「人の税金で大学に」発言 麻生さん、そりゃないよ~ そもそも税金って何だろう

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1.人の税金を使って学校へ行ったんだから

 麻生太郎副総裁兼財務相の発言(暴言?)が波紋を呼んでいます。11月17日、福岡市長選の応援のために街頭演説に立った麻生財務相は、北橋健治・北九州市長について、こう発言したのです。

 (北橋市長は)学歴はいいよ、人の税金を使って学校へ行ったんだから。東京大学出てるだろ。

 麻生財務相は福岡市と北九州市を比較するなかで、2015年の北九州市長選で麻生財務相が対抗馬の擁立に動いたものの、現職だった北橋市長を自民党市議団が推薦した経緯があり、この‟恨み”が出たようですが、この発言は、すなわち「私立大学ではなく、人の税金を使って、国公立大学へ行くな」と言っているようなものです。

 しかし、「人の税金を使って東大へ行った」ことを批判するなら、自分の子どもはどうなのでしょうか。というのも、麻生財務相の長女は東京大学出身だと報じられています(「週刊朝日」2009年5月15日号/朝日新聞出版、「週刊新潮」2016年4月14日号/新潮社)。

 これが事実なら、麻生財務相自身も、「人の税金を使って娘を東大に行かせて」いるのではないのでしょうか。

2.日本の教育への公的支出はOECD最低レベル

 麻生財務相は、「人の税金を使って大学へ行った」などと言いますが、世界の中で比較したとき、日本は教育への公的支出が低く、圧倒的に国民に負担を強いているのが実情です。

 OECD(経済協力開発機構)が今年9月に発表した「図表で見る教育2018年版」では、2015年のOECD加盟国において、小学校~大学の公的支出のGDP比がOECD加盟国の平均が4.2%だったのに対し、日本は2.9%でした。この数字は、比較可能な34か国のなかで最下位でした。

 ちなみに最下位になるのは2年連続のことで、2013年も最下位、その前は6年連続で最下位でした。

 しかも、OECD加盟国の半数は大学の学費は無償であるのに対し、日本の場合は幼児教育と高等教育に対する支出の50%以上が、家計から捻出されています。

 この結果について、OECDが国ごとの教育制度の構造、財政、成果をまとめた日本の「カントリーノート」では、「各家庭に極めて重い経済的負担を強いている」とまとめられていいます。

 それだけではありません。OECDカントリーノートでは、高等教育において「日本の公立教育機関の学士または同等レベルの課程の授業料はOECD加盟国のなかで4番目に高く、過去10年、授業料は上がり続けている」と指摘しています。

 さらに2014年時点で奨学金など公的貸与補助を受ける高等教育の学生の割合は全体の45%で、卒業時に抱える平均負債額は3万2170万ドル(約300万円)にのぼり、この返済に学士課程を卒業した学生で最長15年を要することにOECDは言及し、「これは、データのあるOECD加盟国の中で最も大きな負債の1つである」と記述しているのです。

 要は、麻生さんが言うように、日本では「人の税金で大学に行かせる」どころか、税金に教育費が多く充てられずに、人々が個人個人で教育費を払っているために、「貧国の連鎖」とか「奨学金返済地獄」という現実が待ち構えているのです。

3.そもそも税金って

 そもそも、税金に対して「人のもの」とか「私のもの」という発想自体がおかしいと思うのです。税金はだれのためのものでもなく、「社会」のものです。社会に対して税金を払い、その分のサービスを受けるためのものに税金があると思うのです。

 福祉が充実しているものの、その分、税金が高い北欧では、税金は「納める」ものではなく、「預ける」という考えが一般的らしいです。高い税金を払う分、それはいずれ国民に回って帰ってくる「貯蓄」「投資」といった感覚らしいのです。北欧諸国では、消費税は25%以上で、所得税も50%前後が一般的です。その分、社会保障サービスが充実しています。

4.低負担・中福祉の日本

 一方、日本はどうなのでしょうか。来年の10月に消費税が上がると世間では騒いでいますが、それでも10%程度です。増税は、誰でも嫌です。しかし、日本の現状では、国民が受けている公共サービスの水準とそのための負担のバランスが明らかに釣り合っていないことを認識する必要があります。

 実際に、日本の国民皆保険や皆年金制度など社会保障は、世界的に見て「中福祉」以上のレベルにありますが、その対価として国民は支払っている国民負担率は先進国最低水準です。現在の日本の負担と給付のバランスは「低負担・中福祉」となっているのが現状です。

 しかしです。この現状に私たちは本当に納得しているでしょうか。本当に社会保障サービスが貧しいままでいいと私たちは納得しているのでしょうか。僕も障害年金を受給しており、社会保障サービスにお世話になっている者の一人です。

 麻生さんの発言を機に、税と社会保障、そして教育について、もう一度考えて見ませんか?

よく日本人は「集団主義」で、欧米は「個人主義」だと言われていますが、はたして本当にそうでしょうか

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