新しい教育のカタチ インクルーシブ教育とは!? 障害がある子どもの教育の歴史

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1.はじめに

 インクルーシブとは、「包括的」、「包み込む」という意味です。インクルーシブ教育の導入により、教育現場では、就学先の決定の仕組みに変化が起きたり、通常学級で障害のある子どもも一緒に学べる環境整備が進みました。

 インクルーシブ教育とは、子どもたち一人ひとりが多様な存在であるということを前提に、障害の有無にかかわりなく、誰もが望めば自分に合った配慮を受けながら、その地域の通常学級で学べることを目指す教育理念と実践のプロセスのことをいいます。つまりインクルーシブ教育は、「一人ひとり丁寧に」、そして「みんなで一緒に学ぶ」ということを目指す教育理念であるといえます。

 インクルーシブは英語でinclusiveと表記され、「包括的な」、「包み込む」という意味があります。障害の有無によって学ぶ場所が分けられるのではなく、一人ひとりそれぞれの子どもの能力や困難に配慮された、すべての子どものための教育という意味で、この言葉が使われています。

2.インクルーシブ教育の広がり

 インクルーシブ教育という言葉が広まり始めたのは、1994年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によって開かれた国際会議がきっかけです。この国際会議では、「Education for All(万人のための教育)」がうたわれ、可能な限りすべての子どもの能力や困難に応じた教育を行っていく方向性が打ち出されました。インクルーシブ教育の取り組みは、日本だけでなく、国際的な流れだといえます。

3.障害がある子どもの教育の歴史

 日本における、障害のある子どもの学ぶ環境は、時代が進むごとに段階的に発展してきました。

 明治以前、障害のある子どもは教育の対象と見なされておらず、教育を受ける機会は十分に与えられませんでした。

 障害のある子どもに教育が必要だといわれ始めたのは、明治になってからです。本人や保護者の意思は尊重されることはなく就学先を選ぶ自由はなかったものの、明治時代からは盲、聾、知的、肢体不自由(手足の麻痺や欠損、あるいは体幹の機能の障害)の子どものための学校が設立され、障害のある子どもの一部が教育を受けるこどができるようになりました。

 そして1979年の養護学校の義務化により、それまで就学を免除されていた重度の障害のある子どもに対しても、平等に教育の機会が保障されることになり、すべての子どもが教育を受ける仕組みができました。

 しかし、そのような状況のなかでも、障害のある子どもを地域の学校から離れた就学先に通わせることに対して、「障害のある子どもを通常学級から隔離し、分離している」という非難の声もありました。

 ですが1981年の「国際障害者年」において、「すべての子どもを通常学級へ」というメッセージがうたわれたことによって流れが変わります。「すべての子どもが通常学級で学ぶこと」を第一の重要事項として、新たな教育の方向性が定められました。これを「インテグレーション教育」といいます。この過程では、これまでの反省から、障害のある人もそうでない人も、分け隔てのない仲間として一緒に学ぶことが最も重要だとされました。

 しかしながら、同じ環境で障害のある子どもも一緒に学ぶことを推し進めるあまり、支援の必要な子どもに対して十分なサポートをする体制の準備は不十分なままでした。その結果、子ども一人ひとりの個性やニーズに合った教育を受けることができす、障害のある子どもは授業についていけなっかたり、あるいはいじめの対象となったりするようなことも起こりました。

 このようななか、1994年にスペインで「特別なニーズ教育に関する世界会議」が開かれ、新しい考え方として、この「インクルーシブ教育」の理念が唱えられたのです。

 その後、2010年からは日本においても、文部科学省によってインクルーシブ教育の理念の方向性が示されました。そのことにより、インクルーシブ教育の実現に向けた環境の整備や、支援の必要な子どもに対する配慮の必要性などの具体的な改善の案が打ち出されました。研修会や勉強会も行われるようになり、先生たちの意識を変えるような取り組みも行われていきました。

4.インクルーシブ教育実現のために

 インクルーシブ教育の実現に向けて、文部科学省をはじめ、国や都道府県、市町村などの行政機関が行うべきとされることの1つが、多様な子どもが学ぶための基礎的な環境を整備することです。

 たとえば、肢体不自由があり、車いすに乗って通学する子どもにとって、校舎内が階段ばかりでは、自力での移動が困難です。しかし、校内の段差を減らしたり、スロープやエレベーターを設置することにより、移動することの障害は解消していくことができます。

 ほかにも、市町村が主体となって、支援の必要な子どもが困ることのないよに、ボランティアスタッフを配置するシステムをつくることで、学習面や行動面に困難のある子どもも、適切な支援を受けながら通常学級での集団授業に参加することができるようになります。

 このように、学校の設備や教育の体制が整っていくことで、障害の有無にかかわらず、子どもが学びやすい学校の環境をつくっていくことができるようになります。

 ほかにも、子どもの障害の程度や能力に合わせて、特別支援学級、通常学級など多様な学び場を用意し、また行き来できる体制を整えたり、専門性のある支援体制や教員の育成を行うなど、インクルーシブ教育の達成に向けて、現在も環境整備が進められている途中です。

参考

LITALICO発達ナビ「インクルーシブ教育とは? その考え方や背景、具体的な取組み、課題点についてまとめてみました。

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