年をとる事が怖い。そんな全ての人たちへ。

年

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私は年をとることが怖い。

もう24になる。
私の顔は、日に日にだんだん垂れ下がっていっている気がする。

毎朝、鏡を見る度に、すごく落ち込む。

若さ故の美しさとかそんなのが自分の手から消え失せる事がとてつもなく怖い。

若さって武器だと思う。
私はそれを知っている。
嫌な人間と思われるかもしれないけれど、知っている。

どこに行っても、「若いね」と優しくされる。
ミスをしても「若いから」と笑って許される時がある。
「若い」から見れる夢もあるし、「若い」から愛する事ができる人もいる。

私はそんな大きな武器を持ちながら、その武器を持て余しているところもあって、毎日が怖い。

若い自分だからこそできる事もあるはず。
年をとってから、「若い時あれをしたらよかった」と後悔するかもしれない。

砂時計から落ちる砂のように、スルスルと若さはなくなっていく。

とてつもなく恐ろしい。

1番は、「美しさ」がなくなる事がとても怖い。

「美しさ」というのは、それも、すごく大きな武器だ。

しかし、若さが消えていくと同時に、私の美しさも消えていっている。

 

でも、恐ろしい気持ちになる時に、たまに脳裏に浮かぶ光景がある。

ある日、私はテレビでニュースを観ていた。

番組では、重度の障がいを持った方々の施設の特集をしていた。

私は、それを観た時に、一瞬で釘付けになった人がいた。

そこで、障がいのある方の介助をされている女性だった。

その女性が映っていたのは、たったの2秒くらい。

私はその人の映像を観た時に、神様に頬を叩かれた気がした。

その人はとても美しかった。
顔とかファッションとかそういうのじゃない。

表現できないくらい、怖いくらい、美しかった。

その人の凄まじいくらいの心の美しさが、一瞬で伝わってきたのだ。


テレビを消してからも、心臓がドキドキしていた。

「美しさ」とはこういう事なんだ…。
そう思った。

ふと、テーブルの上を見ると、私の読みかけのファッション雑誌たちが散らばっていた。
それらがゴミみたいに思えた。
初めて、ゴミみたいに見えた。

ファッション雑誌で、もてはやされている「若さ」「綺麗さ」「可愛さ」。
私はそれだけを必死で追いかけていた。
時には哀しくなるほど求めていた。
虚しい気持ちになるほど求めていた。

そんな自分がすごく恥ずかしい気持ちがした。

テレビで見かけたあの女性は、私が見てきた中で確実に1番綺麗な人だった。
雑誌で笑顔を振りまいている女性達より数倍、数十倍、いや比べられないくらい綺麗だった。

本当の美しさ。
それは、多分、心なんだと思う。
きっと、心の美しさなんだと思う。

心の美しさとは、多分この世で1番綺麗だ。
美しい。

私は、あの女性みたいになりたい、ならなければ、と思った。

若さによる美しさを失うのが怖いと思って眠れない夜。
私は改めて、あの女性の事を思い出そうと思う。

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