する側』と『される側』が顔を合わさずに手を取り合える仕組みで、地域住民がお互いをサポートし合う場となっています」と説明しています。

この様に、本当に困っている人が、必要な時に取りに行ける、『コミュニティフリッジ』。

今回は、実際に『コミュニティフリッジ』を導入している都道府県を取り上げながら、この『コミュニティフリッジ』を紹介致します。

『コミュニティフリッジ』を導入している都道府県in愛知県

生活が困窮する人たちが、個人や企業から寄付された食料品や日用品を無料で受け取れる施設が、全国に浸透しつつあります。『コミュニティフリッジ』などと呼ばれていて、24時間利用できるエリアもあります。食品ロスの削減にも結び付く取り組みで、物価高が続く中、『コミュニティフリッジ』の運営関係者は「共感の輪を拡大したいです」と述べています。

マヨネーズやお菓子、フルーツの缶詰…。愛知県名古屋市昭和区にある公共施設前にあるロッカー型冷蔵庫の扉を開け、一世帯分の食品を入れます。「普段は1回におよそ4kgずつ。米を配布する場合もあります」。子ども食堂を経営する地元の一般社団法人「つなぐ子ども未来」代表理事の安藤綾乃さんがそう話しました。

「つなぐ子ども未来」は「みんなのれいぞうこ」のキャッチコピーで、2022年5月から名古屋市内5ヵ所に『コミュニティフリッジ』を順次設置しました。生活に困った人が周囲の目や時間を気にせず、身近な場所で食料品などを受け取れる様にしたい、との想いを抱いたからでした。

フードバンクや個人から届けられた日用品や食料品を週2回、スタッフがそれぞれの『コミュニティフリッジ』に配送します。その都度、利用登録をした人にLINEで申し込みを募集し、困窮状況などを踏まえて配布先を決めます。当選者に『コミュニティフリッジ』を開ける暗証番号などを伝え、指定の24時間以内に受け取りに行って頂く仕組みです。2023年2月末時点で、名古屋市内外の高齢者世帯やひとり親世帯などの328人が登録し、延べ1252世帯が『コミュニティフリッジ』でサポートを受けました。

参考:WEB特集 物価高騰に対抗する秘策?無料で食品が手に入る“公共冷蔵庫” NHK(2023年)

2022年夏から名古屋市内で中学1年の長男と生活するパート従業員の女性は、この『コミュニティフリッジ』を利用してきました。「人と会わず、気を使わなくて済みます。24時間いつでも好きな時間に欲しいものを受け取れるのがとても良いです」と話します。

女性の毎月の給与の手取りは月十万円ほどです。食費や学用品代と、児童扶養手当を補助して頂ける就学援助を受けています。「今まで『コミュニティフリッジ』で受け取った食材でカレーや豚のしょうが焼きを息子と一緒に作りました。家計が物価高で苦しい中、本当にご支援には助かり、心も温まります」と感謝を伝えます。

「つなぐ子ども未来」の代表理事の安藤さんは、「子ども食堂に来ることさえできずに困窮する人を助けたい」と、ボランティアや食料品の募集を呼びかけながら『コミュニティフリッジ』の設置場所をさらに増やしたいといいます。

『コミュニティフリッジ』を導入している都道府県in佐賀県

企業や個人から寄付された食料品などを保管し、必要な人が好きな時間に無料で受け取れる『コミュニティフリッジ』が、九州で初となる佐賀県佐賀市内に開設されて1年が経過しました。課題だった供給不足は解消されつつありますが、利用者の増加や安定運営を念頭に、運営者はさらなる寄付を呼びかけています。

2023年6月上旬、佐賀市内に設置された『コミュニティフリッジ』は、およそ25平方mの室内の陳列棚には衣類やレトルト食品が並んでいました。大型冷蔵庫には袋いっぱいのタマネギ。充足した状況とは言えませんが、ガランとしていた2022年からは大きく改善したといいます。

『コミュニティフリッジ』が利用可能な人は、児童扶養手当を受給する佐賀県内に住むひとり親世帯です。2022年5月の開設後、想定(20~30世帯)を上回る応募が集まり、登録世帯数は2022年8月時点で2023年6月現在と同じ水準の150に上りました。食材の受け取り数も制限しましたが、「いつも在庫がない」といったお問い合わせが相次いで報告されました。

その後、『コミュニティフリッジ』が浸透し、協力してくれる人が増えました。現在、定期的に支援金や食料品を寄付する企業数は10ほど、農家や個人の寄付も増加しました。2022年10月には産学官民の食支援の連携組織も発足しました。『コミュニティフリッジ』を開設した、佐賀県佐賀市にあるNPO法人「空家・空地活用サポートSAGA」(愛称そらそら)の内川実佐子副代表理事は、「県単位でサポートをする枠組みづくりが進むことは非常に心強いです」と説明します。

参考:九州初の「公共冷蔵庫」、食料品を必要な人に寄付…シングルマザー「本当に感謝」 読売新聞(2023年)

『コミュニティフリッジ』を導入している都道府県in大阪府

低所得やひとり親などで困窮する家庭が24時間食品を受け取れる『コミュニティフリッジ』が浸透しつつあります。企業などから寄付された食品を個人や団体に無償で提供するフードバンクが全国で普及する中で、当事者が、より使いやすい支援として注目を集めています。

大阪府泉佐野市中庄にある社会福祉センターの敷地内に2023年9月、「コミュニティフリッジ 泉佐野」が開設され、大阪府泉佐野市鶴原にある運営するNPO法人「キリンこども応援団」の水取博隆代表は、「子ども達にお腹いっぱいになって貰い、大きな夢を抱ける助けにしたいです」と述べました。「キリンこども応援団」によりますと、『コミュニティフリッジ』の開設は全国10例目です。府内では寝屋川市、堺市に続き3例目で、都道府県単位では全国最多の『コミュニティフリッジ』の設置となりました。

およそ10平方mのプレハブ倉庫の中には常温で保存できるレトルト食品や米、冷蔵庫に入れられた地元企業のパンやヨーグルトや缶詰、トイレットペーパーなどの日用品やノートなどの文房具、農家からの野菜も陳列されています。24時間無人運営で、『コミュニティフリッジ』を利用したい人はインターネット上などで登録すると、希望するものの受け取りは24時間365日可能で利用回数の制限はありません。

利用したい人は事前登録したスマートフォンの専用アプリで電子ロックを解錠して、『コミュニティフリッジ』に入室します。受け取った食材などのバーコードを機器に読み取らせることで、在庫管理もできるシステムです。

また、持ち帰る物品の数量をバーコードで読み込み、いつ誰が何を持ち帰ったのかを支援者する人は把握が可能です。『コミュニティフリッジ』を利用し、持ち帰る回数が頻繁にある家庭には詳しく事情を聞いて、必要に応じてサポートをする仕組みにもなっています。

ノートなどの文房具は、泉佐野市などの18歳以下の子育て世帯を対象に2021年夏から月1回、フードバンクなどで募った食材を泉佐野市内にある商業施設で配布する活動を続けてきました。

「キリンこども応援団」の水取代表は、フリースクールや子ども食堂などの子どもの居場所づくりを進めていって、2年前から子育て世帯を対象に食料品などを配布するフードパントリー事業を立ち上げた経験から、さらに幅広い食料支援の必要性を感じ、フードバンクの設置を計画したといいます。

物価高騰やコロナ禍が家計に打撃を与える中、毎月150世帯の事前登録が開始20分ほどで埋まる人気でしたが、課題もありました。フードバンクの開設が月に一度と限定されることで、受け取りを諦める家庭もあって、配布する物も1世帯ごとの数が決まっていて、家庭環境に応じた対応が困難でした。「より継続的に、サポートが必要な人に利用して欲しい」と、「キリンこども応援団」の水取代表が思いついたのが、全国に浸透しつつある『コミュニティフリッジ』でした。

『コミュニティフリッジ』を利用できるのは、市内在住の18歳以下の子どもを育てる世帯で、ひとり親家庭や児童扶養手当受給世帯などを想定しています。およそ200世帯の利用を見込んでいます。

2023年9月に『コミュニティフリッジ』を開設すると10日間で23世帯が登録し、利用を希望したい人のお問い合わせも相次いでいます。『コミュニティフリッジ』を利用した人からは「いつもなら買わないものも受け取れて、娘もとても喜びました」などといった好評を博しているといいます。

『コミュニティフリッジ』の運営を継続するための最大の課題は費用の面です。食品を保管するため、特に猛暑の時期は冷房が必要となります。それ以外にもフードバンクへの寄付で足りない配布物の管理費や購入などで想定される月20万円ほどのランニングコストは「キリンこども応援団」への寄付でまかなっているといいます。

『コミュニティフリッジ』を利用する人には、学習支援など「未来」につ結び付くサポートも提供していきたいと言います。「キリンこども応援団」の水取代表は、「『コミュニティフリッジ』を継続運営するには地域や個人、企業からの支援や理解が必要不可欠です。貧困の連鎖を止めるために多くの皆さんにサポート頂きたいです」と説明しています。

『コミュニティフリッジ』のお問い合わせや活動支援は「キリンこども応援団」(072-475-6364)まで。

参考:寄付食品24時間受け取り コミュニティフリッジ設置 読売新聞(2023年)

私の身近な貧困

私が最近感じるのは、ニュースなどで寄付を呼びかけている、あしなが育英会です。最近よくニュースで見かける事が増えて、「どうしてこんなに取り上げられているの?」と分かっていなかったのですが、最近理由が分かりました。

あしなが育英会に、2024年春に向け奨学金を申し込んだ1800世帯の申請データを集計すると、その申請したご家庭の平均年間所得は139万円でした。

「あしなが育英会」は、1988年から子ども達を対象とする奨学金制度を始め、障害でご両親が仕事ができなかったり、ご両親が病気などで亡くなったりする子ども達が高校や大学などに進学する時に奨学金を出し、今までに延べおよそ6万人の進学を支えてきました。

ですが、2024年春の高校入学に向けた奨学金の申請が急増し、2023年度より35%多い1800件が申請が届き、過去最多になりました。

あしなが育英会の奨学金の申請の急増の背景には、コロナ禍や物価高による家計の悪化や、奨学金の仕組みが一部の奨学金が返済となる必要な貸与型から、返済の必要がない給付型に変わったことがありました。

すると、あしなが育英会の資金が追いつかなくなり、2024年に希望者に奨学金を出せたのは815件、率にして45.3%で、半数以上の希望者に奨学金を給付することができなくなりました。

2022年までは申請の9割程度を採用し奨学金を出していましたが、仕組みを給付型に変更した2023年は採用率が5割まで落ち込みました。

2024年は採用枠を増やして申請を受け付けましたが、あしなが育英会の想定以上の申請が殺到し、半数以上に奨学金を給付できない事態に陥りました。

ということです。

実はこの最後の巻末を書く前に、あしなが育英会を観たことがあります。

2024年4月、仕事を終えて家に帰る時に、普段は通らない、人気の少ない久留米駅のタクシーなどが常駐する裏のロータリーを通ると、「寄付をお願いします」と、呼びかけていました。

これまでにも、福岡市などに行った時に寄付を呼びかける学生などを観たことがありましたが、あしなが育英会の呼びかけを観たのは、今回が初めてでした。

奨学金はとても大きな借金です。大学を無事に卒業しても、社会人になったら、仕事をしながら、毎月返していかないといけないものです。

私も大学入学時に借りましたが、1年しか在籍していなかったのに、働いていなくても、10年間、返していました。働き始めたばかりの時から奨学金の返済を求められ、「返さなきゃ」と疲弊しながら仕事をしたり、返済しないとずっと催促の電話が鳴り続け、奨学金の返済で結婚などを諦めている若い人は今多いです。

あしなが育英会が返済不要にしたことで、申し込みが殺到し、支給ができなくなるのは、本末転倒です。ニュースで観た時も、返済不要になった年から、申し込みがかなりグラフの数字でも増えていました。

世の中が、「コロナ明けから1年経った。遊びにどんどん、これからも行くぞ」という声よりも、物価高で、食べ物の支給を待つ人は今でも多く、長い列を作っています。大学がコロナ禍の時から食べ物などを支給していた取り組みも、今でもあるみたいですし。

『コミュニティフリッジ』は、人目や時間を気にせず、受け取れるところが魅力的だと思います。今後も『コミュニティフリッジ』が支援を求めている人を助けて頂きたいです。

関連記事

必要な時にどうぞ 被災地に「公共の冷蔵庫」 毎日新聞(2024年)

参考サイト

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。