ミステリーと洗濯 〜20時の屈辱〜

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「あ、コイツが犯人よ」

家族で夕食中に、私が指摘すると、パートナーと息子は逆上する。

「コイツなワケなかろーもん。犯人は(売れっ子俳優)よ」

「母さん、当てずっぽうで言うのやめて、最後まで黙っててくれる?」

そう、私はこの手の番組の犯人を当てるのがめっぽうつよい。理由は簡単である

製作者サイドに立って番組を見れば、一目瞭然で、演出や台詞で気づいてしまう。

 

そして犯人が当たり、「一回見たことあるんだよ」「ネタバレを見たんだ」とか、

どーでもいいことでムキになる男二人を尻目に、フン、と近所のコンビニで買った珈琲を啜るのである。

推理だのミステリだの、お金目当てにボフボフと人を殺す愛憎劇を、西欧人の「騙される快感」だの、「インテリの愛読書」だのと言って崇拝する文化は、私にはよくわからないしどーでもいい。

だが、混迷する事件を、スラスラと解決する主人公にどうやら男二人は憧れ、自分を重ねる。そしてぐーたら主婦がいとも簡単に犯人を当てるのを見て。凄まじくムカつくのである。

なので、息子にその作り手側の意図などが伝わるよう、手解きをしてみた。

「あれは、キーアイテムよ。主人公は命拾いをするわね」

「あの一瞬映った箱の中に入ってるのは、何でしょう?ヒント、どんでん返しー」

 

「母さんのバカ。死んじゃえ…。」屈辱のあまり、息子はワナワナと涙目になってつぶやいた。

 

あたしゃあ、あなたたちにとって、どんな存在よ、ただの飯炊き女か。

 

パートナーが回す洗濯機の音と振動がやけに大きく感じたディナーでしたー。

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