強迫観念 僕や僕の友人は、実際にこんな強迫観念に襲われました

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1.『強迫観念』とは

強迫観念とは、「自分の意志に関係なく頭に浮かんできて、どうにも払いのけられない強い観念(物事に対する考え)」のことです。

強烈な強迫観念に襲われる病気に、『強迫性障害』が挙げられます。

2.セロトニンさん……やはりあんたが強迫観念を連れてくるのか

脳内のセロトニン不足などによって引き起こされる病気にはうつ病、躁うつ病、パニック障害などがありますが、強迫性障害もそのひとつです。

強迫性障害という病気は、自分の意志とは無関係に様々な不安(強迫観念)に襲われ、その不安を打ち消すために、他人から見れば無意味な行為を繰り返してしまう疾患です。

セロトニン不足によって起こる病気はいろいろな組み合わせで併発することがあります(ちなみに僕はパニック障害とうつ病を併発しています)。僕は「強迫性障害」とは診断されてはいませんが、うつ病、パニック障害と原因が同じであるためでしょう、いくつかの強迫観念に襲われたことがあります。

またセロトニンに限らず、ドパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の誤った働きによって、人間は様々な妄想、強迫観念に苛まれることがあります。

3.僕と、僕の友人たちを襲った強迫観念

度を超えた戸締り確認

これは強迫観念のもっとも典型的な症状だと思います。いわば「強迫観念入門編」ですね!

ドアに鍵をかけたか心配になってしまうのです。ちゃんと鍵がかかったかがとにかく心配で、何度も確認してしまうのです。ドアノブをガチャガチャと、何度も何度も何度も。なんだったら、ようやくどうにか安心できて玄関を離れ、しばらく歩いて家から離れたところに来たのに、「やっぱり心配」とまた家まで引き返したりしちゃうのです。

これには悩まされました。不思議なことに、「こたつはちゃんと切ったっけな」とかは気にならないんです。家電製品の電源の切り忘れは下手をすれば火災の原因になる恐れがあるのに、それは「ま、いっか。今まで火が出たこともないし」で済ませられるんです。とにかく玄関の鍵だけでした、心配だったのは。

社会のルールを守らない人を許せない

これは、いま思えば僕こそが社会の秩序を乱しかねなかったことでした。

社会にはいろいろなルールがあり、中には「とくに厳しく取り締まられてはいない、いわば暗黙のルール」というものがありますよね。たとえばタバコは決められた場所で吸う。歩きタバコはしない。たとえば電車やバスなどで、お年寄りや身体に不自由を抱えている方に優先席を譲る。たとえばスーパーなどの駐車場の車椅子マークのところには健康な人は車を停めない。などなど。

これらを守らない人が許せませんでした。「このような輩を許してはいけない」という強迫観念に取り憑かれました。とくに三つ目の「駐車場の車椅子マークのところに健康な人が――」については実際に行動を起こすまでいってしまいました。

トイレは汚い! 雑菌だらけで危ない!

これは僕の友人の妹さん(20代)を襲った強迫観念です。

友人の妹さんはあるときから急に「トイレはもう使えない。トイレは汚い。雑菌だらけで危ない。病気になる」と言い出したそうなんです。でも人間ですから排泄しないわけにはいきませんよね。妹さんがどうしたかというと……

なんと、布団の中でするようになってしまったのです。小のほうも、大のほうもです。

お母さんははじめのうちは汚れた布団を洗っていたそうですが、一日に何度もあることなので洗濯が追いつきません。それで仕方なく、布団の下に新聞紙を何枚も敷き、その布団自体をトイレ代わりにすることにしました。とうぜん家の中には異臭が漂うようになりましたが、他にどうしようもなかったそうです。ちなみに妹さんは同じ理由でお風呂にも入れなかったそうです。

この妹さんはそのときは強迫性障害と診断されていましたが、やがて統合失調症を発症しました。

入院して治療を受け、退院してきたときにはちゃんとトイレもお風呂も使えるようになったのでした。

熊本地震の責任をとらなければならない

統合失調症を患っている友人の身に起こった話です。

2016年4月14日に発生した熊本地震。大勢の方が亡くなり、また大勢の方が現在も避難所で不自由な暮らしを続けています。

友人は熊本県在住で、被災地からは離れた地域だったため被害はありませんでしたが、「この熊本地震を起こしたのは自分だ」という妄想に取り憑かれました。そして「地震を起こした責任をとらなければならない」という強迫観念に襲われました。

責任をとる方法は「自らの命を絶つ」しかなかったそうです。「死んで責任をとらなければならない」という強迫観念です。

友人は仕事中に職場を抜け出し、近くを流れていた小川に入って、頭まで水に沈めました。

そうやってブクブクやっているところを偶然にも同じ職場の方が発見し、そのまま病院へ搬送、措置入院となりました。

退院後、落ち着いた頃に話をしましたが、あのときはそうする以外に道はなかったそうです。

4.強迫観念に取り憑つかれることは、誰にでも起こりうる

たとえば、靴は必ず右足から履くと決めている人がいるとします。普段はただのジンクスとしてそうしているだけでも、ちょっと脳内の神経伝達物質が誤作動を起こせば、それは「必ず、絶対にそうしなければならないこと」に変化します。朝、無意識にとっている普段の行動も、ちょっと脳内の神経伝達物質が誤作動を起こせば、絶対に順序を間違うことを許されない、絶対厳守事項となってしまうのです。

5.最後に。強迫観念は克服できるのか

理不尽な強迫観念を追っ払う方法は二つあります。

一つは認知行動療法。これはしっかりと計画を立てれば自分一人で行うことができます。方法は、まず自分がどんな強迫観念に悩まされているのかを見つめ直し、感情や身体がどのような反応を起こすのか、ひとつひとつ把握していきます。そして、たとえば「度を越えた戸締り確認」に悩んでいるのであれば、「戸締り確認は三回まで!」といったルールを設定し、それを守るように心がけます。こうやって心と身体を少しずつ慣らしていくのです。『暴露反応妨害法』という少々手荒な方法もあります。これは強迫観念、不安感に襲われる状況にあえて直面し、「何でもないことなんだ」と心と身体に覚えさせるというものです。もちろん最初は軽い刺激からスタートし、それに慣れたらもう少し強めの刺激を、それにも慣れたらまたもう少し、と段階的に刺激を強めていきます。そのようにして、心と体に「この強迫行為は意味がない」と覚えさせるのです。

強迫観念を追っ払うための二つ目の方法は薬の服用です。「何度確認してもドアの鍵のことが気になって、会社に遅刻してしまう」「手を何度洗ってもきれいになった気がしなくて、洗いすぎて血が出てしまう」など、日常生活に支障をきたすレベルになってくると、きっとお医者さんに『強迫性障害』と診断されると思います。強迫性障害は脳内セロトニンの不足によって起こる疾患で、『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)』という薬が有効です。不安を和らげ、気持ちを落ち着ける作用があるセロトニンを脳内に増やすことで、理不尽な強迫観念の到来を抑えようというのが薬物療法の目的です。

いちばん望ましいのは、薬物療法と認知行動療法を平行して進めていくことです。自力だけで頑張るのではなく、また薬だけに頼るのではなく、薬に手助けしてもらいながら自分の意思で心の中から不安を取り除いていく、これが厄介な強迫観念とお別れする近道です。

それにしても……人間の脳は精密機械のようなものだと思いますが、精密機械はほんの些細なことで壊れちゃいますよね。

やはり人間とは繊細なものですね。

 

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2018.10.26

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パニック障害歴9年、うつ病歴5年。いつも元気にパニクったり落ち込んだりしています。 愉快なパニック体験談、うつ病との飽くなき闘いを発信していきたいと思います。