不器用な父親なりの優しさ 〜似た者どうしの父と息子〜

25歳のとき、
ぼくは久留米に帰ってきた。
統合失調症で苦しんでいたので、
主治医の判断で実家に帰った。

病気があっても家族は迎え入れてくれた。
一番喜んだのは、父親だった。
「病気でつらかろうが、おまえが帰ってきて嬉しい。」
親父は酒を飲みながらそう言った。

酒を飲んでいる父親は好きではないが、
酒を飲んでいないときの父親は好きだ。
物静かで落ち着いていて、
あんまり話さないけど優しくしてくれる。

久留米に帰ってきた当時は、毎日が苦しかった。
そんなとき、父親は一緒に外出してくれた。
父親の車に揺られて、
温泉に行ったりラーメンを食べに行ったりした。

ある日、大分の由布院に連れて行ってくれた。
朝一番で出掛けたものの、小雨が降っていた。
でも、由布院に着くと晴れてきて、
雄大な由布岳を見ることができた。

そのとき季節は秋で、
由布岳はきれいに紅葉していた。
その美しさに心が惹かれて、
長い間淀んでいた心に光が差した。

この思い出は、一生忘れない。

父親には友達がいない。
昔の交友関係をすべて絶っていて、ひとりぼっちだ。
男一人のつらさを、
父親はわかってくれているのかもしれない。

この前新しいゲーム機を買った。
ぼくと父親は新しいゲームに夢中だ。
似たものどうし、
これからも仲良くしていきたい。

終わり

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ABOUTこの記事をかいた人

30代になりたて、統合失調症&適応障害持ちの、元教職員です。生物学が好きで、TANOSHIKAの仕事でなぜなに生物学を企画したり別に生物サイトを立ち上げたりしています。生物学習サイト「高校生物の学び舎」をはじめました。(↓のwebsiteをクリックで閲覧できます)