食品ロス~「もったいない」を考えてみよう~

りんごを持った少年がお腹をすかせた様子のイラスト

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はじめに

みなさんは、食べものを捨てずに残さず食べきっていますか?私はついつい冷蔵庫で食品を腐らせて捨ててしまうことがときどきあります。飽食の時代から持続可能な社会を発展させるためにも世界規模な大きな問題である食品ロス。みなさんとともに考えてみましょう。

世界の食品ロスに関する問題

世界の約10人に1人は栄養不足と言われています。しかし、世界で生産された食品のうち40パーセントにあたる約25億トンが1年間で廃棄されています。

食料問題、世界の10人に1人が栄養不足を現したイラスト

画像引用:食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢<令和5年6月時点版>農林水産省 外食・食文化課 食品ロス・リサイクル対策室 

発展途上国では収穫する際の技術が低いことや、厳しい気候下での貯蔵が難しいなどの理由から食品の生産や加工の段階で食品ロスが多くなります。

一方先進国では生鮮食品の外観を重視する傾向が強く、品質が高い商品が求められることが多く、小売店での大量に陳列されたり、食品を手軽に廃棄できる余裕があることなどから加工の段階、卸小売の段階、または外食、家庭の段階での食品ロスが多いです。

日本の食品ロスに関する問題

日本のカロリーベースの自給率は38%であり、残り62%は他国からの輸入でまかなっています。先進国の中でも最低水準に当たります。


摂取カロリーから見た食料自給率を現した世界各国の棒グラフ

画像引用:食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢<令和5年6月時点版>農林水産省 外食・食文化課 食品ロス・リサイクル対策室 

農産物の輸出入においては純輸入額が477億ドル(輸入額517億ドル-輸出額40億ドル)かかっています。日本は多くの食材を他国から買っておりますが、まだ食べることが可能な食品を年間523万トンも廃棄しています。これは、国民1人あたりにつき、一日、ご飯茶碗1杯のご飯を廃棄していることになります。

日本の食品ロスの状況(令和3年度)を現したイラスト

画像引用:食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢<令和5年6月時点版>農林水産省 外食・食文化課 食品ロス・リサイクル対策室 

これは、経済的にも「もったいない」ことだと思いませんか?

3分の1ルール

私たち日本人は生食を好んで食べる歴史的背景があり、こと食品に関しては世界的に見てもかなり厳しく品質を求める傾向にあります。それが食品を捨ててしまうことへの機会を増やしてしまっている原因の一つという面もあると言えるでしょう。

そのルールのひとつに、食品を流通させるには3分の1ルールというものがあります。

食料廃棄の3分の1ルールのイメージを現した表

画像引用:食品ロスの現状と世界との比較

3分の1ルールとは、製造日から賞味期限までの合計の日数を3分の1を経過した日にちまでを納品可能な日とし、3分の2を経過した日数までを販売可能な日(販売期限)とする商慣習的なルールが成り立っていました。しかし、近年、このルールには期限に合理的な根拠がなく、食品や資源を無駄にしてしまうことにつながるといる理由から見直しが検討され始めています。

こういった見直しは「こんなに賞味期限が近い商品を販売しているの?」といった印象を持たれ、イメージダウンが懸念されるものですから、このルールを改善していくのは容易なことではありません。

しかし、意識を変えていく必要があると感じます。私たち消費者一人一人が正しい知識を持ち、まだ捨てるべきではない食品をもったいないと判断していき、より多くの商品を食べきることが食品ロスを減らす大きな一歩になるのではないでしょうか。

農家の困りごとを発信していた「食べチョク」

食のECサイト 「食べチョク」は、コロナ禍の影響で大量の在庫をかかえてしまった生産者と消費者を直接結ぶ試みが大きな反響を呼び、登録者数が43倍増えました。

3分の1ルールにとらわれない新たな流通システムが出来上がりつつあります。

生産者のこだわりを消費者に直接伝え、買うことによって生産者を応援できるシステムです。商品の品質にはまだ課題も残りますが画期的なシステムといえるでしょう。

フードドライブとフードバンク

フードドライブは「一般のご家庭で余っている食品や飲料を集めて、必要とする人々に寄付する活動のこと」です。寄付には一定期間以上の消費期限がまだ残っていることなど条件があります。それ以外は特に参加するのに特別な資格が必要ではなく、気軽に参加できることが特徴です。集められた食品などは自治体やNPOを通じて必要な人のもとへ届けられる仕組みになっています。送料や交通費は各家庭が負担します。

フードバンクとは、「企業(農家も含めて)がまだ食べられるのに商品としては売れない食品を集め、寄付する活動のこと」です。団体での寄付なので、輸送費は農林水産省が補助しています。
消費期限が過ぎてしまって寄付が難しい状態の飲食品を、飼料や肥料に再利用することも活動の一つです。

まとめ

私たちはいつでも、どこでも、お金があればおいしい食品を手に入れ、食べることができます。それを支えているのは輸入した外国産のものであり、それを食べきれずに毎年多くの食品廃棄物を出しているわけです。その廃棄にも莫大な費用がかかり、燃やすだけでも、大量の二酸化炭素を排出しています。環境的にもとても悪い状況にあります。

その一方で日本でも物価高騰で食費を削る家庭が増えてきています。事業系では、毎回大量の食品ロスが出ています。この食品ロスと食料が足りていない家庭にうまくマッチングして食品が行き渡ればかなりの食品ロスが軽減され、子どもたちに美味しいご飯が行き渡るようになります。多くのご家庭の食の不均衡をどうにかしたいという思いからこの記事を書き上げることにしました。

買い物をするときは、冷蔵庫の中身をチェックし、食べきれない食材を買わないようにしましょう。ばら売りや量り売り、少量のパックなどを利用して必要な分だけ買うようにしましょう。すぐに食べる商品は賞味期限や消費期限の長い商品ではなく、陳列順に手に取って購入しましょう。そして、多く作りすぎないこと、食材が余るようならインターネットを利用して使い切りレシピを検索してみるのも一つの手です。

小さなことかもしれませんが、コツコツとやっていけば、やがて大きなロスを減らせると思います。「もったいない」を減らしていきましょう。

参考サイト

世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること | 日本財団ジャーナル

食べチョク

貧困とフードロスを救う「フードドライブ」の役割 フードバンクとの違いとは? | ELEMINIST(エレミニスト)

 

noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。

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