僕のパニック障害

この記事は約 5 分で読むことができます。

僕が生まれて初めて「パニック」というものを体験したのは2009年7月、35歳のときでした。

 

僕はその4か月前、2009年3月に、務めていた居酒屋を辞めました。

店長(といっても雇われ店長)だった僕は、数字だけを見る上司と数字も何も関係ないアルバイトを含むお気楽な部下との間で板挟みにあっていました。まあ、上司も部下も僕を板挟みにしているつもりなどもちろんなかったはずで、つまり僕が一人で勝手に板に挟まれ、苦しんでいたわけです。

 

前年の数字を上回った月に出る褒賞金が正しく支払われなかったことが直接のきっかけになり、退社を決意しました。それが2009年2月で、同年3月をもって、苦しかった板挟み状態を脱出したのでした。

 

僕はずっと飲食店で働いてきたので、次の職場探しも自然に飲食店になりました。いくつかのお店、会社の面接を受け、不採用の仕打ち(悲しかった……)を受けたりしながら、理想にできるだけ近い職場を探し、「ここでなら」というお店にたどり着きました。

 

仕事に自信を持っていた僕は、張り切って初日の勤務を終え、ほっとして家に帰りました。

翌日。

「さあ二日目の勤務。張り切っていこう!」

家を出て職場へ向かい、ドアの前まで来たときでした。

「……あれ? なにこれ……」

なんというか……骨から冷たい汗が噴き出てくる、という感じになりました。「冷や汗」なんて生易しいものじゃありません(まあ冷や汗に違いないのですが)。身体が芯から冷たくなり、冷たい汗が噴き出てきたのです。

呼吸が苦しいです。深呼吸をしようにも息が吸えません。呼吸をするための筋肉が動かなくなったかのようです。

眼球を内側からグググっと押されて、目ン玉が飛び出そうな感覚を覚えました。

どうしてよいかわからず、というか何も考えられず、よろめきながら座れる場所を探して、そこにへたりこみました。頭を抱え、うずくまりました。

そうこうしているうちに、出社時刻を10分過ぎ、20分過ぎ、40分過ぎ……

もうダメです。勤務二日目にしてすでに一時間近くの遅刻。しかも連絡もなしに。

どうにか気分が落ち着いてきた頃、僕は逃げるように家に向かいました。いや、文字通り逃げたのです。バックレたのです。35歳にもなって。

 

家に帰り、ネットでさっき体験した謎の現象を検索してみると、どうやらあれが噂に聞く「パニック発作」だったようです。

「なるほど……どうりでパニクったわけだ」

そんなことを思ったパニック初体験でした。

 

こうして僕は、めでたく「パニック障害持ち」となったのでした。

 

パニック初体験を終えた僕は、この後じつに手慣れた感じでパニック発作を起こすようになっていきました。

渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、四方八方から歩いてくる人の波に、「四方八方から人が来る! 僕はどの方向に歩いたらいいんだ!?」とパニクってみたり、天井の低い地下街を歩くと「天井が低い! 息ができない!」とパニクってみたり、歩道で人とすれちがうとき互いに「右、左、あっ、右、あっ、すいません」となったときに何の脈絡もなくパニクってみたり。とにかく事あるごとにパニック発作を起こすようになりました。

 

先述した居酒屋で板挟みになっていたこと、その状態に強いストレスを感じ、自分の中の「ストレスを溜め込むバケツ」が決壊してしまったことが、僕のパニック障害発症の原因なのだろうと思いました。

その居酒屋に対しては、「ぼくをパニック障害にまで追い込みやがって」と、当時はそのこと自体が許し難く、口にしただけで警察に怒られるような物騒な考えが浮かんだことは何度もあります。

 

やがて、徐々にですが、どういう状況のときにパニック発作を起こすのか、どんな場所が苦手なのかを自覚することができるようになっていきました。

要するに、一言で済ましてしまえばパニックの原因は「ストレス」なんですね。ストレスを感じると身体の底からパニックが湧き上がってくるのですね。

現在では、とにかく「ストレスになりえる状況に関わらない」よう、心がけています。

安定剤などの薬も服用しており、その効果ももちろんあるはずですが、僕はパニック障害のような気分障害は、腰痛と同じで上手に付き合っていくものと考えています。「パニックウイルス」のようなものがあって、それを薬でやっつければ治療完了! であれば簡単なんですけどね、残念ながらそういうものではないので……。

 

「自分の状態をしっかり理解する」

これはパニック障害を抱える人にとって何より大切なことだと思います。

 

パニック障害とうつ病を併発しているTAMAOのおすすめ記事5選!

2018.10.26

【AKARIの新しい取り組み】
あなたの声をAKARIにしよう!

小さい声だと届かない思いを、AKARIを使って社会に発信しませんか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

パニック障害歴9年、うつ病歴5年。いつも元気にパニクったり落ち込んだりしています。 愉快なパニック体験談、うつ病との飽くなき闘いを発信していきたいと思います。