メディアを読み解く! メディア・リテラシーという言葉を知っていますか?

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1.はじめに

 私たちは普段から、数多くのメディアに接しています。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍、インターネットなどです。かつてインターネットが普及する前は、私たちは、情報をただ「受け取る」側でしかなかったのですが、インターネットの普及とともに、私たちは情報を「発信する」側ともなりました。ですが私たちは、この「メディア」(媒介するものという意味)のことをどれだけ理解しているのでしょうか。

 大学で、メディアに関する授業を数多く受けた私は、その中で「メディア・リテラシー」について勉強しました。メディア・リテラシーとは、「数多くあるメディアによってもたらされる情報を適切に評価・識別し、情報をクリティカル(批判的)に読み取る能力」のことをいいます。

 メディア・リテラシーの定義は、国や地域によってさまざまでもあります。

 世界に先駆けて1987年に学校教育のカリキュラムとしてメディア・リテラシーを導入したカナダは、

 メディア・リテラシーとは、メディアはどのように機能するか、メディアはどのように意味を作り出すのか、メディアの企業や産業はどのように組織されているのか、メディアは現実をどのように構成するのかについて学び、理解と楽しみを促進する目的で行う教育的な取り組みである。メディア・リテラシーの目標は、市民がメディアを創り出す力の獲得をも含まれる。

と定義しています。

2.メディア・リテラシー18の原則

 世界のメディア・リテラシー概念の形成に大きな影響を与えたのが、レン・マスーマンが唱えた「メディア・リテラシーの18の原則」です。

メディア・リテラシーの18の原則は以下の通りです。

①メディア・リテラシーは重要で意義のある取り組みである。その中心的課題は多くの人が力をつけ(empowerment)、社会の民主主義的構造を強化することである。

②メディア・リテラシーの基本概念は、「構成され、コード化された表現」(representation)ということである。メディアは現実を反映しているのではなく、再構成し、提示している。メディアはシンボルや記号のシステムである。この原則を理解せずにメディア・リテラシーの取り組みを始めることはできない。この理解からすべてが始まる。

③メディア・リテラシーは生涯を通した学習過程である。ゆえに、学ぶものが強い動機を獲得することがその主要な目的である。

④メディア・リテラシーは単にクリティカルな知力を養うだけでなく、クリティカルな主体性を養うことを目的とする。

⑤メディア・リテラシーは探求的である。特定の文化的価値を押し付けない。

⑥メディア、リテラシーは今日的なトピックを扱う。学ぶ者の生活状況に光を当てる。そうしながら「ここ」「今」を、歴史およびイデオロギーのより広範な問題の文脈でとらえる。

⑦メディア・リテラシーの基本概念(キーコンプセプト)は、分析のためのツールであって、学習内容そのものを示しているのではない。

⑧メディア・リテラシーにおける学習内容は目的のための手段である。その目的は別の内容を開発することではなく、発展可能な分析ツールを開発することにある。

⑨メディア・リテラシーの効果は次の2つの基準で評価できる。

 1)学ぶ者が新しい事態に対して、クリティカルな思考をどの程度適用できるか。
 2)学ぶ者は示す参与と動機の深さ。

⑩理想的には、メディア・リテラシーの評価は学ぶ者の形成的、総括的な自己評価である。

⑪メディア・リテラシーは内省および対話のための対象を提供することによって、教える者と教えられる者の関係を変える試みである。

⑫メディア・リテラシーはその探求を討論によるものではなく、対話によって遂行する。

⑬メディア・リテラシーの取り組みは、基本的に能動的で参加型である。参加することで、より開かれた民主主義的な教育の開発を促す。学ぶ者は自分の学習に責任を持ち、制御し、シラバスの作成に参加し、自らの学習に長期的視野を持つようになる。端的にいえば、メディア・リテラシーじゃ新しいカリキュラムの導入であるとともに、新しい学び方の導入でもある。

⑭メディア・リテラシーは互いに学びあうことを基本とする。グループを中心とする・個人は競争によって学ぶのではなく、グループ全体の洞察力とリソースによって学ぶことができる。

⑮メディア・リテラシーは実践的批判と批判的実践からなる。文化的再生産(reproduction)よりは、文化的批判を重視する。

⑯メディア・リテラシーは包括的な過程である。理想的には学ぶ者、両親、メディアの専門家、教える者たつの新たな関係を築くものである。

⑰メディア・リテラシーは絶えざる変化に深く結びついている。常に変わりつつある現実とともに進化しなければならない。

⑱メディア・リテラシーを支えるのは、弁別(識別)的認識論(distinctive epistemology)である。既存の知識が単に教える者により伝えられたり、学ぶ者により「発見」されたりするのではない。それは始まりであり、目的でない。メディア・リテラシーでは、既存の知識はクリティカルな探求と対話の対象であり、この探求と対話から学ぶ者や教える者によって新しい知識が能動的に作り出されるのである。

3、.メディア・リテラシー教育

 カナダ・オンタリオ州では、テレビ時代の商業主義に対する批判などから、1987年に世界で初めて、「国語」のカリキュラムにメディア・リテラシーを取り入れました。

 カリキュラムでは、7・8年生(中学1・2年)の国語の一割と、9年生から12年生(中学3年生から高校3年生)の国語の3分の1をメディアの学習に当てることが制度化され、11・12年生(高校2・3年生)には選択科目として「メディア研究」が設置されています。 

1995年には、カリキュラムの改訂にともなって、1年生から8年生(小学1年生から中学2年生)の国語でもメディアが取り入れられるようになり、現在では小学校から高校までの全学年で、メディア学習が義務づけられています。

例えば小学校のメディア教育を例では、1年生では、写真や絵を使ってストーリーを作ってみる、アニメーションと現実との違いを区別する、2年生ではコマーシャルと番組の違いがわかる、3年生ではクローズアップやローアングルなど映像ショットの違いを学習する、などが行われています。

4年生では屋外広告、Tシャツなど様々なタイプの広告を見分ける、5年生では、ニュース、ドキュメンタリー映画、インターネット、CD-ROMなど、それぞれのメディアにおける情報伝達の特徴を考える、6年生では、情報の送り手による、誇張表現、偏った情報を見きわめる、などの内容が含まれます。

 

 今回は、メディア・リテラシーについてまとめてみました。なかなか聞きなれない言葉ですが、日本の教育でもその実践が行わていたりもしています。

 現代は、まさに情報が溢れてます。だからこそ、それを読み解く必要があるのです。重要なことは、メディアとは「現実をそのまま反映せずに再構成して」私たちの前にあらわになることを理解することです。

参考

鈴木みどり(1998)「特集:メディア・リテラシー メディア リテラシーとはなにか」『情報の科学と技術 48巻7号』p388-395.

宮崎寿子・鈴木みどり(1999)「資料編 レン・マスターマン「メディア・リテラシーの18の基本原則」鈴木みどり編『メディア・リテラシーを学ぶ人のために』世界思想社.

Masterman, L,(1995)“Media Education:Eighteen Basic Principles” MEDIACY,vol.17,No.3,Association for Media Literacy.

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2018.10.25

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