嫌なことを忘れる方法はある?『記憶』の仕組みを知る

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こんにちは。TAMAOです。

「嫌なこと」「思い出したくないこと」って、気がついたら勝手に頭に浮かんできて、僕たちを苦しめますよね。「思い出したくないのに!」と思えば思うほど、それに反抗するかのように強引に思考に割り込んでくるものです。これはいったいなぜでしょうか。

 

嫌なことを忘れたいと思えば思うほど忘れられないのは、脳の「出来事を記憶する仕組み」によるものです。『記憶』という言葉は「過去に体験したことや覚えたことを、忘れずに心にとめておくこと。またその内容」という意味ですが、ひと言に「記憶」といっても実はいくつかの種類があります。「一時的に覚えただけで簡単に忘れてしまう記憶」「しっかり心に刻み込まれ、忘れなくなる記憶」などなど。

「嫌なことに限って忘れられない」のは、嫌なことを、脳がよりにもよって「忘れられなくなる方法で記憶」してしまったからです。

1.記憶の種類

心理学においては、記憶は保持時間の長さによって「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」と分類されています。

①感覚記憶

外部からの刺激の視覚的・音響的・音声的特徴を抽出し、最大で1、2秒程度というごくごく短期間保持される記憶です。基本的に意識には上ってきませんが、注意を当てることで「短期記憶」に移行します。

②短期記憶

数十秒から数十分という短時間保持される記憶です。この時間内は想起・復唱することができます。容量には限度があり、新しい情報に簡単に上書きされますが、繰り返し呼び起こされた短期記憶は「長期記憶」へと変化します。

③長期記憶

数分から、長ければ一生保持される記憶です。容量は無制限。長期記憶には「陳述記憶」「非陳述記憶」があります。

2.長期記憶は、内容に基づいて二つに分けられる

①陳述記憶

長期記憶の中の二つの分類のひとつである『陳述記憶』。陳述記憶とはイメージや言語で内容を想起できる記憶のことです。この中でさらに二つに分けられます。

①ー1.エピソード記憶

『エピソード』とは、たとえば物語などにおける「話の本筋とは関係ないが、登場人物などに関するちょっとした挿話」のことです。

『エピソード記憶』とは、たとえば「昨夜、外食をした」(話の本筋)ということを憶えていて、同時に「誰々と一緒だった。博多区にあるお店だった。時間は何時だった。とても美味しかった。楽しい時間だった」という付加情報(ちょっとした挿話)まで憶えている状態です。

エピソード記憶は出来事に関する記憶であり、付加情報という材料があるため、記憶としてはっきり残ります。

①ー2.意味記憶

「一日は24時間である」というような、一般的な知識・情報についての記憶です。エピソード記憶が「自分の体験に関する記憶」であるのに対し、意味記憶は「知識」として頭に残っている記憶です。

②非陳述記憶

非陳述記憶はまたの呼び方を『手続き記憶』といいます。『陳述記憶』が言語で内容を説明できる記憶であることに対し、こちらは言語で内容を説明することが難しい記憶です。言うなれば「頭で覚えているのではなく体で覚えている」記憶で、技能や一連の動作などに関する記憶、たとえば自転車の乗り方や楽器の弾き方などがこれに当たります。

3.嫌なことを忘れられない理由

脳はなぜ、「嫌なこと」を忘れてくれないのでしょうか。

危険を回避するため

本能的に、脳は「嫌な出来事」に対して「それを今後、体験しないため」の方法を探します。脳は嫌な出来事を「大切なこと」と捉えるのです。これは防衛本能です。脳は「嫌なこと」を、それが嫌であれば嫌であるほど、「今後、回避していくため」にしっかり憶えてしまうのです。

嫌なことが忘れられないとき、脳は「嫌なこと」をどの方法で記憶しているのか

嫌なことがあったとき、その「嫌なこと」を頭の中で反復して考えますよね。納得がいかないことであればあるほど、何度も何度も繰り返して思い出し、考えますよね。このことで、よりにもよって『長期記憶』、なかなか忘れない長期記憶として脳がその出来事を保存してしまうのです。短期記憶で済ますこともできた出来事を自ら長期記憶に格上げしてしまっているのです。

またその出来事の前後まで思い出し、「○○さんは私にあんなことを言った」「私がこうしたとき、あの人こんなことをした」「悔しい。もしも私がこうしていたらきっとこうなった」といったエピソードまで加えたりすることもありますよね。こうして、忘れることが非常に難しい『エピソード記憶』として脳に残ることになるのです。

4.嫌なことを忘れることはできるのか?

結論から言えば、嫌なことを「忘れる」、つまり「そんなこと、あったっけ? 憶えてないなあ」というレベルまで完全に頭から消すことは、意図的にはできません。しかし、嫌なことに対する「嫌な思い」「ツライ思い」を薄れさせることはできます。薄れさせて薄れさせて、やがて「たいして気にならなくなった」というレベルまでもっていくことはできます。絶対にできます。だって、たとえば失恋。失恋はツライですよね? できることならもう二度と体験したくないくらいツライですよね? 嫌ですよね? でも、そんな失恋のツラさ、嫌な思いすら、いつかは薄れるものですよね。

ちなみに「失恋」という出来事を脳がなかなか忘れてくれないのも、「危険回避のため」そして「エピソード記憶」として脳が保存しているからです。

5.「嫌な思い」を薄れさせる方法

思考から追い出す

脳というやつは暇を持て余しています。つねに「何か考えることはないか」と探し、よりにもよって「そうだ、これは大切なことだ」とばかりに「嫌な出来事」について考えはじめます。しかし脳はいくつものことを同時に深く考えることはできません。だから、他のことを考えればいいのです。

「それができれば苦労しないよ!」

そう思いますよね。僕もそう思います。でも、それができる人もいるんですよね。傍から見て「あの人はいつも楽しそう。嫌なこととかないのかな?」「あの人はストレスとか感じないのかな?」と思ってしまうような人。

どんな人だって嫌な思いをし、それを抱えているはずです。また現代は誰だってストレスを感じているはずです。でも、常にポジティブな人がいます。そういう人は、「嫌な思い」を紛らわせることが上手なのです。そういう人は、嫌な考えが頭に浮かんできたときに他のことを考え、嫌なことを思考から追い出すことが上手なのです。

これは訓練次第でどうにかできることです。嫌なことが頭に浮かんできたときに、他の夢中になれることをする、たとえばテレビを観る、DVDを観る、ペットと遊ぶ、友人と電話でおしゃべりする、運動をする、などなど。ちなみに僕はYou Tubeで動物のほんわか動画を観たり、筋トレに励みます。嫌な出来事が頭から消えて無くなることはありませんが、気を紛らわせることはじゅうぶんできます。

嫌な思いを紛らわせたかったら、「気が進まない」「無理」の言葉は禁物

嫌なことへの思いに取り憑かれると、「他のことをして気を紛らわせなさい」と言われたところで「そんな気になれない。気が進まないから無理」と諦めがちです。たしかに、楽しいことというのは気分がよいからこそ、それを楽しめるのかもしれません。しかし、ずっとそんなことを言って諦めていては何も変わりません。最初はしんどいかもしれませんが、無理矢理にでも何かをはじめるべきです。「これは訓練だ」と思って、嫌な気持ちに取り憑かれたときこそ無理にでも何か他のことをするように努力してみましょう。やがて心と体がそれに慣れてくるはずです。

6.長期記憶は「絶対に忘れない記憶」ではない

たとえば、「失恋」は長期記憶として保存されることが多いものです。

僕もそれなりに生きていますので、過去に失恋は何度も経験しています。失恋したその瞬間、そしてその後しばらくの期間は、耐え難い、なんとも形容し難い思いが続きました。誰だってそうですよね。

しかし、失恋のツラさは癒えるものです。いまではどんな台詞で失恋のツラさを味わわされたのか、その台詞すら忘れてしまいました。

また、はらわたが煮えくり返るような怒り・イライラに取り憑かれたことは数えきれないほどありますが、失恋と同じように、時間とともに怒りは薄まって、やがて「過去のどうでもいいこと」になりました。もはや憶えもていない、完全に頭から消えたことも数多くあるはずです。

長期記憶であっても、絶対に忘れないというわけではないのです。

7.おわりに

嫌なことを忘れる魔法のような方法は存在しません。しかし、たとえ今どれほど強い思いであっても、考えないようにしていればその思いは薄まっていきます。

他に夢中になることを見つければ脳はそのことを考えるようになり、過去の嫌なことを考える暇がなくなります。そうしているうちに、嫌な思いが薄まるときもあれば、完全に忘れてしううこともあります。実は脳ってやつは案外忘れっぽいものなのです。

時間が経てば、嫌なことも「過去のどうでもいいこと」になるでしょう。でも「今このとき、嫌なことを思い出してしまってキツイ」のであれば、やはり「他のことをする」「他のことを考える」ようになるための訓練が必要です。そしてそれができるようになれば、ぐっと生きやすくなるはずです。

参考 【脳科学辞典】「記憶の分類」 京都産業大学 コンピュータ理工学部 インテリジェントシステム学科・鈴木麻希 東北福祉大学 感性福祉研究所 & 健康科学部・藤井俊勝

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