ノーマライゼーションの基本のキ ノーマライゼーションの8つの基本原理とは?

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1.はじめに

 最近、いろんなところでノーマライゼーションという言葉を耳にします。しかし、その言葉を知っていても、ノーマライゼーションとは何を意味するのかご存知ですか?

 今回は、ノーマライゼーションについて書いてみました!

2.ノーマライゼーションとは?

 ノーマライゼーションとは、障害を持つ人、持たない人など、どの人にとっても、「当たり前のことを当たり前に」ということを実現するために、社会の環境を整備していこうという考え方です。このノーマライゼーションの考えでは、障害があるかどうかや、その障害が軽度か重度かに関係なく、誰もが同じように生きる権利や環境が、当然の姿だと考えます。

 この、ノーマライゼーションの考えはデンマークで生まれました。ノーマライゼーションの誕生に偉大な功績を残した人物が、バンク・ミケルセンという人物です。

 彼はデンマークの社会省で働きながら、1951年に結成された「知的障害児親の会」の活動に共感します。知的障害児親の会は、「1500人収容する大型施設を20人~30人の小規模な施設にすること」「社会から分離されていた施設を親や保護者の生活する地域に作ること」「ほかの子どもと同じように教育を受ける機会を作ること」という3つのことをスローガンとして掲げていました。

 ミケルセンは、この親たちの願いを象徴的に表現する言葉として、「ノーマライゼーション」という言葉を用いました。このミケルセンの活躍もあり、1959年に世界で初めて「ノーマライゼーション」という言葉が用いられた「知的障害者福祉法」が、デンマークで制定されました。

 ノーマライゼーションは、今では世界的に社会福祉の基本原理として広がっています。これに大きく貢献したのは、スウェーデンのベンクト・ニィリエです。彼が、普通の生活を測るものさしとしてノーマライゼーションの基本原理を明らかにし、英文にしたことで、世界各国に広がりました。

 また、1981年の「国際障害者年」の制定も、ノーマライゼーションの理念が広がる大きなきっかけとなりました。この国際障害者年の制定は、国連が障害のある人々の問題を世界的な規模で取り上げ、啓蒙活動を行う世界最初の出来事でした。

3.日本でのノーマライゼーションの広がり

 この国際障害者年の制定は、日本の社会福祉政策を後押しし、「障害者の住みやすいまちづくり推進事業」や「障害者プラン ノーマライゼーション7か年戦略」が政府から発表されました。

 ノーマライゼーション7か年戦略には、主に7つのガイドラインが盛り込まれましたが、その一つに「バリアフリーの推進」がありました。

バリアフリーとは、障害のある人の社会参加や、自分らしく生活するときに妨げになる様々な障壁を取り除くことです。このバリアフリーの推進は、障害のある人が普通の生活を送るために重要なことであり、2006年に制定された「バリアフリー新法」など、現在でも継続的な政策として行われています。

4.ノーマライゼーションの基本原理

 ノーマライゼーションには、8つの基本原理があります。ノーマライゼーションを初めて提唱したベンクト・ニィリエが基本原理を提唱した当時は、知的障害者は大型の施設で生活し、社会から隔離されて生活を送ることが一般的な時代でした。そのため、ニィリエの提唱した基本原理には、大型の施設に対して批判的な側面があります。では、ノーマライゼーションの8つの基本原理をご紹介しましょう。

1.ノーマルな1日のリズムを送る

 1つ目の基本原理は、障害のある人でもない人でも、同じような一日の生活のリズムが送れるような環境を作ろうという考えです。障害があるという理由で、不必要に他の人より早く就寝させられたり、外出を拒否させられたりするような社会ではなく、誰もが同じような1日を送ることができる社会を目指すのがノーマライゼーションの考えです。

2.ノーマルな1週間のリズムを送る

 障害をもたない人は、平日は自宅や職場、あるいは学校など複数の場所で生活を送ります。さらに週末は、他の場所で余暇を楽しむこともあります。しかし、障害を持ち施設で暮らしている人は、平日・週末を問わず、その施設だけが活動の中心となってしまいがちです。

 2つ目の基本原理は、障害があり施設に入所している人でも、地域社会において、いくつかの異なるグループに所属し、充実した1週間を送ることが自然であるという考え方です。

3.ノーマルな1年のリズムを送る

 1年の中では、季節の変化を感じ、こどもの日やひなまつり、クリスマスなどの行事、あるいは誕生日などの多くのイベントがあります。3つ目の原理は、障害を持っていても、障害を持っていない人と同じように様々なイベントに参加して、ノーマルな1年を送ることができるという考え方です。

4.個人のライフサイクルを通してノーマルな発達的経験をする機会を持つ

 障害を持たない人は、誰しも生まれてから幼児期、学童期、成人期、高齢期のライフサイクルを経験していきます。しかし、障害を持つ人は、たとえば家族と一緒にいられる時間が極端に短い幼児期を過ごす子どももいます。

 4つ目の原理では、誰もがなるべく同じようなライフサイクルを経験できるようにしようとする考え方をします。

5.障害者の選択や願い、要望はできる限り尊重される

 5つ目の原理は、障害を持つ本人自身の選択や希望はできる限り、尊重されるべきという考え方です。そのためには、意見をうまく言葉で伝えることができない障害者は、様々な場面、場所で配慮されるべきという考え方をします。

6.男女が共に住む世界での生活を送る

 過去、歴史をさかのぼれば、男女が別々に隔離されてれ生活を送らなければならなかった施設も珍しくありません。6つ目の基本原理は、男女を不必要に分離するのではなく、共に協力しあえる環境をつくるべきという考え方です。 

7.ノーマルな経済水準を得る

 7つ目の基本原理は、障害のある人もできるかぎり平等に社会に参加して、基本的な経済活動を行えるようにするべきという考え方です。そのためには、児童手当や障害年金、住宅手当、最低賃金などの様々な経済支援が必要になります。

8.設備が、障害のない人を対象とする施設と同じレベルのものである

 例えば、障害者を対象とする施設と一般の人を対象とする施設の基準が異なっていることがあります。しかし、このように理由もなく障害の有無によって施設の環境にギャップがあるのは好ましくありません。障害者向けの施設を、より一般的な施設に近づけているべきであるというのが、8つ目の基本原理です。

5.まとめ

 以上、ノーマライゼーションの考え方や、基本原理についてまとめてみました。このように、ノーマライゼーションは、障害の有無を意識しなくても生活できる社会の実現を目指す考え方です。日本でも、教育や就労の現場において、少しづつノーマライゼーションの考えに基づいた政策や対策が行われつつあり、今後さらに広がっていくことが予想されます。

参考

LITARICO発達ナビ「ノーマライゼーションとは?ノーマライゼーションの歴史や時代背景、身近な例を紹介します!

社会問題の興味深い記事10選 by ライターshin

2018.10.25

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