尊敬する人

尊敬

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「デザインを教えてください!」
最近、通所の度に、私はある男性にそう声をかける。
そうすると、彼はいつも私に優しくデザインを教えてくれる…。

去年のことだった。
私と彼は、ある大きな仕事を任された。
大規模なWebサイトのデザイン。
素晴らしく素敵なコンセプトのお仕事だった。
あまりにも壮大なお仕事だったから、怖気付いたけれども、その素敵なコンセプトに惹かれて、挑戦する事にした。

うまくいかない…。
そんな事を思いだしたのは、やってみて1週間目くらいだった。
デザイナーの先生にダメ出しを食らう毎日。
そんな中、隣に座っている彼だけが、いつもデザインの先生に褒められていて…正直悔しかったんだと思う。
だんだん、うまくいかない自分の仕事を、彼のせいにしている自分がいた。
何故、そういう思考になるのかは分からないけれども、何故か彼のせいにした。
彼のせいだと思い込んだ。

支援員さんに相談して、彼に手紙を書く事になった。
その今の不満を、手紙に書いて彼に読んで伝えよう、との事だった。

早速、支援員さんと、デザイナーの先生と、何も知らない彼を読んで、私は長い不満を書いた手紙を読んだ。

怒ると思っていた。
なのに、デザイナーの先生も、彼も、一切怒らなかった。
それどころか、彼は、「僕は、あなたのデザインを尊敬してる」みたいな事を言ってくれた。

話し合いが終わると、彼は私のところに駆けつけて、こう言った。
「また、不満があったら、なんでも教えてください。」
私は、すみません、と言った。
申し訳なくて、仕方なかった。

そのお仕事を、結局私は降りる事になった。
精神的にも、技術的にも、限界だったからだ。

それから、リモートワークで離れていることもあり、彼と話す事はあまりなくなった。

ずっと、ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

でも、久しぶりの通所との時に、「お仕事降りてしまってすみません」と言うのが精一杯だった。
彼は、「あれはきついから、しょうがないよ、本当に気にしてないから」と笑顔で言ってくれた。

施設外就労で、彼とお仕事をする事になった。
デザインがなんだか嫌になって、逃げるようにライティングチームに入った私。
そんな私に、彼は変わらず接してくれた。
「Webデザイン作れる人が不足してるから、戻ってきてよ。デザインチームに。」
彼は、そんな事を休憩時間に言ってくれた。
あんな事をした、卑怯で最低な私に、そんな優しい言葉をかけてくれて、私はたまらなくなった。
「あの時は、ごめんなさい。手紙に書いてある事は本心ではなかったんです。私が体調が悪くて書いたもので、本当に申し訳ないってずっと思っていました。」
勇気を出して、言ってみた。
彼は、
「全然気にしてないよ!むしろ、自分の気持ちを勇気を出して言ってくれてすごいな、って思ったよ」
と言ってくれた。
なんて、すごい人なんだ、と思った。

私は、彼の仕事を尊敬している。
デザインも、彼の作るものは、優秀で、最高だ。
彼のようになりたくて、私は、通所の度に彼に、彼の作ったデザインを見せてもらう。
彼に「これはどうやって作るんですか?」とか聞く。
彼は、まとわりついてくる私に対して、優しく丁寧に教えてくれる。

あの短期間のお仕事を一緒に闘ってきた、仲間。
私が少ししかいなかったあのお仕事だけれども、私は彼のことを勝手に、同志とか戦友みたいに思っている。
デザイナーの先生に、ダメ出しを食らいながらも、二人で話し合って、いいデザインを産み出そうと必死に闘ったあの1ヶ月。
私は、これから、一般就労したとしても、あの経験は忘れないだろう。

彼は、AKARIを読んでない、と言っていたから、ここにどんなに彼に対する、謝罪を書いても意味がない。
ごめんなさい、と何回書いても、ダメだ。

でも、私が彼のことを、心から尊敬していることは紛れもない事実だ。

これからも、私は彼のことを尊敬していきたいと思う。
彼は、私の大切な戦友だったから。

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