過食症とは 2つの種類と3つの要因

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『摂食障害』という病気があります。

摂食障害は食べ物を食べられなくなる『拒食症』と、食べ物を過剰に食べてしまう『過食症』に分けられます。今回は後者、『過食症』について書いていこうと思います。

1.過食症とは

摂食障害はこの図のように分けられます。過食症には二種類あります。

①神経性過食症

神経性過食症とは、過食症の中でも「一気に食べた物を何らかの方法で排出する浄化方法を伴うもの」をいいます。診断基準は次のようになっています。 ※DSM-5より

A.1.ほとんどの人が同様の状況で同様の時間内に食べる量よりも、明らかに多い食べ物を食べる。

 2.その間は食べることを抑制できない(食べるのをやめることができない、または食べる物の種類や量を抑制できない)

B.体重の増加を防ぐための、反復する不適切な代償行動がみられる(自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤・その他の医薬品の乱用、絶食、過剰な運動など)

C.過食と不適切な代償行動がともに平均して3ヶ月にわたり少なくとも週に1回は起こっている

D.自己評価が体型および体重の影響を過度に受けている(自分の体型を過度に気にしている)

DSM-5とは
アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)が作った“心の病気”に関する診断基準。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders。日本では「精神障害の診断と統計マニュアル」「精神疾患診断統計マニュアル」などと呼ばれる。第1版であるDSM-Iは、1952年に発表され、その後68年にDSM-II、80年にDSM-III、86年にDSM-III-R、94年にDSM-IV、2000年にDSM-IVTRと発表された。14年5月、DSM-5(第5版)の病名・用語翻訳ガイドライン初版が日本精神神経学会により公表され、一部の精神疾患概念において、従来の「障害」の呼称に替わり「症(群)」の訳語が採用された。

②過食性障害

過食性障害は神経性過食症と同じく過食を繰り返しますが、こちらは神経性過食症にみられる「嘔吐、下剤などを使った浄化方法」が伴いません。そのため過体重、肥満が多くみられることが特徴です。『むちゃ食い障害』という名でも呼ばれはじめています。

過食性障害(むちゃ食い障害)は、

A.早食い

B.満腹になっても食べる

C.空腹感がなくても食べる

D.過食を知られるのを恥じて一人で食べる

E.過食後に罪悪感、自己嫌悪、うつ気分を覚える

このうち3つ以上に当てはまり、それが3ヶ月にわたり週1回以上のペースで行われる状況です。

2.過食症患者の男女比率、年齢層

摂食障害のうち拒食症は患者の9割が女性といわれています。その中でも10代にみられることが多く、過食症は20代に多くみられる傾向があります。とはいえあくまでもその年齢層の患者が多いというだけで、他の年齢層の方が罹ることも何ら不思議ではありません。

一方で過食症のほうはほぼ半数が男性で、年齢層も幅広くなっています。

3.過食症の原因は?

過食症になる要因は「個人的要因」「環境要因」「生物学的要因」の三つに分けることができると考えられています。

①個人的要因

人格的特徴によるもの完璧主義、強迫観念、過度に他人の目を気にする、依存的性格など

認知の歪み:二極思考(白か黒しかないという『白黒思考』、ゼロでないのなら100だという『ゼロ100思考』)、「私は(または『誰々は』)~すべきだ!」と考える『すべき思考』など

自己同一性の問題:自分自身を認められない、自分というものわからない

身体イメージの問題:客観的に見て肥満ではないのに、「自分は肥満だ」というイメージに囚われる

友人などに対する葛藤:友人などが自分より優れている、注目されているとの強い思いから、自信を失う、または自分自身の存在意義を感じられなくなる

②環境的要因

家庭問題:家族内のコミュニケーションの問題、親の不干渉あるいは過干渉によるストレスの蓄積など

社会文化的要因:スリム=美しいという風潮に強い影響を受ける、創られた「働く女性像」に「ならなければ!」という思いなど

③生物学的要因

空腹中枢、満腹中枢の障害

神経伝達物質の働きの乱れ(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンなど)

4.重要な要素である『家庭問題』

家庭問題によって過食症に陥る人がとても多いといわれています。

本来もっとも落ち着ける場所であるべき「家」の中で、家族とうまくいかないなどの問題から多大なストレスを抱え、それによって空腹中枢・満腹中枢に障害が生じる、あるいは神経伝達物質の働きに乱れが生じるというものです。

このことから、過食症の治療は『対人関係療法』という方法がもっとも有効であるとされています。

5.対人関係療法とは

対人関係療法は精神療法のひとつで、「重要な他者との現在の関係に焦点を当て、対人関係のどのような問題によってどのような症状が現れたのかを分析・理解することで対人関係問題に対処する方法を見つけ、またそれによって、現れた症状に対処していくことを目的とする」という方法です。

対人関係療法の考え方は「いま現れている症状は対人関係の問題によるものであり、治療への反応、転帰(治療の経過および結果)は患者と他者の関係に影響を受けるもの」となっています。そして患者に対して「病者の役割」というものを与え、「通常の社会的義務やある種の責任が免除される代わりに、治療者に協力し、治療に積極的に取り組むという義務が生まれる」ということを認識させます。このことによって患者に、「自分の病気は対人関係の問題によるもので、病気を治すには対人関係の問題を解決することである」という意識を持たせます。

6.有効な薬はあるのか

過食症の根本的は原因はやはり対人関係であることが多いといえます。

たとえば過食症になった原因が「生物学的要因(空腹中枢・満腹中枢の乱れ、神経伝達物質の乱れ)であっても、その原因が対人関係によるストレスであることが多いからです。

過食症そのものを薬で治すという方法は確立されていません。ただ、過食症によって引き起こされた抑うつ状態などに対してSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や抗不安薬が用いられることがあります。

7.おわりに

過食症を含む摂食障害は、他の多くの精神疾患と同じようにストレスが原因であるといってよいでしょう。そして、過食症治療の第一選択である「対人関係療法」は、過食症に陥る要因としてもっとも多い「対人関係問題」の解決を図るものです。原因となる直接的な問題に立ち向かい、解決して、ストレスから解放されることを目的としたものです。

過食症克服のいちばんの近道は、医師・カウンセラーと一緒に計画を立てて、対人関係療法に取り組むことだといえるでしょう。

参考:一般社団法人 日本女性心身医学会

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