【フリースクール】ー教育の今と未来ー 福岡県久留米市を中心に活動する中島靖博氏に聞いた

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こんにちは! AKARIウェブチームです。

 今回の記事では、久留米・筑後地区を中心に「明誠高等学校 久留米SHIP」と「特定非営利活動法人 未来学舎」代表 中島靖博さんに現在の活動とこれからの教育について語っていただきました。

 

安心を生み出すフリースクール

━━━━━現在の活動を教えてください

 今は、小中学生対象の学校に行けない人たちの別の居場所としてフリースクールを、また、高校生対象では不登校になって留年や中退を余儀なくされた人たちが通う通信制高校のサポート校の運営をしています。それに加えて、どうしても出会って時間が短い子、たとえば高校三年生の卒業間近の人の場合、その先の進路が定まらない人たちがいます。その人たちのサポートも重点的に行っています。

※フリースクールとサポート校・・・日本でフリースクールとは、主に不登校の子どもが通う施設を指します。教育内容は子どもの自主性を尊重した活動内容が主流です。他方、サポート校では、高等学校通信教育を受けている生徒や、高校には行かずに高等学校卒業認定試験合格を目指す生徒に対して、支援を行います。

 

━━━━━具体的には勉強のサポートをされているんですか?

 どっちかというと最近は、勉強を教えるということよりも、まずはその子の心の不安なものを取り除くサポートが一番になっているようですね。どうしても心の状態が不安定な子たちが来始めているので。

━━━━━何かしら、不安なものを抱えて既存の学校に通うことできない人が多いのですか?

 やっぱり、心が元気になっていくと、充実感した時間を過ごしたくなって、そしてやっと「勉強も頑張ろう」という段階になっていくのです。

━━━━━具体的にどうやって、心の不安定さを取り除こうとしているのですか?

   感覚的に、これまでの経験で感じるものもあるんですが、その子のことを100%理解することは難しいです。ですので、「一人で悩まずに、一緒に少しずつ不安なものを取り除いていかない?」という感じで少しずつ問題を解決していきます。この場所は不安なものを積み重ねる場所ではなくて、一緒に安心が生まれる場所であるということを、一生懸命説明します。 うちに来る子は様々な障害を持つ子が来ていて、それも含めて、まずはそののままでいいということを認めることから始めます。とにかく、今、ありのままの状態を認めてあげることを大切にしています。

 「困っているのは誰なの?」という視点がありまして。困っているのは僕ら自身ではなく、本人たち当人なので。そのあたりを常に確認しながらサポートしています。

 

大学時代の日本一周でありのままの自分に出会った

 

━━━━━そもそも、今の活動を始めるきっかけは何でしょう?

 振り返ってみたときに、学生時代、自分自身が、他の人が興味関心を持っていることに一緒に楽しめなかったりして。自分がおかしいのか、周りがおかしいのかということを考えたことが根底にあって。自分には友達はいないのではないのか、本当の友達って何だろうと常に考えていました。心の奥底にはそれがありつつも、日々の生活は楽しんでいたので、思い悩むことはありませんでしたが、どこか自己肯定を完全にできない自分がいて。

 そこで大学生のときに思い切って、少しでも人間的に自分を成長させようと、バイクで日本一周をしてみたのです。何かが特別に変わるわけではないだろうけど、何かが変わりそうな気がして。

 そこで、自分が普段、触れてた世界がいかに狭かったと目の当たりにしたのです。学校や親たちが教えてくれない世界がそこにはあったのです。とくに北海道では一か月過ごすとになって、そこでの出会いは何事にも代えがたい場所になったのです。

━━━━━北海道での時間はどうだったのでしょう?

北海道には全国から、何かしら抱えている旅人が来ていて。そんな旅の最中に、10日間ぐらい、北海道の民宿でお手伝いをすることになって、そこで旅人たちとの交流とお金稼ぎをすることになって。

━━━━━そこでの体験が、何かを変えた?

 その民宿のオーナーさんと一緒に昆布漁に出かけて。一艘の船の上でさまざまな話をすることになって。そこでオーナーさんに「ところで、中島ちゃんは福岡ではどうなのよ?」と聞かれた途端に大量の涙が溢れてきて。あんな泣き方をしたのは人生であの一度きりだと。その中ではっと思ったのは、北海道では力を抜いて素直な自分自身で過ごせてたんだと。でも福岡では、無理にいつも頑張っていたんだと。もう少し、福岡でもありのままの自分で過ごせたならと、そこで気づけたのです。

 それと、学生時代、個別指導の学習塾の講師をしていて、そこで発達障がいを持っていたり、いろんな家庭問題を抱えた生徒を見てきて。そんななか旅を経た経験で見て考えたことは、「あなたそのままでいい」んだと。学校に行こうが行くまいがそんなに人生に影響しないんだということを伝えたいと思ったことが、今の活動を始めたきっかけです。

 

今の日本の教育に魅力を感じない。だから自分がやる

 

━━━━━今のフリースクール、そして日本の教育の課題は何でしょう?

まずはフリースクールの課題からいうと、どうしても世間一般的に学校が行けない子どもたちの救いの場、あるいはドロップアウトした子たちが通う子というマイナスのイメージと捉えられていることです。そこで、フリースクールに行かせることをためらう社会の見方があります。

 そして、都心部では比較的いろんな居場所があって、学校に行けない子どもの場所があると思うのですが、地方に目を向けると学校に行けない子=家に引きこもざるを得ないという傾向があるため、その人たちに居場所を提供してあげないといけないと思います。

 教育全般で言えば、日本の教育になんの魅力を持てなくて。知識をより詰め込むこととか、理解が早くて計算が時間内にすぐできる子を優秀であるかのように勉強をやっているような感じがあって。

 本来であれば教育は、その子が社会に出ていくための準備の場であったり、その子の個人個人の人生を豊かにしていくための学びを実現していくための公教育であるものが、日本ではあまり機能していなくて。画一的な一斉授業が時代に合ってなくて。その子その子にしっかりと向かい合った教育でなければいけないんじゃないかなと思って。

 すごい古い教育を今でも日本でやっていて、世界競争力からみても本当にまずいんではないかと思います。

 僕らも、日本の教育に対して、抗うわけではないですが、ちょっと新しいものを取り入れようと、オランダのイエナプラン教育というものを全面的に取り入れた、新しい小学生、中学生が一緒に過ごせる場所を提供しようと思っています。

※イエナプラン教育・・・ドイツで生まれ、オランダで普及した教育モデルです。クラスは異年齢の子どもたちで編成され、4つの基本活動(会話・遊び・学習・催し)を循環的に行います。

次の時代の教育へ

━━━━━これからの展望は何ですか?

 今、「多様な学び」という言葉が広まってきつつあって。シュタイナー教育だとかオルタナティブ・スクールとか公教育とは違う理念でやっている学校があって。

 世界では、既存の学校に行かせず、不登校でもなくて、我が子をそのような学校に行かせる国があります。

 そのような学校が日本には、少なくて。でも熊本にはWING SCHOOLという小中学生対象の学校があって。そこには、そごく考えられた新しい教育のスタイルが実践されてあって。そこには、佐賀とか久留米から電車や新幹線を乗り継いで我が子を生かせる家族も増えています。

 そんな中で、自分たちもそのような新しいスタイルの学校を作ってみたいです。

※シュタイナー教育・・・ドイツのルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が提唱した教育手法です。彼は、知的な経路を通じた学習は教育のほんの一部に過ぎないと考え、感情や意思に働きかける「総合芸術」としての教育を構想しました。

 

※WING SCHOOL・・・2018年4月8日に開校した小中学一貫教育を行う学校。詳細はこちら

 

今目の前にある世界が全てではない

━━━━━最後にAKARIの読者の方々に対してのメッセージはありますか?

 自分が知っている世界というのはすごく小さくて、知らない世界がたくさんあって。そして知らない世界の中には、新しい気付きや期待や希望があって。そして、「知らない世界がどこかにはたくさんきっとあるんだ」という思いを常に持っていて欲しいです。

 ━━━━━ありがとうございました。

 

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