ところでCSRって知ってます? 企業の社会的責任について

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1.はじめに

 企業は利潤だけ追求すればよいのか・・・。ほかに何かすべきことはないのか・・・。ふとそう思う社会人は多いのではないのでしょうか。ところで、CSRという言葉があるのです。

 CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、「企業の社会的責任」と訳されます。CSRの根本概念は、「持続可能な社会をつくるために企業が果たすべき責任」であり、「社会の要請・期待に応えて長期的に事業を継続させる方法」ともいえます。

2.CSRに取り組むべきメリット

 企業がこのCSRに取り組むメリットは三つあります。

 第一に、「社会から長期的な信頼」が得られます。この「社会」とは、自社にかかわる、さまざまな利害関係者のことで、「ステークホルダー」と呼びます。

 第二に、「変化への適応力」が得られます。社会は常に変化しています。CSRで社会・環境への適応力を高めた企業は、時にはリスクを察知してそれを事業のチャンスへと変化させることができます。

 第三に、多くの人に評価され、「将来にわたって存在を期待され続ける」ことができます。企業ブランドが確立され、従業員は働きがいをもち、企業は地域社会の誇りともなりえます。

 よくある誤解ですが、CSRはコンプライアンス(法令遵守)ではありません。社会貢献活動でもありません。ひと言で表すなら、「社会との共生」でもあるのです。

3.CSRに取り組む意義

 企業がCSRに取り組むべき理由として、次の四つが挙げられます。

 第一に、変化した消費者の意識です。とくに2000年代に入って、食の安心・安全、トラックのリコール隠し、電車の脱線事故といった、生命にかかわる問題に対して企業の経営責任がきびしく問われています。消費者は、量が満たされれば質を求め、質が満たされれば安全・安心を求めます。この消費者の意識に敏感に対応すれば、企業は「ブランド」とという大きな財産を手に入れることができます。

 第二に、拡大するインターネット社会への対応です。インターネット上には巨大な口コミが形成され、今や企業の一方的な広告よりユーザーの生の声が売り上げに直結する例も珍しくありません。このようなインターネット社会の特性が、CSRを進める要因の一つとなっています。

 第三に、深刻化する環境問題への対応です。二酸化炭素が地球規模の気候変動を招き、無制限に等しかった資源やエネルギーが、有限であることが再認識されました。「低炭素社会」「循環型社会」における事業のあり方が求められているのです。

 第四に、グローバル経済が与える影響です。グローバル経済の中心は多国籍企業グループです。その経済的規模は一国をしのぐほどで、このような影響力をもつ巨大企業には、法規制以上の自発的で責任ある行動が強く求められるのです。

 CSRの取り組みが世界各地で進み、大手企業から中小企業に至るまで広まるにつれて、共通の取り組みが必要となってきました。そこでISO(国際標準化機構)が中心となり、規模や地域を問わず全般をカバーするガイダンス文書をまとめています。それが「ISO26000」です。企業だけでなく、あらゆる組織に適用できるよう、「組織の社会的責任(SR:Social Responsibility)規格」として、2010年に発行されました。

4.CSRとして取り組むべきもの

 CSRとして取り組む課題は、主に五つ挙げることがあります。「ガバナンス」「マーケット」「環境」「職場」「地域社会」です。

 ガバナンスは、CSRを支える体制や基盤です。理念、企業倫理、意思決定プロセス、情報開示などが含まれます。ガバナンスは「企業統治」とも訳されますが、わかりやすくいえば「透明な経営」であり、さまざまなステークホルダーの要請や期待を把握し、的確に対応していく仕組みや体制をいいます。このガバナンスのすぐれた企業は、周囲への配慮が行き届き、企業不祥事の発生リスクが少なく、信頼性が高くなります。

 マーケットには、主に消費者の安全・安心や、誠実な対応、公正な取引などが含まれます。時代とともに求められるものが厳しくなってきていますので、その前例となるものを疑う姿勢も必要です。

 環境には、気候変動への対応、資源・エネルギー問題、自然環境保全などが含まれます。重要な政治課題となった環境問題は、次々に自主規制から法制化へと変化しています。環境対応のすぐれた企業は経費を抑制し、環境対応の製品・サービスへとつなげています。

 職場には、主に人権や多様性、能力開発、ワーク・ライフ・バランスなどが含まれます。職場対応のすぐれた企業は社員の働く意欲が高く、生活面でも家庭や地域社会に貢献する潜在力があります。

 地域社会には、地域との交流ばかりでなく、地元社会への経済的貢献などが含まれます。地域社会対応にすぐれた企業は、企業も社員も地元の誇りとして人々から愛着をもたれます。海外で事業を展開している場合は、国際社会への貢献も求まれます。

 今回はCSR(企業の社会的責任)についてまとめてみました。一度、「CSR」とインターネットで検索してみましょう。すると、さまざな企業のCSR活動を見ることができるはずです。

  

   参考

 海野みづえ(2009)『企業の社会的責任[CSR]の基本がよくわかる本』中経出版.

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2018.10.25

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