パニック障害 原因は? 症状は? なりやすい人は?

この記事は約 11 分で読むことができます。

 

僕はパニック障害歴9年です。自分で言うのもなんですが、ベテランです。

そのベテランパニック師の僕が、パニック障害について、原因、症状、どんな人がなりやすいのかなど、知っている限り全てのことを、これから書いていこうと思います。

1.パニック障害発症のメカニズム

まず重要なのが『ノルアドレナリン』という神経伝達物質です。ノルアドレナリンは、何かの出来事にぶつかったときに神経細胞から放出されて交感神経系に働きかけ、血圧、呼吸、心拍数を上げて、体を緊張・興奮状態にします。これは生物にとってとても大切な作用で、全身を覚醒させ、「闘うか、逃げるか」といった判断をするための集中力を高めます。

そして超重要なのが、『セロトニン』。正確には『脳内セロトニン』です。セロトニンは全体のうち消化管に90%、血小板に8%、そして脳内に2%存在していますが、パニック障害に関わっているのはこのわずか2%の脳内セロトニンです。そこで以下「脳内」を省略します。

セロトニンはノルアドレナリンとはまったく逆の働きをします。緊張、興奮を和らげ、精神に安定をもたらします。

パニック障害発症の原因は、ノルアドレナリンとセロトニンのバランスの乱れにあります。本来はノルアドレナリンがもたらす興奮状態をセロトニンが緩和してくれることで心のバランスが保たれるのですが、脳内でなんらかの事故が起こり、セロトニン不足が起こってしまい――その結果ノルアドレナリンの暴走を止める人がいなくなって、頭の中がわちゃわちゃしてしまうのです。これがパニック障害です。

2.なぜセロトニン不足が起こるのか

これについては医学の世界でもまだ研究を続けている段階で、「これこれこうだからである」と断言はできないのですが、一説によると――「ストレスを感じると、脳内にノルアドレナリンやドパミン(快感、やる気を司る神経伝達物質)が放出される。それはごく普通のことだが、長期的なストレス、あまりに強烈なストレスを感じ続けると、脳内のノルアドレナリン、ドパミンの濃度が高まり、それに反応して副腎からコルチゾールというストレスホルモンが血液中に放出される。このコルチゾールが脳内まで到達すると……なんと海馬(記憶や空間学習能力を司る器官)の細胞を傷つけ、海馬が委縮してしまう。これによって脳内の神経伝達物質たちのバランスが乱れることになり、よりにもよって安定をもたらしてくれるセロトニンが不足する結果になる」――といわれています。

3.パニック障害と僕

僕のパニック障害発症の原因はやはり長期的なストレスだったと思います。

2008年、僕は渋谷区のとある会社が経営する居酒屋で店長(といっても雇われ店長ですが)を務めていました。

当時、飲食店、とくに居酒屋を経営する会社は「ブラック企業」と騒がれていました。居酒屋チェーン『和民』の女性従業員が入社わずか2ヶ月で激務による心労で自殺されたのもこの時期です。

僕もものすごい激務の中に立たされ、猛烈な不満、もはや言葉では言い表せないほどのストレスを抱える日々を送っていました。いま思い出しても身がすくみます。もう二度と経験したくない、ツライ日々でした。

2009年、その会社を辞めてすぐのことでした、初めてのパニック発作に襲われたのは。

1.初めてのパニック発作。その感想は

新たな就職先(懲りずに飲食店)が決まり、初日の勤務を終え、2日目のことでした。お店の前まで来たとき、突然それは起こりました。

せりあがってきたんです、すごい勢いで。何かが。

この文字列をご覧になったことがあるでしょうか?

『くぁwせdrfgtyふじこlp』

パソコンのキーボードの文字のところの上二列(数字の列の下)、「Q た」と「A ち」を同時に押して、そのまま右端まで二列のキーを流し押しすると出るんです。ちなみに「ふじこ」という文字がありますが、某アニメの某お色気キャラのことではなく、ただ偶然出る文字です。

初めてのパニック発作、文字に表すとまさにこんな感じでした。

「くぁwせdrfgtyふじこlp!!!!」

つまりわけがわからないということです。

僕は近くにあったジュースの自販機の脇でうずくまり、このわけのわからない恐ろしい感覚に為す術もなく襲われ続けました。

ようやくどうにか立ち上がれたときには、約40分も時間が経過していました。

2.こんなきっかけで「ふじこ! ふじこ!」が!

一度パニック発作が起こってからは、そりゃあもう頻繁に襲われるようになりました。

まず僕は天井の低いところがダメになってしまいました。地下街、デパート、パン屋さんなど、とくに狭い場所というわけではなくても、天井が低いとパニックを起こしました。ふと入ったデパートやお店の天井が低いと、全身の毛穴から汗が吹き出し、視界が真っ白になり、「くぁwせdrfgtyふじこ!」となりました。

次に、パニック障害を起こす例の典型ともいえる「人混み」。渋谷や新宿に買い物に行くともれなく「くぁwせdrfgtyふじこ! ふじこ!」となりました。行きたい方向は決まっているのに、人混みに対してどのように進んでいけばいいのか、頭が混乱するようになったのです。

それから突然の大きな音。これは子供の頃から持っていた『風船恐怖症』のせいだと思いますが、それが一層強化されたようです。すぐ近くでいきなり人がドッと大きな笑い声をあげただけでビクッとし、「ふじこ! ふじこ!」となるようにまでなってしまいました。

こんな調子で、最もひどいときは、パニック発作が出ることを恐れるあまり外出ができなくなりました。

3.パニック発作に襲われたときの対処法

僕の場合、パニック発作に襲われたら、まずしゃがんで両膝の間に頭を埋め、目を閉じ耳をふさいで、落ち着くのを待ちます。教わることなく自然にそうしていたのですが、調べてみると実はこれはとても理に適った態勢だそうです。この態勢をとると、胸でしていた呼吸が自然に腹式呼吸になり、過呼吸を防ぐそうなのです。

これにプラスして、「い~ち、に~い、さ~ん……」と数をゆっくり数えたり、「だ~いじょ~ぶ、だ~いじょ~ぶ」と声に出して自分に言い聞かせたりします。これも教わることなく自然にしていたのですが、調べてみるとやはりとても効果的だそうです。

友人などと一緒にいるときは、「だ~いじょ~ぶだよ~、だ~いじょ~ぶだよ~」と言いながら背中をゆっくりさすってもらえると、ものすごく助かります。

ちょっと落ち着いてきたなと思ったら、水を飲みます。コーヒーやお茶などカフェインが入っているものではなく、水です。カフェインには興奮作用がありますからね。経験上、やはり水がいちばん落ち着きます。

4.パニック障害になりやすい人はどんな人?

調べてみると「やさしくて他人思いの人」と出てきました。なるほど、僕はやさしくて他人思いなのですね。……まあ一般的には、

1.他人からの評価を気にする人

パニック障害患者には「人にどう見られているか」を強く気にする人が多くみられます。これは承認欲求の強さの表れであり、ある意味で自信の無さの表れでもあります。「おかしく見られてはいないか」「間違ったことをしていないか」など、無意識のうちに気にしすぎてしまっているのです。

2.責任感の強い人

「自分がやらなければならない」「人に任せるわけにはいかない」、このように頑張ってしまう人も、パニック障害になりやすい性質を持っています。ついつい自分にプレッシャーをかけてしまっているのです。

3.完璧主義の人

「これはこうしなければならない」「こうでなければ気が済まない」という完璧主義の人は、いちばんパニック障害になりやすい性格であるといえます。これは『2.責任感の強い人』にもつながることで、完璧であることにこだわるあまり、やはり知らず知らずのうちに自分に強いプレッシャーをかけてしまっているのです。

4.感情を引きずる人

何か失敗をしてしまったときなどに、そのときのマイナス感情を長く引きずってしまうという性格の人も、パニック障害患者の中に多くみられます。「なんであのようにしてしまったんだろう……」「なんであんなことを言ってしまったんだろう……」「あのときに戻ってやり直したい……」、そんなことをズルズルと考え続けてしまう人です。

――と、このようなタイプが挙げられます。総じてストレスを溜め込んでしまうタイプの人です。やはりパニック障害の原因はストレスですからね。

ちなみに僕は、この4つ全てに当てはまってしまっています……。

5.パニック障害は治る?

実は精神医学の世界では、心の病に対して「治る」という言葉を使いません。「寛解(かんかい)」という言葉を使います。

「寛解」とは「病気の症状が一時的、継続的に軽減した状態」のことで、癌や白血病など再発の可能性がある病気の治療に対しての用語です。ちなみに癌の場合、手術で摘出し、その後の検査でも正常な数値を示すようであれば「完全寛解」といわれます。「完治」とは少しちがうのです。

パニック障害も同じです。発作が出ない状態がずっと続くようであれば、「治った」ではなく「寛解した」といいます。

では「パニック障害は完全寛解するのか」というと……これにはっきりと「YES」と答えられるお医者さんはいないと思います。パニック障害は「なりやすい人」というのがはっきりしており、そういう人は寛解しても再び強いストレスを感じると再発してしまうからです。こうなるともはや「持病」ですね。腰痛などと同じです。

ですのでパニック障害の治療は、「完治させる」ではなく「寛解の状態を維持させる」ことが目的といえます。

あ、先ほど「精神医学の世界では、心の病に対して『治る』という言葉を使いません」と書きましたが、まれに「パニック障害は完治する」と言い切るお医者さんがいます。そういうお医者さんはほぼ例外なく、本を何冊も出しています。そして自分のサイトを作っては自分の本の宣伝をしています。そのお医者さんが言う通り「パニック障害は完治する」のであれば、何冊も何冊も本を出す必要はないと思うんですけどね。完治する理由と証拠を述べた本を一冊出すだけで充分だと思うんですけどね。

6.パニック障害の治療

「1.パニック障害発症のメカニズム」の項に書いた通り、パニック障害は脳内のセロトニン不足が原因です。そこで脳内のセロトニンを増やすために『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』という薬を服用するという方法が第一選択となっています。

SSRIは、「脳内のセロトニンが、受容体にくっついて効果を発揮する前に、その仕事もせずに元の細胞内に帰ってしまう(再取り込み)」という現象を防ぎます。その結果、脳内にセロトニンが増え、ノルアドレナリンの暴走を止めてもらうことができます。
SSRIを継続的に服用し、セロトニンに自分の正しい仕事を思い出してもらうというのが、パニック障害の治療です。

7.最後に。もうパニック障害なんか恐くない!

パニック障害発症から9年が経過したベテランパニック師である僕には、「寛解している状態」といえる期間が丸2年ありました。その2年間は一度もパニック発作が出なかったのです。最近はというと、言ってみれば「共存している」という感じですね。「パニック障害を持ってはいるけれど、外に出て仕事もできるようになったし、人並に生活が送れるようになった」のです。

いまでは「くぁwせdrfgtyふじこlp!!」のような大パニックになる前に、それを鎮めることができるようになりました。いまの僕は、「あっ、ヤバそうかも」と感じたら、うずくまって目を閉じ耳をふさぎ、ゆっくり数を数え、大パニックに発展するのを抑えることができます。パニック発作の扱いにすっかり慣れたのです。最近もふとしたことで一度だけ発作が出ましたが、見事、極小パニックに抑えました。

パニックの扱いに慣れてしまえば楽なものです。そんな感じで、いまの僕はパニック障害と共存しています。ここまでになったのは、薬を飲み続け、少し落ち着き始めたことで外にも積極的に出られるようになり、またそのことで色々な刺激に心と身体が慣れてきたという、良い連鎖反応が起こったからだと思っています。

パニック障害は厄介な病気ですが、慣れることができます。共存することもできます。そして、寛解することが可能です。その状態を維持し続けることも可能です。完全寛解だって、きっと……!

もうパニック障害なんか恐くない!

 

パニック障害とうつ病を併発しているTAMAOのおすすめ記事5選!

2018.10.26

【AKARIの新しい取り組み】
あなたの声をAKARIにしよう!

小さい声だと届かない思いを、AKARIを使って社会に発信しませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

パニック障害歴9年、うつ病歴5年。いつも元気にパニクったり落ち込んだりしています。 愉快なパニック体験談、うつ病との飽くなき闘いを発信していきたいと思います。